IT基本法案の概要

   高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(以下、IT基本法案という)は、平成12年10月17日に閣議決定し、平成13年1月6日に実施すべく、今国会に提案し、成立した。
 以下、IT基本法案の概要について説明する。
 この法案は、第1章〜第4章に分れ、第1条〜第34条に亘って、目的、定義、理念、施策の方針、重点計画、設置、責務等の基本的事項を規定し、高度情報社会への対応について、基本的方針とその構成を示したもので、これに基づき具体的方策は夫々の関係部署において立案され、綜合的に実施化されることを期待するものである。
 
(目的)
 この法律は、高度情報通信ネットワーク社会(以下IT社会という)に関し、基本理念及び施策等の策定に係る基本方針を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、IT社会推進戦略本部を設けると共に、IT社会の重点計画の作成を定めることによりIT社会の形成に関する施策を推進することを目的とする(第1条抜粋)。

(定義)
 この法律で「IT社会」とは、インターネットの他の高度情報通信ネットワーク(以下ITという)を通じて自由かつ、安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発振することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能な社会をいう(第2条)。

(基本理念)
 IT社会の形成は、すべての国民が、ITを容易かつ主体的に利用する機会を有し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会を実現すること(第3条)。
 IT社会の形成は、電子商取引等の促進、事業者の経営の能率及び生産性の向上、事業の創出、経済構造改革の推進及び産業の国際競争力の強化に寄与すること(第4条)。
 ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現(第5条)。活力ある地域社会の実現及び住民福祉の向上(第6条)。国及び地方公共団体と民間との役割分担において、公正な競争の促進と民間活力を発揮させる為の環境の整備(第7条)。
 利用の機会等の格差の是正、例えば地理的、年令、身体的条件その他の要因による能力格差の是正を積極的に図る(第8条)。


(実施の為の措置等)
 IT社会に対する統計等の作成及び公表(第13条)。IT社会の形成に国民の理解を深める為の必要な措置を講ずる(第14条)。

(施策の策定に係る基本方針)
 ITを一層の拡大等の一体的な推進には、情報の充実と、能力の習得が必要であること(第15条)。IT社会の形成に関する施策の策定に当っては、国民が低廉で利用できること、世界最高水準のITの形成を促進する為に、公正な競争の促進その他必要な措置を講じる(第16条)。
 その他教育及び学習の振興並びに人材の育成の為に必要な措置を講じる(第17条)。電子商取引等の促進の為に、規制の見直し、新たな準則の整備、知的財産権の保護及び利用、消費者の保護その他の措置を講じる(第18条)。その他行政の情報他の措置(第19条)。公共分野における情報通信技術の活用の措置(第20条)。ITの安全性の確保等に関する必要な措置(第21条)。研究開発の推進の為に、国、地方公共団体、大学及び事業者等の密接な連携の下に創造性のある研究開発に必要な措置を講じる(第22条)。IT社会の形成に関する施策は国際的な協調及び貢献についても必要な措置を講じる(第23条)。


(IT社会推進戦略本部)
 本部はIT社会の形成に関する重点計画を作成し、その実施を推進することと、IT社会の形成に関する施策で重要なものの企画に関して審議し、その実施を推進すること(第25条)。
 本部は、IT社会推進戦略部長(内閣総理大臣)、IT社会推進戦略副本部長(国務大臣)及びIT社会推進戦略本部員(本部長、副本部長以外の総ての国務大臣、及び優れた見識を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者)により本部組織とする(第26条?第29条)。


(IT社会形成に関する重点計画)
 IT社会形成の為の基本方針、世界最高水準のIT形成の重点施策、教育、学習、人材育成等の重点施策。電子商取引等の促進に関する重点施策。行政の情報化に関する重点施策。ITの安全性、信頼性に関する重点施策のその他IT社会形成の為に必要な事項とする(第34条)。
 前記のように基本的骨格は整備されたので、これに基づいて具体的事項を推進すれば、近い将来に成熟したIT社会を実現することができる。


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鈴木正次特許事務所