メールマガジンを紹介します。

********************************************************************
◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
********************************************************************

このメルマガは当事務所とお取引きいただいている皆様、または当事務所とご面識のある皆様にお届けしています。

知的財産に関する基礎知識や最新の法改正情報など、実務上お役に立つと思われる情報をピックアップして、送らせて頂きます。

メルマガ配信をご希望でない場合は、誠に恐縮ですが、下記アドレスまでお知らせください。

suzukipo@suzuki-po.net

━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━

2017年3月1日号


  本号のコンテンツ

 ☆知財講座☆
 ■特許異議申立、特許無効審判

  ☆ニューストピックス☆
 ■商標登録出願の早期審査・早期審理の対象拡大
 ■知財紛争処理で中立の専門家が関与
 ■国際出願関係手数料が改定(3月1日以降)
 ■「JAPANブランド育成支援事業」の公募を開始

  ☆イベント・セミナー情報

 特許庁は「商標早期審査・早期審理ガイドライン」を改訂しました。今回の改訂により商標登録出願の早期審査制度が使いやすくなりました。

 早期に商標を登録するメリットは多いため、早期に新商品や新サービスを発売したい場合などは商標の早期審査制度を活用してみましょう。

 今号では、その概要について取り上げていますので是非、チェックしてみて下さい。

┏━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■特許制度の概要■

(15)特許異議申立、特許無効審判

 特許庁審査官や、審判官合議体が慎重に審査、審理した上で、新規性、進歩性などの特許要件を備えていると認められた特許出願に対してのみ特許権が付与されるのが原則です。
 しかし、特許要件を具備していないことが看過されて特許成立することも起こり得ます。
 特許権は、差止請求(特許法第100条)、損害賠償請求(民法第709条)などを行うことのできる強力な独占排他権ですから瑕疵ある特許権が存在していることは望ましくありません。
 そこで、特許法は、瑕疵ある特許を初めから存在しなかったものとして遡及的に消滅させることを可能にする制度を設けています。特許異議申立(特許法第113条)と、特許無効審判(特許法第123条)です。両者は、瑕疵ある特許を遡及的に消滅させることを可能にする制度である点で共通していますがそれぞれの制度目的(趣旨)からそれぞれに特有な点があります。
 今回は、特許異議申立制度と、特許無効審判制度を対比しながらそれらの概要を紹介します。
  特許異議申立制度 特許無効審判制度
制度趣旨  特許付与後の所定の期間に限って特許付与という特許庁の処分に対して見直しを求 めることができる機会を広く第三者に与え、公衆の協力を得て、特許に瑕疵があると きにその是正を図り、特許の早期安定化を図る。  特許の有効性に関する当事者間の紛争解決を図る。
 特許権者から「特許権侵害である」として差止請求(特許法第100条)、損害賠償 請求(民法第709条)などの権利行使を受けた者が対抗手段の一つとして特許無効審 判請求することがある。
手続  特許異議申立人が特許異議申立書を特許庁へ提出した後は、原則として、特許庁 (審判官合議体)と、異議申立を受けた特許権者との間で手続が進められる「査定系 手続」。  特許庁の審判官合議体が審理し結論(審決)を下すが、特許無効審判請求人と被請 求人である特許権者との間で互いの主張・立証が行われる「当事者系手続」。
特許異議申立人・特許無効審判請求人  何人も特許異議申立を提出できる。
 ただし、匿名での特許異議申立はできない。
 新規性欠如、進歩性欠如などの公益的な無効理由の場合は利害関係人のみが審判請 求できる。
 権利帰属に関する無効理由(共同出願の要件違反、冒認出願)での特許無効審判は 特許を受ける権利を有する者のみが請求できる。
異議申立、特許無効審判請求可能な時期  特許権が成立した後、成立した特許の内容を公示すべく特許庁が特許掲載公報を発 行する(特許成立後1カ月程度経過した頃)。
 特許掲載公報の発行日から6月以内に限って特許異議申立を提出できる。
 なお、特許権の消滅後は異議申立を提出できない。
 特許権の成立後であればいつでも特許無効審判請求できる。
 特許権消滅後、特許権が存続していた時期における特許権侵害行為について、特許 権者が、損害賠償請求することがあり得る。そのような場合の対抗策であることを考 慮し、特許権消滅後でも特許無効審判請求できる。
異議理由、無効理由  審査の段階で「特許を認めることができない」とすることができる「拒絶理由」の 中の所定の拒絶理由で特許異議申立できる。
 すなわち、新規性欠如、進歩性欠如、明細書の記載要件不備、等の公益的な事由で 特許異議申立できる。
 審査の段階で「特許を認めることができない」とすることができる「拒絶理由」の 中の所定の拒絶理由で特許無効審判請求できる。
すなわち、
 新規性欠如、進歩性欠如、明細書の記載要件不備、等の公益的な事由及び、
 権利帰属に関する事由(共同出願の要件違反、冒認出願)
 で特許無効審判請求できる。
 また、権利享有違反、条約違反という後発的な事由でも特許無効審判請求できる。
職権審理  特許庁の審判官合議体は、特許権者、特許異議申立人が申し立てていない理由につい ても審理できる。  特許庁の審判官合議体は、特許権者、特許無効審判請求人が申し立てていない理由に ついても審理できる。
審理方式  書面審理。
 原則は口頭審理。書面審理に付されることもある。
 無効審判請求書、答弁書、等の書面での両当事者の主張・立証がなされた後、結論 (審決)が下される前に両当事者(その代理人)が特許庁の審判廷に出廷して口頭審 理が行われるのが一般的。
決定・審決  「特許の取消決定」あるいは、「特許の維持決定」が下される。  「請求の成立(=特許を無効にすべき旨の審決)」あるいは「請求不成立」の審決が 下される。
不服申立  「特許の取消決定」に対して特許権者は特許庁長官を被告として知的財産高等裁判所 に決定取消訴訟を提起できる。
 「特許の維持決定」に対しては不服申し立てできない。
 特許無効審判請求人、特許権者の双方とも審決に不服であるときには相手方を被告 として知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起できる。
決定確定、審決確定の効果  「特許の取消決定」が確定したときは、その特許権は初めから存在しなかったものと みなされる。  「特許を無効にすべき旨の審決」が確定したときは、その特許権は初めから存在しな かったものとみなされる。
 ただし、権利享有違反、条約違反という後発的な事由で無効審決が確定したときは 後発的無効理由に該当した時から特許権は存在しなかったものとみなされる。
一事不再理  「特許の維持決定」に不服な特許異議申立人は、同一の理由・証拠を用いて特許庁で 特許無効審判を請求できる。  審決が確定したとき、当事者は、同一事実及び同一証拠に基づいて新たに特許無効 審判を請求することができない。
 なお、「当事者は」であるので、第三者は前記同一事実及び同一証拠に基づいて特 許無効審判を請求することができる。
異議申立、特許無効審判請求の際に特許庁へ納付する料金  16,500円+異議申立する請求項の数×2,400円  49,500円+審判請求する請求項の数×5,500円


 特許異議申立制度、特許無効審判制度には上記で説明した特徴がそれぞれにあります。どのように利用すべきかは専門家である弁理士に相談されることをお勧めします。
以上


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ニューストピックス■

■商標登録出願の早期審査・早期審理の対象を拡大■

 特許庁は「商標早期審査・早期審理ガイドライン」を改訂し、早期審査及び早期審理の対象案件の範囲を拡大しました。
 指定した商品・役務のうち少なくとも一つの商品・役務に出願商標を使用している又は使用の準備を相当程度進めていることが前提ですが、新たに以下も対象となりました。

(1)マドリッド協定議定書に基づく国際登録の基礎出願

 いわゆる“マドプロ”の基礎出願とするものについて、「マドプロ出願済」でないものであっても、早期審査・早期審理の対象となります。

(2)「商標法施行規則別表」や「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願

 指定商品・役務の中に使用していない指定商品・指定役務が含まれていても、それらが類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務であれば、早期審査の対象となります。

 詳しくは特許庁HPをご参照ください。
http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170206001/20170206001.html

●商標早期審査に関するQ&A
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/shkouhou_q_a.htm

■知財紛争処理システムで技術専門家が証拠収集手続に関与■

 特許庁は、裁判所が選任した中立的な第三者の技術専門家が、特許権侵害など知的財産紛争処理における証拠収集手続きに関与する新制度を導入する方向で検討を進めています。
 新制度では、証拠収集手続きの実効性を確保するため、裁判所が選任した中立的な第三者の専門家に秘密保持義務を課した上で、非協力的な被疑侵害者に対しては、査察(工場等への立ち入り調査等)を行えるようにしたり、書類提出命令を容易に発令できるようにするための仕組みを導入します。
 2018年の国会に提出する特許法改正案に盛り込む方針です。

■国際出願関係手数料が改定(平成29年3月1日以降)■

 平成29年(2017年)3月1日から国際出願関係手数料が改正されます。平成29年3月以降に国際出願関係手数料の納付をする場合は、各種手数料の額及び適用関係に注意してください。
 詳細は特許庁HPをご覧ください。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/pct_tesuukaitei.htm

■平成29年度ふるさと名物応援事業補助金
(JAPANブランド育成支援事業)の公募を開始■

 経済産業省は、平成29年度ふるさと名物応援事業補助金(JAPANブランド育成支援事業)を公募しています。
 本事業は、複数の中小企業等が連携して、優れた素材や技術等を活かし、その魅力をさらに高め、世界に通用するブランド力の確立を目指す取り組みに要する経費の一部を補助するものです。
 海外販路を図る中小企業者に対し、市場調査、研究開発に係る調査分析、新商品・新役務の開発(試作、研究開発)、展示会等への出展、知的財産に係る取得費等の事業に係る経費の一部を補助します。

  補助率:補助対象経費の2/3以内、
  補助金額:100万円以上2,000万円以下/件

 同事業の詳細は経済産業省関東経済局HP
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chikishigen/29fy_japanbrand_koubo.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  ■イベント・セミナー情報■

3月8日 銀座会議室(三丁目)
http://www.chosakai.or.jp/seminar/2016seminar/20170308.htm
職務発明規程の変更についての留意点
(経済産業調査会)

3月17日 AP秋葉原
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/boshu_setsumeikai_H29_1.html
平成29年度 知的財産関連助成事業説明会
(東京都知的財産総合センター)

3月22日 発明推進会館
http://www.jiii.or.jp/kenshu/h28/0322.pdf
基礎から学ぶビジネス著作権のQ&A
(発明推進協会)

********************************************************

発行元 : 鈴木正次特許事務所
〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
新宿山崎ビル202
TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340
E-mail:
URL: http://www.suzuki-po.net/

********************************************************

本メールの無断転載はご遠慮下さい。
本メールマガジンの記載内容については正確を期しておりますが、弊所は、利用される方がこれらの情報を用いて行う一切の行為について責任を負うものではありません。

〔戻る〕
鈴木正次特許事務所

最終更新日 '17/09/25