メールマガジンを紹介します。

********************************************************************
◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
********************************************************************

このメルマガは当事務所とお取引きいただいている皆様、または当事務所とご面識のある皆様にお届けしています。

知的財産に関する基礎知識や最新の法改正情報など、実務上お役に立つと思われる情報をピックアップして、送らせて頂きます。

メルマガ配信をご希望でない場合は、誠に恐縮ですが、下記アドレスまでお知らせください。

suzukipo@suzuki-po.net

━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━

2017年5月1日号


  本号のコンテンツ


  ☆知財講座☆

 ■中小企業の知財戦略■

 (1)はじめに


  ☆ニューストピックス☆

 ■タイムスタンプ保管サービスを開始(INPIT)
 ■「商標審査基準」を大幅に改訂(特許庁)
 ■中小企業向け海外侵害対策支援事業の公募
 ■海外知財訴訟保険、7月から制度拡充(特許庁)


  ☆イベント・セミナー情報


 工業所有権情報・研修館(INPIT)は、このほど「タイムスタンプ保管サービス」を開始しました。
 タイムスタンプ保管サービスとは、技術情報などが記載された原本(電子データ)に対し認定事業者が発行したタイムスタンプトークンを保管するサービスです。
 このサービスを利用すれば、先使用権の確保や営業秘密などの証明に役立ちます。利用料は無料ですので、大切な知的財産に関する電子文書については、タイムスタンプ保管サービスの利用を検討してみましょう。

 今号では、「タイムスタンプ保管サービス」の概要について紹介します。

┏━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■中小企業の知財戦略■

(1)はじめに

 メールマガジンではこれまで「知財基礎講座」として特許制度の概要を紹介してきました。
 次号からは、「中小企業の知財戦略」というタイトルで、企業の事業、特に、中小企業の事業の拡大・発展に貢献し得る特許出願・特許取得などの知財活動について複数回に分けて解説を行います。

 日本国特許庁が受け付けている特許出願の数は毎年32万件程度になります。この中の97%程度は企業によって行われています。このことは特許出願・特許取得が会社の事業にとって大きな意味を持っていることの表れでもあります。
 日本の企業の中で99.7%は中小企業※で、日本国内の産業活動、生産・販売活動などは中小企業の役割を抜きにして語ることができません。
 中小企業が出願人になっている特許出願は全体の出願件数の中の12%ですが、特許出願人の数で見た場合、特許出願人の中の57%は中小企業です。また、日本国特許庁が受け付けている特許出願の数は、全体では、年間40万件を越えていた2006年から漸減傾向にある中で、中小企業による特許出願の数は2011年以降増加傾向にあります。
 中小企業の数全体に対して特許出願を行っている中小企業の割合は全国平均で0.3%弱(製造業に限った場合:2.4%)ですが、東京、神奈川、大阪などでは特許出願を行っている中小企業の割合が増加傾向にあります。
 平成24年中小企業実体基本調査(中小企業庁)、中小企業白書2009(中小企業庁)によれば、特許権を所有している会社の売上高営業利益率は、特許権を所有していない会社よりも高くなっています(特許あり:3.5%、特許なし:1.8%)。従業員一人あたりの営業利益も、特許権を所有している会社の営業利益が、特許権を所有していない会社よりも高くなっています(特許権を所有している会社:0.96百万円、特許権を所有していない会社:0.29百万円)。
 特許権は保有しているだけで実際には使われていないことの方が多いなどと言われることがありますが、平成24年中小企業実体基本調査(中小企業庁)、平成24年企業活動基本調査(経済産業省)によれば、自社で保有している特許権を実際に使用している割合は大企業で35.4%に過ぎないところ、中小企業では保有特許の63.4%を使用していることになっています。
 大企業よりも中小企業の方が、保有している特許を実際に使用している割合が高いわけですが、平成24年企業活動基本調査(経済産業省)によれば、大企業における売上高営業利益率は全産業で2.6%、製造業で3.2%ですので、上述した特許権を所有している中小企業の売上高営業利益率(3.5%)は、大企業における売上高営業利益率より高いことになっています。
 このように、特許出願・特許取得などの活動は、企業の事業、特に、中小企業の事業において大きな意味を持っています。

 次回からは、企業の事業、特に、中小企業の事業の中で、特許出願・特許取得などの活動をどのように進めていくことが事業の拡大・発展に貢献し得るのか、より好ましい特許出願・特許取得などの活動、これらと会社の事業との結びつきなどについて解説を複数回に分けて行います。

※中小企業基本法による定義「製造業その他:資本金3億円以下または従業員300人以下、サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下、小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下」
以上


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ニューストピックス■

●INPITによるタイムスタンプ保管サービス●

 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)による「タイムスタンプ保管サービス」が開始されました。ここではタイムスタンプ保管サービスの概要を紹介します。

 技術情報を営業秘密として保護する場合や先使用権として保護する場合は、対象となる情報がある時点に確かに存在していたことを証明する必要があります。
 タイムスタンプ保管サービスは、技術情報などの電子文書が存在したことを証明する鍵である「タイムスタンプトークン」を公的機関であるINPITが無料で預かるものです。これにより、営業秘密や先使用権などに関する特定の資料が、作成日とされる時点に存在していたかについて、訴訟中に疑義が生じた際に、作成日時の立証負担を軽減する効果が期待できます。

◎サービス利用の活用事例◎

・特許、意匠、商標等の侵害訴訟において、被疑侵害者が先使用権を主張する際に、発明や意匠の実施である事業又はその準備をしていたことを立証したり、商標の先使用を立証したりするケース
・他者の特許権や意匠権の有効性を争う審判や訴訟等において、特許や意匠登録の無効理由となる技術情報等が、出願された時点において公知であった事実を立証するケース
・商標登録の取消しの審判において、商標権者等が登録商標の使用を立証するケース
・営業秘密漏えい事件の訴訟において、漏えいした技術を営業秘密保有者自らがその時点以前に保有していたことを立証するケース

◎タイムスタンプ保管サービスの詳しい解説(INPIT)
http://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/ts.html

●「商標審査基準」を大幅に改訂(特許庁)●

 特許庁は、「商標審査基準」を大幅に改訂したと発表しました。
 商標審査基準は、商標審査実務における商標法の適用についての基本的な考え方(解釈・運用など)をまとめたもので、審査の指針としての位置付けに加え、出願人や代理人が特許庁の審査実務に対する理解を深めるために広く利用されています。
 商標審査基準は、昭和46年に初版が発表されて以降、全面的な改訂は45年ぶりとなります。改訂は今年度と来年度の2か年計画で進められる予定です。
 改訂のポイントは、内容面の観点からは、各条項における用語の定義・解説や事例を追加、構成面の観点からは各項目に係る見出しの追加、用語の統一などとなっています。
 改訂「商標審査基準」は、平成29年4月1日以降の審査に適用されます。
 詳細は特許庁HPをご参照ください。

商標審査基準の改訂について
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/shinsa_kijun_kaitei.htm

●平成29年度中小企業向け海外侵害対策支援事業●

 特許庁は平成29年度の中小企業等海外侵害対策支援事業の公募を開始しました。ここでは海外侵害対策支援事業の公募の概要について紹介します。

◇「模倣品対策支援事業」
海外で知的財産権の侵害を受けている中小企業者に対して模倣品・海賊版の製造元や流通経路の特定、市場での販売状況等の現地調査を手配し、その調査及び一部の権利行使等にかかった経費の2/3(上限額:400万円)を助成します。

◇「防衛型侵害対策支援事業」
海外で産業財産権に係る係争に巻き込まれている中小企業等に対し、当該対策にかかった係争費用(補助金交付決定した日から2017年12月31日までに発生する費用)の2/3(上限額:500万円)を助成します。

◇「冒認商標無効・取消係争支援事業」
 中国等海外で現地企業から、商標を冒認出願(海外でブランド名等を悪意の第三者が先取出願)された中小企業等に対し、異議申立や無効審判請求、取消審判請求などにかかる経費(採択から2017年12月31日までに発生する費用)の2/3(上限額:500万円)を助成します。

 各支援事業の詳細はジェトロ(日本貿易振興機構)HPをご参照ください。
https://www.jetro.go.jp/services/

●海外知財訴訟保険、7月から制度を拡充(特許庁)●

 特許庁は7月から中小企業が海外で特許などの侵害訴訟に巻き込まれた場合の費用を支払う「海外知財訴訟費用保険」制度の内容を拡充します。
 同保険制度では、中小企業が進出した国で特許などの侵害で訴えられた場合にかかる弁護士相談や通訳にかかる費用、鑑定費用などに必要な金額を保険金として支払います。大手3損保が引き受けて、国は中小企業を会員とする全国規模の団体(商工会議所など)を通じて、掛金の半額を補助しています。
 現在は、保険の対象地域が中国などを含むアジアだけですが、7月からは全世界に広げ、加入地域を選択できます。保険金の支払額限度は、これまで最大1000万円だったものを最大5000万円に引き上げます。保険金支払限度額も、従来の500万円、1000万円の枠に、3000万円、5000万円の枠が追加されます。
4月24日から募集を開始しています。保険期間は、平成29年7月1日〜平成30年6月30日。

詳しくは経済産業省HP
http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424002/20170424002.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  ■イベント・セミナー情報■

5月26日 東京都知的財産総合センター
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2017/290526tokkyokouho.html
特許公報の読み方セミナー
(東京都知的財産総合センター)

5月25日 AP秋葉原
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2017/290525knowhow.html
ノウハウ管理セミナー
(東京都知的財産総合センター)

********************************************************

発行元 : 鈴木正次特許事務所
〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
新宿山崎ビル202
TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340
E-mail:
URL: http://www.suzuki-po.net/

********************************************************

本メールの無断転載はご遠慮下さい。
本メールマガジンの記載内容については正確を期しておりますが、弊所は、利用される方がこれらの情報を用いて行う一切の行為について責任を負うものではありません。

〔戻る〕
鈴木正次特許事務所

最終更新日 '17/10/19