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特許庁から「特許行政年次報告書2017年版」が公表されています。 報告書によると、特許出願の審査請求から審査結果が最初に通知されるまでの期間(ファーストアクション期間:FA期間)は、2016年平均が9.5ヶ月と10ヶ月を切っています。 特許出願の審査については、一定の要件を満たせば、早期審査請求をすることができます。 https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/v3souki.htm 早期審査請求した場合のファーストアクション期間は、平均が3ヶ月を切っており、通常の審査より約7ヶ月も早く審査結果を受け取ることができます。より早く審査結果を得た い場合は、早期審査請求がお勧めです。 詳しくは当事務所までご相談ください。 ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃ ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■中小企業の知財戦略■ (4)特許調査(前半) 前回はマーケティングからの技術開発での発明発掘、技術開発部門・生産現場での発明発掘について説明しました。 今回は、発明発掘の過程で同時並行的に行うとより効果的である特許調査について説明します。 A.J Plat Patを用いた特許調査 特許調査は特許庁が無料で公開しているウェブサイト、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で行うことができます。 慣れるまでは少し難しいかもしれませんが、J Plat Patの中の「特許・実用新案テキスト検索」で検索するのが便利です。 https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM201_Top.action 「特許実用新案テキスト検索」の使い方を以下に簡単に説明します。 詳しくはJ-PlatPatのガイドブックで紹介されています。 http://www.inpit.go.jp/content/100860775.pdf B.検索対象とする公報種別の選択 「特許・実用新案テキスト検索」では、最初に、検索対象にする公報の種別を選択します。出願日から1年6カ月が経過した時点で、将来、特許庁の審査を受けて特許成立するものであるかどうかを問わずに特許出願のすべてが公表される「特許出願公開公報」、特許庁での審査を経て特許権が成立したものだけが公表される「特許公報」、特許庁での審査を受けることなく出願後3〜4カ月で自動的に登録(実用新案権成立)される「実用新案登録公報」の中のいずれを検索対象にするのか、あるいは、これら個別ではなく、全部を検索対象にするのか選択します。 C.検索項目の選択 次に、「特許出願公開公報」、「特許公報」の中に含まれている項目の中のいかなる項目を検索対象にするか選択します。例えば、「出願人/権利者」を「検索項目」に選択できます。また、特許出願の際に特許庁へ提出された発明を説明している文章である「要約書」、「特許請求の範囲」、「明細書」の中に含まれている単語をキーワードとして検索する場合には、これらの中から選択できます。例えば、「要約」、「要約+請求の範囲」、「発明の名称」、「公報全文(書誌を除く)」などを「検索項目」に選択できます。 D.検索キーワードの入力⇒検索 同業他社の製品に特許番号が表示されていた場合には、公報種別として「特許公報」を、「検索項目」に「登録番号」を選択し、その特許番号を「検索キーワード」に入れて「キーワードで検索」をクリックするだけで検索できます。 「検索項目」として「出願人/権利者」を選択し、出願人名称として同業他社の会社名を「検索キーワード」に入れて「キーワードで検索」をクリックするだけで検索することもできます。 なお、J-PlatPatでは、一般の検索データベースで行われる「あいまい検索」は行われません。キーワードの完全一致検索を基本にしていますので注意が必要です。 E.and条件で「検索項目」を追加 「出願人/権利者」で検索したところヒット件数が非常に多いときは、and条件で「検索項目」を追加します。例えば、「出願公開公報」を対象にしているときには「公開日」を、「特許公報」を対象にしているときには「登録公報発行日」を「検索項目」に選択し、「検索キーワード」欄に、例えば、20170101:20170731と入力して検索することで、2017年1月1日〜7月31日の間に公報発行されたものだけを検索できます。これでヒット件数を抑えて検索できます。 次回は、発明の説明に用いられる「単語」の検索、IPC(国際特許分類)をキーワードにした検索、審査経過・現状の把握などについて説明します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ニューストピックス■ ●FA期間は平均9.5月、特許査定率は75.8%(特許庁)● 特許庁が公表した「特許行政年次報告書2017年版」によると、特許出願の審査請求から審査結果が最初に通知されるまでの期間(ファーストアクション期間:FA期間)は、2016年平均が9.5ヶ月でした。 商標出願の場合は、出願から最初に審査結果が通知されるまでの期間は、2015年平均は4.0ヶ月でしたが、2016年平均は4.8ヶ月となり、前年より0.8ヶ月遅くなったことが分かりました。 また、特許審査実績をみると、2016年の一次審査件数は246,879件、特許査定件数は191,032件、拒絶査定件数は58,638件、特許登録件数は203,087件となりました。 特許査定率は、年々上昇しており、2016年は75.8%でした。特許庁では、特許査定率の増加は、特許法条約(PLT)への加入に伴う、拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用変更影響による、戻し拒絶査定件数の一時的な減少などが要因であると分析しています。 「特許行政年次報告書2017年版」は、特許庁HPからダウンロードができます。 https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017_index.htm ●トマトジュース製法の特許を認めず(知財高裁)● トマトジュースの製法をめぐって、食品メーカーの「カゴメ」が、大手飲料メーカー「伊藤園」の特許を有効とした特許庁の審決を取り消すよう求めた訴訟で、知的財産高等裁判所は、カゴメの主張を認め、特許庁の審決を取り消す判決を言い渡しました。 伊藤園は、トマトジュースを作る際に、糖度などの成分を一定の割合に調整することで、「濃厚な味わい」や「酸味を抑えたフルーツトマトのような甘み」を生み出す技術を発明したとして、平成25年に特許を取得しました。 これに対してカゴメは、「主観的な感覚である『味』をいくつかの成分の割合だけで決めることはできない」として特許の無効を主張して特許庁に審判を請求しましたが、昨年5月の審決では「有効」と判断されました。このためカゴメが知財高裁に提訴していました。 判決で知的財産高等裁判所は、伊藤園が特許出願の際に提出した明細書について「記載内容が不十分で、特許だとする成分の調整だけで濃厚な味わいが得られるとはいえない」と指摘、特許請求している発明が明細書の記載に十分には支えられていないとして、特許を認めた審決を取り消しました。 ●技能人材の確保やIoTの活用など課題(ものづくり白書)● 経済産業省は、2017年版「ものづくり白書(ものづくり基盤技術の振興施策)」を発表しました。 白書では、少子高齢化で技能人材の確保問題が顕在化していると製造業の現状を分析。また、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」といったデジタルツールの積極的な活用が課題だと指摘しました。 白書では、約8割の企業が人材確保が課題と認識しており、中小企業の22.8%が事業で実際の影響が出ていると回答するなど、人手不足が深刻化している現状が浮き彫りになりました。 また、製造現場でのデータ収集について、データを収集している企業は昨年から26%増加しています。具体的な用途活用まではいたっていないものの、関心は高まっている様子がうかがえます。 中小企業の66.6%が製造現場において設備にセンサなどを設置し、生産状況のデータを収集するなど、何らかのデータを収集していることが分かりました。これらのデータの53%が製造部門で活用されています。しかし、こうしたデータの収集・活用は、生産現場の生産性向上には活用されていますが、経営戦略的観点から行われていないケースが多いとみられます。 IoTの活用では、具体的にどのように使うかが課題になります。白書では、部品や、最終製品など産業分野ごとに先進的な取り組み事例を紹介しています。加えて、「ものづくり」にとどまらずに、サービスなどにも事業を広げることも視野に入れて検討すべきと訴えています。 「ものづくり白書」は経済産業省HPで公開しています。 http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/ ●ブランドデザインの保護、意匠法改正を視野に検討(特許庁)● 特許庁は、「産業競争力とデザインを考える研究会」を設置し、このほど第1回の会合を開催しました。 製品の同質化(コモディティ化)が急速に進む中、機能や品質のみで他者製品を凌駕するだけの差別化が困難な時代を迎えています。実際、日本企業の製品は、機能等で優れた製品を販売しても、直ちに新興国企業がこれに追随し、販売価格の下落を招き、競争優位を確保しがたい状況に直面しています。 一方、米アップル社や英ダイソン社をはじめとする欧米企業は、明確な企業理念に裏打ちされた自社独自の強みや技術、イメージをブランド・アイデンティティとしてデザインによって表現し、製品の価値を高め、世界的な市場拡大に結び付けています。 このため、研究会では今後、意匠法の改正も視野にデザインによる日本企業の競争力強化に向けた課題を整理し、その対応策を検討します。 2018年3月までに具体策を盛り込んだ報告書を取りまとめ、2019年の法改正を目指す方針です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
8月9日 AP秋葉原 http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2017/290809zeikan.html 模倣品対策の基本と税関での輸入差止申立手続き (日本関税協会) 8月31日 東京都中小企業振興公社 http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2017/290831teiansho.html 発明提案書のまとめ方セミナー (東京都知的財産総合センター) ******************************************************** 発行元 : 鈴木正次特許事務所 〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5 新宿山崎ビル202 TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340 E-mail: URL: http://www.suzuki-po.net/ ******************************************************** 本メールの無断転載はご遠慮下さい。 本メールマガジンの記載内容については正確を期しておりますが、弊所は、利用される方がこれらの情報を用いて行う一切の行為について責任を負うものではありません。 |