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◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
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━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━

2017年9月1日号


 ◎本号のコンテンツ◎


  ☆知財講座☆

 ■中小企業の知財戦略■

 (5)特許調査(後半)


  ☆ニューストピックス☆

 ■特許異議申立、最新の状況(特許庁)
 ■クラウド会計ソフトの特許権侵害を認めず(東京地裁)
 ■「aiwa(アイワ)」ブランドが復活
 ■平成28年度「特許出願技術動向調査」を公表(特許庁)


  ☆イベント・セミナー情報


 特許庁は、「特許異議の申立ての状況、手続の留意点」について最新の状況を公開しました。特許異議の申立て件数は、平成27年4月に制度が開始されて以降、累計で2,240件となっています。

 特許異議申立制度は、原則として書面審理を採用しているので、無効審判と比較して申立人の負担が少なくて済むという特徴があります。特許異議申立など、権利侵害に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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■中小企業の知財戦略■

(5)特許調査(後半)

 前回に引き続いて特許調査について説明します。前回はJ Plat Patの「特許・実用新案テキスト検索」で行う調査について紹介しました。
https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM201_Top.action
 前回は、B.検索対象とする公報種別の選択、C.検索項目の選択、D.検索キーワードの入力⇒検索、E.and条件で「検索項目」を追加するまでを説明しました。これに引き続いて次のように調査を進めることができます。

F.発明の説明に用いられる「単語」で検索

 「出願人/権利者」の名称を「検索キーワード」に使用する検索に慣れてきたならば、この検索でヒットした「特許出願公開公報」の中の「要約書」や「特許請求の範囲」の文面に注目し、どのような単語が使用されているか検討します。「要約書」は特許出願で特許請求している発明の概要(課題、解決手段)が400字程度で記載され、特許調査の便に資することを考慮して特許出願の際に出願人が提出している文章です。「特許請求の範囲」は、特許出願で特許取得を希望している発明を明確、簡潔に記載している文章です。
 「要約書」や「特許請求の範囲」の文章の中にその技術を説明する上で特徴的に使用されている単語が存在しているならば、今度は、「検索項目」を、「要約」や「要約+請求の範囲」などとし、その単語を「検索キーワード」に入れて検索することができます。

G.IPC(国際特許分類)をキーワードにした検索

 更に慣れてきたならば、同業他社が行っている自社の技術分野と関係がある技術分野の特許出願公開公報に付されている国際特許分類(International Patent Classification)IPCを用いることができます。「検索項目」に「IPC」を、「検索キーワード」に同業他社が行っている自社の技術分野と関係がある技術分野の特許出願公開公報に付されているIPCを入力し、and条件で追加する「検索項目」で「要約」や「要約+請求の範囲」を選択し、「検索キーワード」に上述した「キーワード」となる単語を入れて検索することが可能になります。
 and条件で「検索項目」を追加して見なければならない公報の件数を抑えながら、どのような「単語」が「要約書」や「特許請求の範囲」によく使用されているのか、付与されているIPC(国際特許分類)の細区分はどのようになっているのか、等を見ていくことで検索に使用するキーワードを絞り込み、検索精度を上げることができます。

H.審査経過・現状の把握

 ヒットした公報を画面表示すると画面の右上に「経過情報」というボタンが表示されます。これをクリックして審査経過・現状の把握を行うことができます。次のような表示により審査結果・現状を把握できます。
 査定種別(査定無し):まだ特許庁での審査結果が確定していない状態です。画面上側に表示される「出願情報」ボタンをクリックすると状況把握できます。
 査定種別(査定無し) 最終処分(未審査請求によるみなし取下) 最終処分日(平○○.○○.○○):出願日から3年以内に審査請求しなかったことで出願が消滅したことがわかります。
 登録記事○○○○○○○○ (平○○.○○.○○) 本権利消滅日(平○○.○○.○○):特許権が成立したが特許権を維持するために特許庁へ毎年納付する特許料(特許維持年金)の納付を行わなくなった等の理由で特許権が消滅したことがわかります。消滅した特許権はだれでも自由に実施可能になります。
 登録記事○○○○○○○○ (平○○.○○.○○):特許権が成立し、現存しています。画面上側の「登録情報」ボタンをクリックすることで権利存続期間、特許維持年金の納付状況を確認できます。

I.技術開発を進める方向の参考にする

 特許調査を行うことで、同業他社がどのような特許出願を行っているのか、自社の技術分野、自社がこれから進んでいこうと目論んでいる技術分野でどのような特許出願(特許出願公開公報)が行われているのか、どのような特許権(特許公報)が成立しているのかを把握できます。
 こうして把握した情報に基づいて、会社内で行っている発明発掘活動で検討している技術開発を進めていく方向、他社の特許出願・特許権と抵触しないようにしながら、なおかつ、特許出願に足る発明を発掘する活動を進めることが可能になります。

 次回は、特許出願による発明の保護、特許出願を行わない、ノウハウ・営業秘密としての発明の保護について説明します。
以上


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■ニューストピックス■

●特許異議申立、最新の状況(特許庁)●

 特許庁は、「特許異議の申立ての状況、手続の留意点」について最新の状況を公開しました。それによると、特許異議の申立て件数は、平成27年4月に特許異議申立制度が開始され、同年10月より申立てが本格化して以降、累計で2,240件となり、そのうち1,305件(約58.3%)が最終処分に至っています(平成29年6月末時点)。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/sinpan/sinpan2/igi_moushitate_ryuuiten.htm
 内訳は、平成27年に申立てがされた事件については96.7%、平成28年に申立てがされた事件については60.6%、平成29年に申立てがされた事件については14.5%が、それぞれ最終処分に至っています。最終処分に至った事件では、訂正をせずに維持決定となった割合は28.6%、訂正により維持決定となった割合は約23.2%、取消の割合は5.2%となっています。
 審査がほぼ終了している平成27年分をみると、維持(訂正なし)が39.8%、維持(訂正あり)が43.7%、取消が12.1%となっており、訂正なしで維持されたものは40%を超えていません。

 特許異議申立は、特許掲載公報発行日から6カ月と期間は限られますが、基本的に手間やコストの面において無効審判よりも有利といえます。
 特許庁に審査のやり直しを求めることで特許請求の範囲が狭められる可能性が高いので、特許異議申立て制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

●クラウド会計ソフトの特許権侵害を認めず(東京地裁)●

 クラウド型会計ソフト「MFクラウド会計」のサービスを提供している株式会社マネーフォワードが、同業のフリー株式会社が所有している特許第5503795号を侵害しているとして、フリー社が、マネーフォワード社に対して、「MFクラウド会計」を提供するクラウドシステム、プログラムの生産・使用の中止及び廃棄、会計サービス「MFクラウド会計」を提供する方法の使用中止を求めた訴訟(平成28年(ワ)第35763号 特許権侵害差止請求事件)の判決が東京地方裁判所で7月27日にあり、東京地裁は、フリー社の請求を棄却しました。
 平成25年(2013年)3月18日を最初の特許出願日とし、平成26年(2014年)3月20日に特許成立したフリー社の特許は、 クラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理装置、会計処理方法、会計処理プログラムであって、「取引内容の記載に複数のキーワードが含まれる場合には、キーワードの優先ルールを適用して、優先順位の最も高いキーワード1つを選び出し、それにより取引内容の記載に含まれうるキーワードについて対応する勘定科目を対応づけた対応テーブル(対応表のデータ)を参照することにより、特定の勘定科目を選択する」自動仕分けであることが必須になっています。
 判決では、平成25年(2013年)からマネーフォワード社が提供を始めた「MFクラウド会計」では、「いわゆる機械学習を利用して生成されたアルゴリズムを適用して、入力された取引内容に対応する勘定科目を推測していることが窺われる」とし、マネーフォワード社の「MFクラウド会計」はフリー社の特許を侵害していないと判示しました。

●「aiwa(アイワ)」ブランドが復活 ソニーから商標権●
 オーディオ機器ブランドとして長年親しまれた「aiwa(アイワ)」ブランドが復活します。秋田県の通信機器メーカー「十和田オーディオ」が、ソニーが保有していたアイワの商標権を取得し、新会社「アイワ」(東京)を4月に設立。今秋からCDラジカセや4Kテレビなどを発売する予定です。ブランドに親しんだ世代に加え、新たな顧客層の開拓やアジアを中心とした海外展開も目指す方針です。
 旧アイワは、1951年に創業。日本初のラジオカセットレコーダー(ラジカセ)や、ヘッドホンステレオ、ミニコンポなど、低価格のオーディオ機器ブランドとして人気を博しました。しかし、業績の悪化に伴い、2002年にソニーに吸収合併され、携帯オーディオプレーヤーなどを展開していましたが、その後も業績が振るわず、2008年にはソニーブランドとのすみ分けが難しくなったとして、「アイワ」ブランドの製品は生産を終了しました。
 十和田オーディオはEMS(電子機器の受託製造サービス)の十和田エレクトロニクスを中核とする十和田グループの1社。1961年、ソニーの協力工場として設立されました。

●平成28年度「特許出願技術動向調査」を公表(特許庁)●

 特許庁は、注目分野の特許出願技術動向調査をとりまとめ、公表しています。平成28年度調査では、第4次産業革命との繋がりが深いIoT関連技術である「スマートマニュファクチャリング技術」や、革新的なバイオテクノロジー技術である「ゲノム編集及び遺伝子治療関連技術」等、社会的に注目を集めている分野を中心に15の技術テーマを選定しています。
 この技術動向調査は、これまでに公開されている公開公報や特許出願の分析に基づいて行われていますので、今後の研究開発テーマや技術開発の方向性を検討する際には参考になると思われます。
 まずは、自社の技術分野の技術動向をこのような報告書でチェックしてみてはいかがでしょうか。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/gidou-houkoku.htm

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  ■イベント・セミナー情報■

9月5日 発明会館
知的財産権 初心者講座
http://www.jiii.or.jp/kenshu/h29/0905.pdf
(発明推進協会)

9月28日 セイコーインスツル
知的財産保護のためのタイムスタンプセミナー
https://www.seiko-cybertime.jp/patentseminar/
(セイコーソリューションズ)

10月13日 東京都新宿区 新宿三葉(ミツバ)ビル
「職務発明規定改定の最新動向」
https://jun14dai.blogspot.jp/
(TH総合法律事務所 弁護士・弁理士 高橋淳)

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発行元 : 鈴木正次特許事務所
〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
新宿山崎ビル202
TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340
E-mail:
URL: http://www.suzuki-po.net/

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最終更新日 '18/03/12