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◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
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2020年11月1日号


  本号のコンテンツ


  ☆知財講座☆

 ■弁理士が教える特許実務Q&A■

(35)特許維持年金


  ☆ニューストピックス☆

 ■複数意匠一括出願を導入(改正意匠法、令和3年4月1日施行)
 ■申請書類の押印を原則廃止へ(特許庁)
 ■審査の質、ユーザーの評価が向上(特許庁)
 ■「量子暗号通信」の事業化、来年度から国内外で開始(東芝)
 ■審査・審判の面接ガイドラインを改訂(特許庁)
 ■「内装の意匠」で2件の登録公報発行



 令和元年改正意匠法のうち、今年4月1日に施行されていなかった部分の施行期日が令和3年4月1日と決まりました。複数意匠一括出願の導入など、意匠登録出願手続きが簡素化されます。
 そこで今号では、令和3年4月1日に施行される改正意匠法の項目の概要について取り上げます。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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■弁理士が教える特許実務Q&A■

(35)特許維持年金

【質問】
 特許権を無事に取得できましたが、特許成立後、毎年のように特許庁に特許料を納付しなければ特許権を維持できないという説明を受けました。これはどのようなものなのでしょうか?

【回答】
 特許権は成立すればそれで終わりではなく、特許成立後の特許権を維持するための特許料を毎年のように特許庁へ納付する必要があります。
 特許発明を日本国内において独占排他的に実施できる特許権についての「権利料」と言えるかもしれません。

◇特許維持年金

<審査請求を行える期間>
 特許出願についての特許庁での審査の結果「この出願については、拒絶の理由を発見しないから、特許査定をします。」という審査官の最終判断である「特許査定」を受けたときには、その受領の日から30日以内に1〜3年分の特許料を特許庁に納付することで、ようやく、特許権が成立します。1〜3年分の特許料を納付しない場合には特許出願が却下されて消滅します。
 特許権成立後は、特許権を維持するための特許料を毎年のように特許庁へ納付することになります。毎年のように納付を行うことからこれを特許維持年金と呼ばれることがあります。
 特許権設定登録の際に1〜3年分の特許料を納付していますので4年目の特許料は特許権設定登録の日(=特許成立日)から3年が経過する日(=納付期限)までに特許庁へ納付することになります。
 例えば、2020年11月4日に特許権が成立した場合、1〜3年分の特許料を納付していますので、特許権は2023年11月4日まで有効に存続します。翌年度の第4年次に相当する2023年11月5日から2024年11月4日の期間にも特許権を有効に存続させたいと考えた場合には、翌年度の特許料(特許維持年金)の納付期限、すなわち、3年次が満了する2023年11月4日までに、第4年次の特許料を特許庁へ納付しなければなりません。
 第4年次の特許料を納付期限までに納付しない場合、特許権は特許料納付済の第3年次が満了する2003年11月4日をもって消滅します。このように、翌年度の特許料(特許維持年金)を特許権成立日に対応する日である納付期限までに納付しない場合、特許権は特許料納付済の年限が満了する時点で消滅する仕組みです。
 2004年(平成16年)4月1日以降に審査請求を行った特許出願に成立する特許権について特許庁へ納付する特許料は次のようになっています。

各年の区分金額
第1年から第3年まで毎年2,100円+(請求項の数×200円)
第4年から第6年まで毎年6,400円+(請求項の数×500円)
第7年から第9年まで毎年19,300円+(請求項の数×1,500円)
第10年から第25年まで毎年55,400円+(請求項の数×4,300円
第21年から第25年については、農薬、医薬品等の発明で権利存続期間の延長登録出願があった場合のみ


 特許維持年金と称されるように、第4年次以降の特許権を維持するための特許料は、一年ごとに「翌年度も特許権を維持し続ける必要があるか否か」を検討し、必要があれば、毎年、納付期限までに翌年度の特許料を納付することになります。
 上記の表の通り9年次までは3年ごとに特許料が値上がりします。そこで、1年ごとでなく、3年ごとに3年分、等、複数年分をまとめて納付することも可能です。また、権利存続期間満了日までの特許料をまとめて一括で納付しておくこともあります。例えば、他社に実施許諾したことから特許権を維持し続ける必要が生じた場合などにこのような一括納付が行われることがあります。
 特許権が成立して9年が経過する時点から納付する第10年次以降の特許料は第9年次までに比較して高額になります。特許権は特許権者のみが特許発明を独占排他的に実施できる独占権です。「特許成立後10年経過してまだ独占し続けたいということならばそれなりの金額の権利料(特許料)を支払ってください」という趣旨なのかもしれません。
 なお、2019年4月1以降に審査請求が行われている特許権に関しては、所定の条件を満たす中小企業は、第1年分から第10年分の特許料が1/2に減免される等の中小企業向けの減免を受けることができます。詳しくは、専門家である弁理士にお問い合わせください。

・特許料等の減免制度
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmensochi.html

◇特許権は出願日から20年で消滅する
 翌年度の特許権を維持・存続させるために毎年のように特許料を特許庁へ納付した場合でも「特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。」(特許法第67条第1項)ことになっています。なお、農薬、医薬品等の発明で権利存続期間の延長登録出願を行って延長が認められた場合には、延長が認められた期間、最大で出願日から25年が経過するまで特許権の権利存続期間が延長されることがあります。
 特許権は出願日から20年で消滅することから、例えば、2015年5月7に特許出願して2020年11月4日に成立した特許権の場合、納付期限である2034年11月4日までに翌年分の第15年次特許料を特許庁に納付しても、特許権は、2035年11月4日まで存続するのではなく、2035年5月7日をもって「権利存続期間満了」により消滅します。第15年次に関しては半年程度の権利存続期間に対して一年分に相当する第15年次特許料を納付することになります。

◇特許維持年金納付期限の管理は特許権者が行う
 特許権を維持するための毎年の特許料(特許維持年金)納付に関しては、納付期限を経過しても経過後6ヶ月間の追納期間であれば、上述した表に記載した通常料金の二倍の額を納付することで特許権を維持、存続させることができます。
 上述したように、翌年度の特許料(特許維持年金)を特許権成立日に対応する日である納付期限までに納付しない場合、特許権は特許料納付済の年限が満了する時点で消滅しますが、正確には、追納期間を経過するのを待って「特許維持年金未納により特許権消滅」という特許庁内での処分が行われることになります。
 なお、特許維持年金の納付期限前に特許庁から権利者に対して事前連絡が行われることはありません。特許権者が、納付期限を管理して自分の責任で特許維持年金を特許庁に納付する必要があります。
 一般的には、特許権者になる特許出願人が、特許出願から特許権設定登録までの手続を行った代理人(弁理士)との間で所定の契約を結ぶ等して特許維持年金納付の管理サービスを受けることが行われています。
 なお、特許庁は、特許料等の納付時期の徒過による権利失効の防止を目的として以下のような種々の取り組みを行っています。

◇特許維持年金納付期限事前通知サービス 
 次期の特許維持年金納付期限が到来する前に注意喚起を受けるサービスで、アカウント登録を行った者が希望する特許番号に対して、特許料等の次期納付期限日をメールで通知受けるものです。なお、特許権維持のためには、通知を受けた後、別途に、納付期限までに特許維持年金納付手続を行わなければ特許権は維持できません。

・特許維持年金納付期限事前通知サービス
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/kigen_tsuchi_service.html

◇設定登録料金の包括納付制度
 特許出願を特定することなく「包括納付申出書」を特許庁に提出することで、申出人の予納台帳または指定銀行口座から特許料等が特許庁に徴収され、設定の登録が自動的に行われるものです。この制度を利用することで、特許出願人は納付期限を心配することなく、また納付手続の簡素化が実現されるとされています。

・設定登録料金の包括納付制度
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/nohu/houkatunouhu.html

◇特許料の自動納付制度
 特許権設定登録後の特許維持年金の納付を対象として「自動納付申出書」を特許庁に提出することにより、申出人の予納台帳または指定銀行口座から特許料等が特許庁に徴収され、特許庁に備えられている特許原簿に一年ごとに自動登録が行われるサービスです。特許権者は納付期限を心配することなく、また、手間を省いて権利を安全に維持・存続させていくことが可能になるとされています。

・特許料の自動納付制度
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/nohu/jidounoufuseido.html

<次号の予定>
 「毎日のように製造を行い、毎日のように工夫を重ねています。このような毎日の仕事、作業の中から発明を発掘することはできるのでしょうか?」という質問を受けることがあります。次回は、発明発掘についての一般的な手法について説明します。

以上

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■ニューストピックス■

●複数意匠一括出願の導入など、意匠登録出願手続きを簡素化 (改正意匠法、令和3年4月1日施行)

 令和元年改正意匠法のうち、今年4月1日に施行されていなかった部分の施行期日が令和3年4月1日と決まりました。複数意匠一括出願の導入など、意匠登録出願手続きが簡素化されます。
 令和3年4月1日に施行される改正意匠法の項目は、以下のとおり。

@複数意匠一括出願の導入
 従来は、意匠ごとに願書を作成する必要がありましたが、改正後は、複数の意匠をまとめて一括して出願することができるようになります。
 一括出願は、出願手続きの簡素化のため規定されているものであり、審査は意匠ごとに行われます。また1つの意匠ごとに1つの意匠権が発生するという原則は変わりません。
 主要国(米欧中韓)では要件は異なりますが、複数意匠の一括出願が認められています。また、日本が加盟しているハーグ協定においても複数意匠の一括出願が認められています。そのため、ハーグ協定による国際意匠出願に合わせて出願手続きを簡素化することにしました。
 1つのデザインコンセプトに基づき、複数のデザインを同時に出願するときなどは、一括で出願できるメリットがあります。
 一方、1つの意匠ごとに1つの意匠権が発生するという点は現行制度と同じで審査や登録は意匠ごとになされます。したがって、複数意匠一括出願の導入後も印紙代は意匠ごとに計算されるため、1意匠ずつ一の願書で出願している現行制度と比べ、特許庁へ納付する出願料、登録料に変動はありません。

A物品区分の扱いの見直し
 従来は、願書に記載すべき物品の区分の粒度を「物品区分表」により定めていましたが、改正後は、これを廃止し、経済産業省令に「1意匠」の対象となる基準を設けることになります。
 省令で定める物品区分表に記載されている物品の区分と同程度の区分を記載していない出願については、従来は、拒絶理由の対象とされていました。
 「一意匠一出願」の原則で定めている意匠法第7条が「経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。」から「経済産業省令で定めるところにより、意匠ごとにしなければならない。」に改正され、従来のような取り扱いではなくなりました。

B手続救済規定の拡充
 従来は、指定期間が経過した後や優先期間が経過した後の出願等の救済が認められていなかったが、改正後は、指定期間が経過した後や優先期間が経過した後の出願等の救済も認められることになります。平成26年及び平成27年の特許法で既に採用されていた規定を意匠法で準用するようにしたものです。
 特許庁長官等が指定する期間(指定期間)内に手続をすることができなった場合など、当該指定期間の経過後であっても、出願人からの請求により、その指定期間を延長することができるようになります。


●申請書類の押印を原則廃止へ(特許庁)

 経済産業省は、特許や商標出願などの申請手続きについて、全面的に電子化に移行すると発表しました。申請書類の押印を原則廃止し、今後必要な省令の改正を行う方針です。
 特許庁によると、実用新案や商標、意匠を含めて約800種類の申請があり、法人、個人からの申請件数は年間約310万件に上ります。件数ベースではおよそ9割の約290万件は既に完全な電子化対応となっており、押印は不要です。しかし、特許権の移転など、本人確認が必要な約500種類、1割程度の件数では書面申請のままで、これを機に電子申請できるよう見直します。
 今後、電子証明などを活用した本人確認や、当局間のデータ共有による証明書の提出の省略などが可能か検討します。経済産業省は、行政手続きで企業などに求めている押印も原則全廃を目指しています。


●審査の質、ユーザーの評価が向上(特許庁)

 特許庁は、審査の質の現状や審査に対するユーザーの声を把握し、今後の品質管理施策に反映させるため、特許・意匠・商標の審査の質についてのユーザーの評価を調査しました。
https://www.jpo.go.jp/resources/report/user/online_survey.html

【特許】
 国内出願の審査全般の質に対する「普通」以上の評価(5段階評価の3以上)は97.3%(前年度比3.6ポイント増)。
 国際特許(PCT)出願の国際調査等全般の質に対する「普通」以上の評価は97.2%(前年度比0.2ポイント減)。
 重点的に取り組んできた「判断の均質性」、「第29条第2項(進歩性)の運用」に対する「普通」以上の評価はそれぞれ、86.2%(前年度比0.5ポイント増)、88.3%(前年度比0.1ポイント増)。

【意匠】
 意匠審査全般の質に対する「普通」以上の評価は96.5%(前年度比1.4ポイント増)。 ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際意匠登録出願に対する審査全般の質に対する「普通」以上の評価は95.2%(前年度比1.5ポイント減)。

【商標】
 商標審査全般の質に対する「普通」以上の評価は91.3%(前年度比1.1ポイント増)。 重点的に取り組んできた「識別性の判断」、「審査官間の均質性」に対する肯定的評価はそれぞれ、44.0%(前年度比9.2ポイント増)、37.3%(前年度比10ポイント増)。


●「量子暗号通信」の事業化、来年度から国内外で開始(東芝)

 東芝は、次世代暗号技術「量子暗号通信」を国内で初めて事業化すると発表しました。
 「量子暗号通信」は理論上、第三者による解読が不可能とされる次世代の暗号技術です。量子力学の原理を利用した通信技術で、光の粒子である「光子」に暗号化したデータを復元するための「鍵」を乗せて送受信します。不正に読み取ろうとすると光子の状態が変化してしまうため、情報漏えいが防げるといいます。
 東芝は、この量子暗号通信を来年度から日本や欧米で事業化します。
 日本では国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)から通信ネットワークのセキュリティー対策として受注していて、国内での事業化はこれが初めてとなります。海外の事業では、イギリスやアメリカの企業と提携し、2035年までに世界のシェアの25%を獲得したいとしています。
 東芝はこの分野で保有する特許の数が世界1位と研究開発をリードしていますが、中国はすでに実用化を始めているほか、韓国やドイツでも大規模ネットワーク構築の動きがあるなど、世界では開発競争が激化しています。
 量子暗号通信は、金融、医療といった機密性の高い分野での活用が見込まれており、2035年度には市場規模が約2兆円以上に上ると推計されています。また、国の安全保障の面からも欠かせない暗号技術と注目されていて、日本政府も研究開発、実用化に向けた支援を積極的に行うとしています。


●面接ガイドラインを改訂(特許庁)

 特許庁は、審査・審判で実施される面接の手続きを見直しました。
 面接は、これまでは特許庁庁舎等で面会して実施する形式が大半でしたが、面接の手続等をデジタル化し、オンラインでも面接を円滑に実施できるよう、面接ガイドラインを改訂しました。
 改訂後の面接ガイドラインは、令和2年10月15日から運用が開始されています。ガイドラインの主な改訂ポイントは以下の通り。

1.面接記録における自署の省略
 面接記録作成の電子化を推進し、参加者が希望しない限り自署を不要とする。
2.電子メールのさらなる活用
 面接記録等の送受信においても電子メールの利用が可能となる。
3.オンラインで実施する面接の運用改善・整理オンラインで実施する面接の手段が拡充される。

 改訂内容の詳細については、特許庁HP
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/mensetu_guide_kaitei.html

<テレビ面接システムを用いた面接>
 インターネット回線を利用したテレビ面接システムでは、代理人等が自身のPCから面接に参加して、審査官とコミュニケーションを図ることが可能になっています。出願人は会社から、代理人弁理士はその特許事務所から、同時に、インターネット回線を利用したテレビ面接に参加することができます。
 テレビ面接に参加するためには、パソコン、インターネット、ウェブカメラ、ヘッドセット(あるいはマイクとスピーカー)等の機器が必要となりますが、テレビ面接用の特別なソフトウェアをインストールする必要はありません。


●「内装の意匠」で2件の登録公報発行(特許庁)

 本年4月1日から出願が受け付けられるようになった「内装」のデザインについての2件の意匠登録公報が10月26日に特許庁から発行されました。

意匠登録第1671152号
 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社による「書店の内装」についての意匠登録です。「意匠に係る物品の説明」には「本願意匠は、直線的に縦列状に配置された縦長長方形の机と壁面の書棚を有する書店の内装である。」と記載されていて、提出されている図面の中の「薄墨を付した部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」とされています。
 特許庁審査官が内容を審査していない、出願人の記載による「意匠の特徴」には次のように記載されています。
 「縦長の空間で、正面から見て左右の内壁に沿って書棚を配置し、書棚に挟まれた中央の空間に、縦長長方形の机を、縦列に揃えて配置する点に特徴点を有する。加えて、天井のルーバー、同一形状のテーブルライト及び左右の壁面ライトが、等間隔に平行して配置されることにより、正面から見て、空間が奥行きをもって直線的に伸びていくような印象を与え、空港における滑走路を想起させる。
 天井ルーバーが、照明の直接光を遮ることで、空間全体の落ち着いた雰囲気を演出する。来訪者は、程よい照度のテーブルライトのある長机で、コーヒーを飲みながら書店の書籍を読む様な、ゆったりと心地の良い時間を過ごせる。」

意匠登録第1671153号
 くら寿司株式会社による「回転寿司店の内装」についての意匠登録です。「意匠の説明」には「この意匠登録出願の意匠は回転寿司店の内装の意匠であり、支柱と屋根とからなるやぐらの下に、机、椅子、パーテーション、回転寿司搬送装置を配置した構成からなる。」と記載されています。
 特許庁審査官が内容を審査していない、出願人の記載による「意匠の特徴」には次のように記載されています。
 「本願意匠は、回転寿司店の店舗の屋内に、支柱及び屋根からなるやぐらを建て、その下に、机、椅子、パーテーション、回転寿司搬送装置をバランスよく配置した点に特徴がある。」

 従来、意匠法の保護対象は「物品」に限られ、不動産や固体以外のものなど「物品」でないものは保護されませんでした。本年4月1日から保護対象が拡充され、物品に記録・表示されていない画像デザインを保護する目的で「画像」そのものや、不動産である建築物のデザインを保護する目的で「建築物」、複数の物品、壁、床、天井等から構成される「内装」のデザインを保護する目的で「内装」が意匠登録の対象に加えられました。
 今回、内装の意匠登録が2件ありましたが、画像、建築物についてはまだ意匠登録はされていないようです。


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最終更新日 '21/07/09