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◇◆◇ 鈴木正次特許事務所 メールマガジン ◇◆◇
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2023年5月1日号


  本号のコンテンツ


 ☆知財講座☆

 ■弁理士が教える特許実務Q&A■

(65)発明の単一性(2)

 ☆ニューストピックス☆

 ■AIと知的財産権(AIが創作した著作物や発明の権利)
 ■「特許庁ステータスレポート2023」を公表
 ■小野薬品工業、がん治療薬の特許をめぐり米研究所と和解
 ■「ファッションローガイドブック」を公開(経済産業省)
 ■日本の海賊版の被害額、年間2兆円と推計(CODA)
 ■助成金情報 令和5年度「中小企業等外国出願支援事業」
 ■イベント・セミナー情報


 AI(人工知能)を使った対話型ソフト「チャットGPT」の活用が急速に広がっていますが、「チャットGPT」に代表されるAIの利用に関しては、資料作成やデータ収集などの効率化が図れる一方で、著作権などの知的財産権の課題も浮かび上がっています。
 今号では、AIと知的財産権(著作権・特許権)について取り上げます。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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■弁理士が教える特許実務Q&A■

(65)発明の単一性(2)

【質問】
 一件の特許出願では一つの発明しか特許請求できないのでしょうか?

【回答】
 前号で、特許法第37条に規定されている「発明の単一性」について、複数の発明がどのような関係にあれば一件の特許出願で複数の発明を特許請求できるのか説明しました。今号では、引き続いて、「発明の単一性」といわゆる「シフト補正禁止」の規定との間で注意が必要な事項、特許審査基準で例示されている複数発明の間に「発明の単一性」が認められる場合を紹介します。

<最後の拒絶理由通知を受けて補正を行う際の注意>
複数の発明の間における「同一の又は対応する」技術的特徴
 前号で紹介した、「2022年度知的財産権制度入門テキスト 特許制度の概要 特許権の効力」の項で紹介されている事例による鉛筆の発明を用いて説明します。特許請求の範囲の請求項1、2が次のように記載されている特許出願で審査を受けたとします。

請求項1:断面が六角形の木製の軸を有し、当該軸の表面に塗料が塗られている鉛筆。
請求項2:前記軸の一方の端に消しゴムが付いている請求項1記載の鉛筆。
 この場合は、「断面が六角形の木製の軸で、軸の表面に塗料が塗られている、鉛筆」が、請求項1記載の発明と請求項2記載の発明との間における「同一の又は対応する」技術的特徴になります。

同一の又は対応する特別な技術的特徴
 前号で説明したように、審査を受けている特許出願が特許法第37条の「発明の単一性」要件を満たしているかどうかについては、特許請求の範囲に記載された二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているか否かによって判断されます(特許法施行規則第25条の8第1項、特許審査基準)。
 上述の場合、請求項1、2記載の発明の間における「同一の又は対応する」技術的特徴である「断面が六角形の木製の軸で、軸の表面に塗料が塗られている、鉛筆」が、「同一の又は対応する特別な技術的特徴」であるならば、特許請求の範囲に上述した請求項1、2が記載されている特許出願は、特許法第37条の「発明の単一性」要件を満たしている、ということになります。

特許庁の審査での取り扱い
 特許出願の審査では、特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に記載されている発明の中で、発明の単一性の要件(特許法第37条)を満たす一群の発明(すなわち、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する一群の発明)について、発明の単一性(特許法第37条)以外の要件、すなわち、新規性、進歩性などの特許要件を審査します。
 したがって、発明の単一性の要件(特許法第37条)を満たす一群の発明ではないと認められる発明が特許請求の範囲に記載されている複数の請求項の中に存在している場合には、その発明については、発明の単一性(特許法第37条)以外の要件、すなわち、新規性、進歩性などの特許要件は、審査されない取扱いになります。
 ただし、前号で説明したように、特許法第37条違反は拒絶理由であるが異議申立・無効理由ではなく、特許法第37条の「発明の単一性」要件の判断は必要以上に厳格にしない、とされています。そこで、特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に係る発明の中に、発明の単一性の要件(特許法第37条)を満たす一群の発明に該当しない発明が存在していると認められる場合であっても、その発明が、実質的に追加的な先行技術調査及び判断を必要とすることなく審査をすることが可能であると考えられる場合には、当該発明も含めて審査対象にして発明の単一性(特許法第37条)以外の要件である新規性、進歩性などの特許要件についても審査を行う取扱いがされます。
 一方、発明の単一性の要件(特許法第37条)を満たす一群の発明に該当しない発明が特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に係る発明の中に存在していて、その発明については、実質的に追加的な先行技術調査及び判断を行わなければ審査できない、と判断できる場合では、当該発明は「審査対象とならない発明」であるとされ、審査している特許出願に対する拒絶理由通知書には、特許法第37条の「発明の単一性」要件を満たしてないという拒絶理由と、審査対象にした発明についての新規性、進歩性などの発明の単一性(特許法第37条)以外の要件についての審査結果と、「審査対象とならない発明」について、その旨と、審査官がそのように判断した理由とが記載されるようになります。

特許法第37条違反の指摘を受けずに他の特許要件の判断を受ける場合
 特許庁の審査では上述したように審査が行われるので、発明の単一性の要件(特許法第37条)が満たされていない場合には、その旨の拒絶理由の指摘を受けることになります。
 しかし、発明の単一性の要件(特許法第37条)を満たしていないにもかかわらず、その旨が指摘されず、発明の単一性(特許法第37条)以外の要件、すなわち、新規性、進歩性などの特許要件についての審査結果だけを拒絶理由通知書で受けることがあります。
 例えば、上述の鉛筆の発明で、特許庁審査官が審査したところ、請求項1記載の発明(断面が六角形の木製の軸を有し、当該軸の表面に塗料が塗られている鉛筆)は先行技術文献1に記載されているので新規性欠如、請求項2記載の発明(断面が六角形の木製の軸を有し、当該軸の表面に塗料が塗られていて、前記軸の一方の端に消しゴムが付いている鉛筆)は先行技術文献1の記載と先行技術文献2の記載とを組み合わせることで進歩性欠如という拒絶理由を指摘するべきであると判断するに至ったとします。
 前号で説明したように、従来技術と比較した時に新規性が欠如している発明や、進歩性が欠如している発明は、特許法第37条の「発明の単一性」要件の判断において、「先行技術との対比において『技術上の意義』を有していない発明」であるとされる取扱いになります。
 そこで、上述の場合、請求項1記載の発明と、請求項2記載の発明との間には「同一の又は対応する特別な技術的特徴」が存在していないことになり、特許庁審査官は、「特許法第37条の『発明の単一性』要件が満たされていない」という拒絶理由を打つことができます。
 しかし、特許法第37条の「発明の単一性」要件の判断は必要以上に厳格にしない、とされていることから、このような場合に、審査官は、特許法第37条違反を指摘する拒絶理由ではなく、「請求項1記載の発明は新規性欠如、請求項2記載の発明は進歩性欠如」という拒絶理由だけを通知することがあります。

「シフト補正禁止」との関係
 特許出願の審査で拒絶理由を受けた後に行う特許請求の範囲の補正で、特許請求する(=審査を受ける)発明の内容を大きく変更する補正は、いわゆるシフト補正と呼ばれて禁止されています(特許法第17条の2第4項)。シフト補正を行うと、補正後の発明についての新規性、進歩性などの判断を受けることなしに「シフト補正禁止の規定に違反している」として拒絶理由を受けることになります(特許法第49条第一号)。
 特許出願の審査で拒絶理由を受けた後に行う特許請求の範囲の補正では「その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。」というのがシフト補正を禁止する特許法第17条の2第4項の規定です。特許法第37条の「発明の単一性」要件は、シフト補正禁止の規定(特許法第17条の2第4項)でも検討される事項です。
 上述したように、本来であれば、特許法第37条の「発明の単一性」要件を満たしていないという拒絶理由が打たれるところを、請求項1の発明は新規性欠如、請求項2の発明は進歩性欠如、という拒絶理由だけを受けたとします。
 この場合に、「それでは鉛筆の発明については特許取得を断念し、特許出願時の明細書・図面の中に記載していた『消しゴム付きのシャープペンシルの発明』に補正して審査を受けよう」ということで補正を行って拒絶理由に対応するとします。
 このような補正は、特許法第37条の「発明の単一性」要件を満たいしていない発明に補正するものになりますから、特許法第17条の2第4項で禁止されているシフト補正そのものです。
 そこで、「新規性・進歩性欠如を指摘された発明の特許取得は断念し、審査を受けていなかった発明で仕切り直して審査を受けよう」と考えていたところ、「シフト補正禁止」に違反するという拒絶理由、しかも、補正したことに起因する拒絶理由だけを通知する拒絶理由ですから「最後の拒絶理由」を受けることになります。
 このように、審査を受けていたすべての発明に対して新規性欠如、進歩性欠如を指摘する拒絶理由を受けた際の対応で、明細書・図面の中に記載していてまだ審査を受けていない発明に補正して審査を受けようとする場合には注意する必要があります。

複数の発明の間に「発明の単一性」が認められる場合の例示
 特許出願で特許請求したいと考えている発明が、上述した「発明の単一性」の要件を満たすものであるかどうかについては、先行技術との関係、等で様々です。
 そこで、詳しくは、特許出願の代理をする専門家である弁理士に相談することをお勧めしますが、特許審査基準では、「請求項に係る発明間に特定の関係がある場合の判断類型」として以下に説明する関係にある複数の発明の間には「発明の単一性」が認められることになるとしています。

A.物とその物を生産する方法、あるいは、物とその物を生産する機械、器具、装置その他の物
 「物を生産する方法や、物を生産する機械、器具、装置その他の物」が「(その)物」の生産に適している場合、両者は同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する関係にあるとして、「物の発明」と、「(その)物を生産する方法の発明」、「(その)物を生産する機械などの発明」とを一件の特許出願でそれぞれ特許請求して審査を受けることができます。

B.物とその物を使用する方法、あるいは、物とその物の特定の性質を専ら利用する物
 「物を使用する方法」が「(その)物」の使用に適している場合、両者は同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する関係にあるとして、「物」の発明と、「(その)物を使用する方法」の発明とを一件の特許出願でそれぞれ特許請求して審査を受けることができます。
 「物の特定の性質を専ら利用する物」の特別な技術的特徴が「(その)物」の特別な技術的特徴の特定の性質を専ら利用している場合、両者は同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する関係にあるとして、「物」の発明と、「(その)物の特定の性質を専ら利用する物」の発明とを、一件の特許出願でそれぞれ特許請求して審査を受けることができます。

C.物とその物を取り扱う方法、あるいは、物とその物を取り扱う物
 「物を取り扱う方法や、物を取り扱う物」が「(その)物」の取扱いに適している場合、両者は同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する関係にあるとして、「物」の発明と、「(その)物を取り扱う方法」の発明、「(その)物を取り扱う物」の発明とを、一件の特許出願でそれぞれ特許請求して審査を受けることができます。

<次号のご案内>
 他者が特許出願を行った時点で、当該他者の特許出願に係る発明の実施である事業やその事業の準備をしていた者には先使用権が認められます(特許法第79条)。先使用権者は、他者の特許発明を無償で実施して事業継続できます。しかし、先使用権の存在を立証することは簡単ではありません。先使用権の存在を立証する資料の証拠力を高める手法として公証制度、タイムスタンプがあります。
 次号では、これらについて紹介します。

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■ニューストピックス■

■AIと知的財産権(著作権・特許権)■
〜AIが生み出した著作物や発明の権利は?〜

 政府はAI(人工知能)を使った対話型ソフト「チャットGPT」を行政分野で活用することを検討しています。また、全国の自治体や企業でも「チャットGPT」」の活用を模索する動きが広がっています。
 「チャットGPT」は、米国の「オープンAI」というベンチャー企業が開発したAIです。膨大なデータを学習し、利用者が質問をすると、すぐに自然な文章で回答する高度な性能を備え、国内でも急速に利用が広がっています。
 しかし、「チャットGPT」に代表されるAIの利用に関しては、資料作成やデータ収集などの効率化が図れる一方で、著作権などの知的財産権の課題も浮かび上がっています。

【思想・感情を創作的に表現したもの】
 現行の著作権法では、著作物とは「思想・感情を創作的に表現したもの」と定義されているため、自ら思考や感情を持たないAIが生み出した創作物は著作物でなない、つまり、著作権は発生しないということになります。

 AI創作物については、政府の「知的財産推進計画2019」では、次のように記載されています。
@利用者に創作的寄与等が認められれば「AIを道具として利用した創作」と整理でき、当該AI生成物には著作物性が認められるA利用者が(創作的寄与が認められないような)簡単な指示を入力した結果出力された生成物はAIが自律的に生成した「AI創作物」であると整理でき、現行の著作権法上は著作物と認められない。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20190621.pdf

 このように、現行の日本の著作権法ではAIが自動的に生成した「AI創作物」については著作物とは認められませんが、その作品の表現にどれだけ人間が関与しているかによっては著作権が発生する場合もあります。
 例えば、作者が自分の意図するものを試行錯誤してAIに描かせたり、AI創作物に人が加工、修正等など行えば、人の関与があるため、「AIを利用して人間が主体となって創作した」と認められれば、著作権が発生します。反対にAIに簡単な単語や文章を入力して、たまたま生成された創作物には著作権はないとされています。

【発明者は人間に限る】
 特許で保護される「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と特許法で定義されています。
 「思想」や「創作」は、人間だけが持つものなので、AIが生み出した創作物は、「発明ではない」、つまり、特許権は与えられません。
 特許庁は、「発明者」は機械ではなく、人間でなければならないとの判断を示しています。この発明者に関して、特許庁は、「発明者の表示は、自然人に限られるものと解しており、願書等に記載する発明者の欄において自然人ではないと認められる記載、例えば人工知能(AI)等を含む機械を発明者として記載することは認めていません」と見解を示しています。
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/hatsumei.html

 そのため、発明者の欄にAIが記載された特許出願がなされた場合、審査では発明者として自然人以外のものが記載されていることを理由とする補正指令が通知され、補正により方式違反が解消されない場合、特許出願は却下されます。
 AI技術の進化のスピードに対して、現行法では不透明な部分もあります。そのため、特許庁では、AIと知的財産権をめぐる法整備について検討を進めています。今後、新たなルールが整備される可能性があるため、動向に注意する必要があります。

●「特許庁ステータスレポート2023」を公表(特許庁)

 「特許庁ステータスレポート2023」が公表されました。
https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2023/index.html
 ステータスレポートは、特許庁が最新の知的財産権 (特許、実用新案、意匠、商標) の出願、審査、訴訟などに関する統計情報を取りまとめた報告書です。ステータスレポートの中から2022年の特許・意匠・商標の出願状況と審査期間を紹介します。

■出願件数■
【特許】特許出願件数:289,530件。国際特許出願件数75,892件、国際特許出願を除く特許出願件数213,638件。
【意匠】意匠登録出願件数:31,711件。国際意匠登録出願件数3,353件、国際意匠登録出願を除く意匠登録出願件数28,358件。
【商標】商標登録出願件数:170,275件。国際商標登録出願件数19,769件、国際商標登録出願を除く商標登録出願件数150,506件。

■審査期間■
【特許】スーパー早期審査のFA(First Action)期間:0.6月。早期審査のFA期間:2.3月。通常審査のFA期間:10.1月。請求から権利化までの平均期間:15.2月。
【意匠】早期審査のFA期間:1.9月。通常審査のFA期間:6.4月。 出願から権利化までの平均係属期間:7.4月。
【商標】早期審査のFA期間:1.9月。通常審査のFA期間:8.0月。 出願から権利化までの平均期間:9.6月。
※FA期間とは、審査請求から一次審査結果の通知までの平均月数を示します。

●小野薬品工業、がん治療薬の特許をめぐり米研究所と和解

小野薬品工業は、がん免疫治療薬「オプジーボ」関連の特許を巡る訴訟で、米研究所と全面的に和解したと発表しました。
https://www.ono-pharma.com/ja/news/20230407_2.html

 発表によると、オプジーボの特許権を持つ小野薬品と米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)が米ダナファーバーがん研究所に契約一時金を支払うことで和解したということです。金額など和解条件の詳細は非公表としています。
 ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑・京都大特別教授と米研究所の博士2人は、オプジーボに関する論文を共同執筆しており、米連邦地裁は2人を共同発明者に追加すると認定。これを受け、米研究所は特許収入の一部を受け取る権利を主張し、提訴していました。
 オプジーボの特許料をめぐっては、小野薬品が米製薬会社メルクとの特許侵害訴訟の和解で受け取った金額に対し、本庶氏側への分配金が少ないことなどを理由に訴訟となった経緯があります。小野薬品は、2021年に本庶氏に50億円を支払い、京都大学に設立した基金に230億円を寄付して和解しています。

●ファッションローガイドブックを公開(経済産業省)

 経済産業省は、ファッション産業や業界にかかわる法律問題を扱った「ファッションローガイドブック2023 ファッションビジネスの未来を切り拓く新・基礎知識」を公開しました。
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/fashionlaw_wg/pdf/20230331_1.pdf

 グローバル化やデジタル技術の発展などによってファッションを取り巻く環境が劇的に変化し、消費の仕方も多様化しています。
 そのため、ガイドブックでは、ファッション業界で発生するあらゆる法的課題を網羅し、知的財産や労働問題といったテーマから、サステナビリティやデジタルファッションといった近年浮上してきた新たな論点まで幅広くカバーしています。
 ガイドブックでは、「ブランドを立ち上げたらまずやるべきこと」「ファッションデザインの権利について知っておくべきこと」など7つのテーマに分けて、ポイントを解説。
 「著作権」「契約」といった基本的な内容を説明する「Basic」、役に立つリンク先などをまとめた「Reference」などで構成され、ファンションローの観点から知っておきたい内容が実用的なチェックリストにまとめられています。

●日本の海賊版の被害額、年間2兆円と推計(CODA)

 日本の出版社やテレビ局などが加盟する一般社団法人「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」は、インターネット上の漫画やアニメ、ゲームなど日本発コンテンツの海賊版による被害額の推計が約2兆円に上るとの調査結果をまとめました。4年前の調査から約5倍に増え、急速に被害が拡大している実態が判明しました。
https://coda-cj.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2022kaizokubanhigai_researchreport.pdf

 近年、アニメや漫画などをネット上で無断で公開する「海賊版サイト」は、日本から海外に拠点を移す動きが加速していて、今年に入って中国やブラジルでは現地当局による摘発が相次いでいます。
 被害が拡大した要因について、CODAでは、「スマートフォンの通信環境が向上したことに加え、コロナ禍による巣ごもり需要が高まったこと」などと分析していて、今後も被害は広がるとみて対策を強化することにしています。

◆令和5年度「中小企業等外国出願支援事業」(東京都)の概要◆
 東京都は、外国へ特許、実用新案、意匠、商標の出願を予定している中小企業等に対し、外国出願にかかる費用の半額を助成する「中小企業等外国出願支援事業」を実施しています。
 令和5年度の応募受付が5月8日から開始されます。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/tokkyo/

■助成率 1/2以内
■助成限度額 400万円(ただし、出願に要する経費のみの場合は、300万円)
■助成対象経費

  • 外国出願手数料
  • 審査請求料・中間手続費用(審査の早期化に関する制度の利用に係る請求費用を含む)
  • 代理人費用
  • 翻訳料
  • 先行技術調査費用
  • 国際調査手数料
■申請書類提出期間
 令和5年5月8日〜5月23日 17時必着

◆令和5年度 中小企業等外国出願支援事業(ジェトロ)◆

 日本貿易振興機構(ジェトロ)では、中小企業等の戦略的な海外展開を支援するため、中小企業等が、国内出願(特許、実用新案、意匠、商標)と同じ内容を海外で出願する場合に、これにかかる費用の半額を助成する外国出願支援事業を実施しています。
 令和5年度の外国出願支援事業の応募受付が5月8日から開始されます。

【対象事業】 既に日本国特許庁に出願済みの特許、実用新案、意匠、商標を活用して、海外展開を図るために外国へ出願する事業
【対象経費】 外国特許庁への出願手数料、弁理士費用、翻訳料など
【補助率】 補助対象経費の2分の1以内
【補助上限額】
 1企業に対する上限額:300万円
 案件ごとの上限額:特許:150万円 実用新案・意匠・商標:60万円
【受付期間】 第1回 令和5年5月8日 〜 5月19日 

 その他の詳しい要件等は、ジェトロHPをご参照ください。
https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_appli.html


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■イベント・セミナー情報■
 5月25日(木)15:00〜17:00
 職務発明規定改訂オンラインセミナー(Zoom配信)
 講師 みやび坂総合法律事務所 弁護士・弁理士・職務発明コンサルタント 高橋 淳
https://blog.goo.ne.jp/jun14dai/e/0a00c281f14bddcd100dcc332ff7fd4e

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発行元 : 鈴木正次特許事務所
〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
新宿山崎ビル202
TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340
E-mail:
URL: http://www.suzuki-po.net/

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最終更新日 '23/12/11