********************************************************************
◇◆◇ 鈴木正次特許事務所 メールマガジン ◇◆◇
********************************************************************
このメルマガは当事務所とお取引きいただいている皆様、または当事務所とご面識のある皆様にお届けしています。
知的財産に関する基礎知識や最新の法改正情報など、実務上お役に立つと思われる情報をピックアップして、送らせて頂きます。
メルマガ配信をご希望でない場合は、誠に恐縮ですが、下記アドレスまでお知らせください。
suzukipo@suzuki-po.net
━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━
2023年10月1日号
本号のコンテンツ
☆知財講座☆
■弁理士が教える特許実務Q&A■
(70)特許異議申立(2)特許異議申立書の記載要領
☆ニューストピックス☆
■オンライン申請とオンライン発送書類の対象拡大(特許庁)
■AI関連発明の審査体制を強化(特許庁)
■欧州単一特許(UP)の申請状況など公表(欧州特許庁)
■記事利用料、著しく低い設定は独占禁止法違反も(公取委)
■模倣品の輸入差止件数、過去3番目の多さ(財務省関税局)
■「競争」から「共創」へ 自社の技術情報を公開
■「みんなの意匠権 十人十色のつかいかた」発行(特許庁)
|
特許庁は、各種手続のデジタル化を推進するため、オンラインで行うことが出来る申請書類と発送書類の対象を拡大すると発表しました。
発送書類については、希望者は特許証、商標登録証、年金領収書、商標更新申請登録通知などをデジタルで受け取れるようになります。
今号では、特許庁における申請手続及び発送手続のデジタル化について紹介します。
┏━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■弁理士が教える特許実務Q&A■
(62)最後の拒絶理由通知(2)
【質問】
注目している同業他社の特許出願に特許成立してしまった場合に特許異議申立というものを行えるとうかがっています。特許異議申立はどのようなものなのか教えてください。
【回答】
前回は特許異議申立制度の概要を紹介しました。今回は、特許庁に提出する特許異議申立書の記載要領について紹介します。
<特許異議申立書には申し立ての理由を適切に記載する>
特許異議申立の方式等に関する特許法第115条の第1項は次のように規定されています。
「特許異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
1 特許異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
2 特許異議の申立てに係る特許の表示
3 特許異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示」
特許法第115条第1項の規定は、「特許異議申立書に表示すべき事項を規定したもの」で、「同項各号に掲げる事項は必要的記載事項であるから、各号に掲げる事項のうち一つでも記載がない場合には、その申立書は方式違反となる。」(特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕(発明推進協会))とされています。
例えば、特許異議申立書に、異議申立の理由が適切に記載されていない場合、「申し立ての理由が実質的に示されているとはいえない」として申し立て理由を20日以内に補正することを求める通知書が発せられることがあり、この通知書に適切に対応しないと、直ちに、「特許を維持する」旨の決定がされることがあり得ます。
<特許異議申立書の「申立ての理由」の記載要領>
上述した事情があることから、特許庁は「特許異議申立書の『申立ての理由』の記載要領」をそのウェブサイトにおいて詳しく説明しています。
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-tokkyo-igi/document/index/igi_riyu_yoryo.pdf
特許庁ウェブサイトでの説明を参照しながら、特許異議申立を行う対象になっている特許の出願日より前に発行されている特許出願公開公報、特許公報を先行技術文献に用いて、「特許成立した発明は、先行技術文献記載の発明に基づいて、当業者(例えば、特許成立した発明の属する技術分野の出願時の技術常識を有している者、等)が、容易に、発明できるものであるから、進歩性欠如で特許取り消しになるべきである」と主張する「申立ての理由」の記載について紹介します。
<進歩性欠如の論理付け>
「進歩性欠如で特許取り消しになるべきである」と主張する場合、特許審査基準における「進歩性」の記載を参照することは有用と思われます。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0202.pdf
対象となる発明が進歩性を備えているものであるか否かについての特許庁の審査での検討・判断では、まず、「審査官は、先行技術の中から、論理付けに最も適した一の引用発明を選んで主引用発明とし」ます。この場合、審査基準では、「審査官は、独立した二以上の引用発明を組み合わせて主引用発明としてはならない」とされています。
このように、進歩性についての特許庁での審査は、1件の先行技術文献を第一引用文献とし、第一引用文献に記載されている発明=主引用発明から出発して、当業者が、対象となる発明に、容易に、到達する(想到する)論理付けができるか否かを検討することで行われます。
「容易に想到することができる」と論理付けできる場合には、対象となる発明は進歩性欠如で拒絶されます。一方、論理付けできない場合には、明細書の記載要件、等、他の拒絶理由を発見できない限り、「特許を認める」という「特許査定」が下されることになります。
「特許異議申立の対象になっている特許発明は、進歩性欠如なので特許は取り消されるべきである」と主張する特許異議申立では、第一引用文献に記載されている発明=主引用発明から出発して、当業者が、特許異議申立の対象になっている発明に、容易に、到達(=想到)する論理付けができることを適切に特許異議申立書に記載しなければなりません。
この場合、上述したように「先行技術の中から、論理付けに最も適した一の引用発明を選んで主引用発明とし」た後、「特許異議申立の対象となる発明」と、「主引用発明=第一引用文献に記載されている発明」との間の一致点、相違点を認定します。
「異議申立の対象となる発明」と、「主引用発明=第一引用文献に記載されている発明」との間に一致点しか存在しておらず、相違点は存在していない場合、「『異議申立の対象となる発明』は、『主引用発明=第一引用文献に記載されている発明』であるから新規性欠如で特許取り消しになるべきである」という主張を行うことになります。
「異議申立の対象となる発明」=「主引用発明=第一引用文献に記載されている発明」ということは、あまりなく、一般的には、一致点、相違点を認定して、相違点に対応する発明=副引用発明が記載されている第二引用文献を、主引用発明=第一引用文献とともに提出することになります。
そして、「『進歩性が否定される方向に働く要素』が存在する」と認められる場合であって、「『進歩性が肯定される方向に働く事情』は存在しない」と認められるときに、第一引用文献に記載されている発明=主引用発明から出発して、当業者が、対象となる発明に、容易に、到達する論理付けができ、対象の発明は進歩性欠如で登録適格性を有していない、ということになります。
「主引用発明に副引用発明を適用する動機付け(技術分野の関連性、解決しようとする課題の共通性、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆、等)が存在する」ことや、「相違点は、主引用発明からの設計変更等や、先行技術の単なる寄せ集めに過ぎない」と認めることができることなどが「進歩性が否定される方向に働く要素」として特許審査基準に例示されています。
また、「『異議申立の対象となる発明』によって有利な効果が発揮される、副引用発明が主引用発明に適用されると主引用発明がその目的に反するものとなる等の『阻害要因』が存在する」ことなどが「進歩性が肯定される方向に働く事情」として特許審査基準に例示されています。
<一致点と相違点の認定>
特許庁は、研修などでの利用に供すべく令和5年4月1日時点で施行・運用されている法律等の内容に基づいた「2023年度知的財産権制度入門テキスト」を発行しています。
https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/2023_nyumon/1_2_1.pdf
このテキストのT概要編、第2章 産業財産権の概要 第1節 特許制度の概要の「特許発明の技術的範囲」において例示されている特許発明を参照して、「特許異議申立の対象となる発明」と、「主引用発明=第一引用文献に記載されている発明」との間の一致点、相違点の認定、これに基づく容易想到性の論理付けの検討は、例えば、以下のようになります。
「2023年度知的財産権制度入門テキスト」では、「断面が六角形の木製の軸を有し、当該軸の表面に塗料を塗ったことを特徴とする鉛筆」が特許発明として例示されています。
この特許発明を、構成要件に分けて記載すると次のようになるとされています。
断面が六角形(構成要件A)の木製の軸(構成要件B)を有し、当該軸の表面に塗料を塗った(構成要件C)ことを特徴とする鉛筆(構成要件D)
特許異議申立を行う場合、異議申立の対象になっている発明(例えば、特許請求の範囲の請求項1に記載されている発明)を、上述した「鉛筆」の発明を構成要件A、B、C、Dに分けたのと同じようにして、構成要件に分けます。
次に、複数の先行技術文献の中から第一引用文献として選択した、進歩性欠如の論理付けを行うのに最も適した先行技術にどのような記載が存在しているのかを確認し、第一引用文献の記載におけるどの部分が、上述した構成要件A、B、C、Dのどれに対応しているのかを認定し、その上で、進歩性欠如の論理付けを行うことが可能であることを特許異議申立書に記載しなければなりません。
特許庁が公表している上述の「特許異議申立書の『申立ての理由』の記載要領」では以下のような表を作成して特許異議申立書の「申立ての理由」に記載することが勧められています。
上掲の表では、特許異議申立の対象になっているのは、特許請求の範囲に記載されている請求項1、2、3に係る発明です。
そして、請求項1に係る発明は、構成要件A、B、C、Dに分説できる、とされ、第一引用文献(=甲第1号証)の記載におけるどの部分が構成要件A、B、C、Dに対応するのかを上述した表のように記載し、「第一引用文献(=甲第1号証)に記載されている発明」と「請求項1に係る発明」との間には〇〇〇という相違点が存在するが、「〇〇〇の点は設計事項である」であるから、請求項1に係る発明は、第一引用文献(=甲第1号証)記載の発明から、当業者にとって、容易に、想到でき、進歩性欠如(特許法第29条第2項該当)の論理付けができる、とされています。
請求項1を引用する請求項2に係る発明は、更に、構成要件Eを備えています。構成要件Eに対応する構成は第一引用文献(=甲第1号証)の記載の中に存在していませんが、構成要件Eに対応する構成が「第二引用文献(=甲第2号証)」に記載されているとし、請求項2に係る発明は、「第一引用文献(=甲第1号証)」と「第二引用文献(=甲第2号証)」とから、当業者にとって、容易に、想到でき、進歩性欠如(特許法第29条第2項該当)の論理付けができる、とされています。
請求項1又は請求項2を引用する請求項3に係る発明は、更に、構成要件Fを備えています。構成要件Fに対応する構成は、第一引用文献(=甲第1号証)、第二引用文献(=甲第2号証)の記載の中に存在していませんが、構成要件Fに対応する構成は、周知技術が開示されている「第三引用文献(=甲第3号証)」、「第四引用文献(=甲第4号証)」に記載されているとし、請求項3に係る発明は、「第一引用文献(=甲第1号証)」、「第二引用文献(=甲第2号証)」及び周知技術(第三引用文献=甲第3号証)、第四引用文献=甲第4号証)から、当業者にとって、容易に、想到でき、進歩性欠如(特許法第29条第2項該当)の論理付けができる、とされています。
<むすび>
上述したように特許異議申立では、「特許異議申立の対象となっている特許発明」と、「主引用発明=第一引用文献に記載されている発明」との間の一致点、相違点を認定し、相違点に関して、副引用発明=第二引用文献に記載されている発明を適用することで、「特許異議申立の対象となっている特許発明」に、当業者が、容易に、想到できることの論理付けを「特許異議申立書」に適切に記載しなければなりません。
このような「特許異議申立書」を準備することは容易ではありませんが、専門家である弁理士はこれらの事情に熟知しています。そこで、「このまま特許成立しては困る」とお考えになるような特許公報が発行されたとの情報を入手されたならば、特許公報発行後6カ月間しか特許異議申立できないことを考慮して早めに弁理士に相談することをお勧めします。
<次号のご案内>
特許出願の審査は特許庁審査官からの「拒絶理由通知書」、これに対して特許庁へ提出される特許出願人・代理人弁理士からの意見書・手続補正書というテキストデータで行われますが、意見書・手続補正書提出に先立って口頭での面接審査を受けることができます。また、面接審査まで進まなくても、正式な意見書・手続補正書提出に先立って、案文を審査官に届けて、審査官の心証を得た上で意見書・手続補正書を提出することもできます。次回は、本年8月に改訂された「面接ガイドライン『特許審査編』」に触れながら、正式な意見書・手続補正書提出に先立って、案文を審査官に届けて、審査官の心証を得た上で意見書・手続補正書提出に進むやり方について紹介します。
以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ニューストピックス■
●オンライン申請とオンライン発送書類の対象拡大(特許庁)
特許庁は、各種手続のデジタル化を推進するため、オンラインで行うことが出来る申請書類と発送書類の対象を拡大すると発表しました。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/tetsuzuki_digitalize.html
<オンライン申請>
現在、オンライン申請ができない全ての申請手続について、原則、オンライン申請を可能とする新たな機能がインターネット出願ソフトに追加されます。この新たな申請を「電子特殊申請」と呼び、電子特殊申請を可能とする機能を「特殊申請機能」と呼びます。電子特殊申請は、特殊申請機能を用いて、送付票と呼ばれる書誌情報を作成し、その送付票に申請書類や添付書類をPDFの形式で添付することで、オンライン申請が可能となります。
オンライン申請が可能となる書類例としては、委任状、譲渡証書、優先権証明書などの出願関係、権利の譲渡など登録関係、その他、無効審判、異議申立などが含まれています。
<オンライン発送書類>
現在、インターネット出願ソフトを用いたオンライン発送の対象外となっている書類のうち、申請人からの要望の高い以下の7書類が、新たにインターネット出願ソフトを用いたオンライン発送の対象に追加されます。
- 特許(登録)証 [四法]
- 年金領収書 [四法]
- 自動納付関係通知
- 商標更新申請登録通知
- 移転登録済通知 [四法]
- 識別番号通知
- 包括委任状番号通知
<今後のスケジュール>
オンライン申請書類については2024年1月、オンライン発送書類については2024年3月にインターネット出願ソフトに追加される機能がリリースされる予定です。ただし、実際のサービス開始は、関係法令の施行日となります。
●AI関連発明の審査体制を強化(特許庁)
特許庁は、AI関連発明の特許審査の体制を強化すると発表しました。
https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230921001/20230921001.html
文書や画像を自動作成する生成AIの出現によって、今後、これまで以上に幅広い分野で創作過程にAIが活用されることが見込まれます。そのため、特許庁では、これまでAI技術の活用が見られなかった分野も含め、AI関連発明の審査をサポートできるような審査体制を整備する必要があると判断、10月1日付けで専門的な知見を持つAI担当官を13人から約3倍の38人に増員しました。
AI関連発明は、これまで医療用の画像診断などの出願が多かったのですが、生成AIの出現により、自動運転や製薬などの技術分野でもAI関連の出願が増えてきました。特許庁では、AI審査の体制強化により、AI関連発明の効率的な審査が推進できるとしています。
●欧州単一特許(UP)の申請状況など公表(欧州特許庁)
欧州特許庁(EPO)は本年6月1日の欧州単一特許(UP:Unitary Patent)制度の開始を受けて、欧州単一特許の申請状況などをまとめた「ダッシュボード」を公開しました。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2023/20230728.pdf
それによると、7月28日時点で受理した単一効特許の申請件数は、5,448件。このうち登録された単一効特許は、5,060件、係属中が383件、取り下げが5件。
技術分野別では、「社会基盤・機械」が1,128件(約20%)を占め、続いて「健康」が1,056件(約19%)、「素材・生産」が1,042件(約19%)となっています。
手続言語では、英語が3,838件で、翻訳言語(英語以外)をみると、最も多いのは、スペイン語(1,465件)。次いでドイツ語(1,159件)、イタリア語(283件)の順となっています。スペイン語を選択する権利者が多い理由としては、スペインは欧州単一特許制度に参加していないため、同国で欧州特許を有効化するには翻訳文の提出が必要となることが一因として考えられます。
また、欧州単一特許制度(UP)に参加している国の中で、例えば、ドイツでは国内特許と欧州単一効特許による二重保護が認められている点なども、ドイツ語を翻訳言語として選択することに影響を与えていると思われます。
単一効特許の権利者(筆頭権利者)の居住国の上位は、ドイツ(1,075件)、米国(762件)、フランス(418件)の順でした。
欧州単一効特許の申請の多くは欧州の権利者によるものですが、米国、中国、日本など、欧州域外からの申請も多くみられることから、欧州特許庁(EPO)では、欧州単一特許(UP)制度の注目度の高さがうかがえるとしています。
●記事利用料、著しく低い設定は独占禁止法違反も(公取委)
公正取引委員会は、新聞社やテレビ局などのメディアとニュースサイトを運営する事業者との取引を調査し、ニュース記事の使用料を著しく低い単価に設定した場合は、独占禁止法違反にあたるおそれがあると指摘しました。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/sep/230921newcontent.html
調査報告によりますと、2021年度に「Yahoo!」や「LINE」などを運営する6社が報道機関側に支払った記事利用料は、閲覧回数1,000回当たり平均124円で、最も高い事業者が251円、最も低い事業者が49円と約5倍の差があることが分かりました。
公取委は、多くのメディアと記事のやり取りがある「Yahoo!」については、不当な要求をしても受け入れざるを得ない場合があることから、「メディアに対して優越的地位にある」との見解を示しました。そのうえで、一方的に著しく低い記事の使用料を設定した場合、独占禁止法違反にあたるおそれがあると指摘しました。
また、使用料の水準の根拠となるデータについては、「可能な限り開示することが望ましい」と指摘しました。
●模倣品の輸入止め件数、過去3番目の多さ(財務省関税局)
財務省関税局は、全国の税関で知的財産権を侵害する模倣品などの輸入を差し止めた件数が、2023年上半期は前年同期比23.7%増の1万5,536件だったと発表しました。
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2023_1/index.html
財務省によりますと、差止件数は3年ぶりに1万5千件を超え、過去3番目の水準となりました。個人使用の目的で輸入した場合でも新たに取り締りの対象となったことが要因とみられます。今回は加熱式たばこのカートリッジなどの模倣品が急増しました。
品目別では、衣類が最も多い28.1%を占め、次いでバッグ類が23.9%、スマートフォンのケースなど、携帯電話とその付属品が14.6%などとなっています。
●「競争」から「共創」へ 自社の技術情報を公開
〜パナソニックHDと三菱電機の取り組み〜
<パナソニックHD 「技術インデックス」>
パナソニックホールディングス(HD)は、自社が保有する特許などの知的財産情報を検索できる専用サイト「技術インデックス」を公開しました。
https://co-creation.holdings.panasonic/jp/techidx/
同社ではグループ全体で10万件以上の知的財産を保有していますが、ビジネス上活用していない休眠特許などの他社へのライセンスや共同研究・開発を促進することで、新たな製品やサービスの創出を目指しています。
公開されている技術は、人の持続的な幸せを支援する「ウェルビーイング」と脱炭素などに関連する「環境」の2つに分かれていて、目的別に検索ができます。センサーで人の感情を推定する独自技術や電気自動車(EV)に関するものまで、数万件が検索できます。
同社では、「脱炭素などはわが社だけで完結しないので、いろいろな会社と協業できればと考えている」と期待しています。
<三菱電機 「オープン・テクノロジー・バンク」>
三菱電機も2021年に知財を起点に社外連携を推進する「Open Technology Bank(オープン・テクノロジー・バンク)」を開始しています。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/chiteki/otb/index.html
同社の技術資産を専用ウェブサイトで公開し、さまざまな業種・領域にライセンス提供することで、社外との「共創」を積極的に推進しています。「プラスチックマテリアルリサイクル技術」「マイクロバブル洗浄技術」「視覚障がい者向けリモコン・操作技術」など、約40件の技術を掲載しています。
同社では、これまで特許などの知的財産を企業間の「競争」(独占実施、模倣防止、他社への権利行使等)のために活用していましたが、方針を転換して社外との「共創」を推進するため、積極的に技術情報を公開し、協業の可能性を探っています。
技術革新のスピードが加速する現在、多様化する社会課題を解決していくためには1社単独だけでなく、複数の企業が連携した「共創」のアプローチが求められています。自社が保有する技術資産の情報を公開して、多種多様な業種と「共創」することで、多様化する社会課題を解決していこうとする各社の取り組みが注目されます。
●「みんなの意匠権 十人十色のつかいかた」発行(特許庁)
特許庁は、意匠制度の活用方法が4コマ漫画で分かるガイドブック「みんなの意匠権 十人十色のつかいかた」を発行しました。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/info/document/minnano_ishoken/01.pdf
本ガイドは、初めて意匠制度に触れる方や、意匠制度をより効果的に活用されたい方、他の産業財産権制度ほど意匠制度になじみがない方に向け、意匠制度の基本やメリット、ビジネスに合わせた活用方法、出願手続の基本等を1冊にまとめたものです。
特に、10人の仮想人物による意匠制度活用例を4コマ漫画で紹介するパート2は、意匠制度になじみのない方にとっても親しみやすい内容となっています。
********************************************************
発行元 : 鈴木正次特許事務所
〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
新宿山崎ビル202
TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340
E-mail:
URL: http://www.suzuki-po.net/
********************************************************
本メールの無断転載はご遠慮下さい。
本メールマガジンの記載内容については正確を期しておりますが、弊所は、利用される方がこれらの情報を用いて行う一切の行為について責任を負うものではありません。