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******************************************************************** ◇◆◇ 鈴木正次特許事務所 メールマガジン ◇◆◇ ******************************************************************** このメルマガは当事務所とお取引きいただいている皆様、または当事務所とご面識のある皆様にお届けしています。 知的財産に関する基礎知識や最新の法改正情報など、実務上お役に立つと思われる情報をピックアップして、送らせて頂きます。 メルマガ配信をご希望でない場合は、誠に恐縮ですが、下記アドレスまでお知らせください。 suzukipo@suzuki-po.net ━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━ 2023年8月1日号
工業所有権情報・研修館(INPIT)は、令和5年度の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における特許文献へのアクセス状況を取りまとめました。J-PlatPatのアクセス状況を公表することはINPITにとって初の取組みということです。「注目される特許や技術のトレンドの把握に活用されるとともに、知財が身近でない方の産業財産権情報への関心の拡大を図ること」が公表の狙いの一つにあるとされています。
┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃ ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■弁理士が教える特許実務Q&A■ (80)新規事項を追加する補正の禁止(2) 〜特許審査基準の紹介〜 前回に引き続いて、特許審査基準の記載を参照して、新規事項を追加する補正の禁止について説明します。
明細書、特許請求の範囲、図面に対して特許出願後に行う補正が、新規事項追加にあたらず許容される場合として@当初明細書等に明示的に記載された事項にする補正及び、A当初明細書等の記載から自明な事項にする補正があること、これらのいずれにも該当しない場合であっても、B「当初明細書等に記載した事項」との関係において新たな技術的事項を導入するものでないならば、その補正は許される、と審査基準に記載されていることを前回の最後に説明しました。
<特許請求の範囲の補正>
(1)発明特定事項を上位概念化、削除又は変更する補正の場合
(1)-a 請求項の発明特定事項を上位概念化、削除又は変更する補正は 、新たな技術的事項を導入するものである場合には、新規事項の追加に当たり、補正は許容されません 。
上述の場合でいえば、発明特定事項「鉛筆」を上位概念である「筆記具」に変更するべく「断面が多角形の軸を有し、当該軸の表面に彩色が施されている筆記具」という記載に補正すると、新規事項追加になり、拒絶理由を受けることになります。
(1)-b 請求項の発明特定事項を上位概念化、削除又は変更する補正であっても、特に請求項の発明特定事項の一部を削除する場合において、この補正により新たな技術上の意義が追加されないことが明らかな場合は、新たな技術的事項を導入するものではありません。そこで、このような補正は、新規事項の追加に当たらず、許容されます。 当初明細書には鉛筆以外の筆記具への言及がありませんでした。そこで、「鉛筆」という発明特定事項を「筆記具」という記載に上位概念化するこの補正は、新たな技術的事項を導入するものになると考えられるからです。 一方、「断面が多角形の軸を有する鉛筆」という記載に補正する(発明特定事項(=「軸の表面に彩色が施されている」を削除する補正)は、新規事項追加に当たらず、補正は許容されると考えられます。 削除した発明特定事項「軸の表面に彩色が施されている」は、「発明が解決しようとする課題・目的、課題を解決するための手段とこれを採用したことによって発揮される機能・効果」=「断面が円形であれば机の上で転がりやすいが断面が多角形なので転がりにくい」とは無関係で、「任意の付加的な事項であることが当初明細書等の記載から明らかである」と考えられます。そこで、これを削除しても「新たな技術的事項を導入するものである場合」にはならないと考えられるからです。 (2)発明特定事項を下位概念化又は付加する補正の場合
(2)-a 請求項の発明特定事項の一部を限定して、当初明細書等に明示的に記載された事項又は当初明細書等の記載から自明な事項まで下位概念化する補正は、新たな技術的事項を導入するものではないので、新規事項追加にあたらず、許容されます 。
(2)-bの一例として審査基準には次の例が紹介されています。
上述した請求項「断面が多角形の軸を有し、当該軸の表面に彩色が施されている鉛筆」を「断面が六角形の軸を有し、当該軸の表面に彩色が施されている鉛筆」という記載に補正する場合が、「請求項の発明特定事項の一部を限定して、当初明細書等に明示的に記載された事項又は当初明細書等の記載から自明な事項まで下位概念化する補正」にあたり、新規事項追加ではないので、許容されることになります。 (2)-b 請求項の発明特定事項を下位概念化する補正が 当初明細書等に明示的に記載された事項又は当初明細書等の記載から自明な事項までは下位概念化しない補正であっても、この補正により新たな技術上の意義が追加されないことが明らかな場合であれば、新たな技術的事項を導入するものではなく、このような補正は許されることになっています。
<コーティング装置に係る発明の請求項における「ワーク」という記載を「矩形ワーク」とする補正>
(2)-c 他方、請求項の発明特定事項を下位概念化する補正であっても、この補正により当初明細書等に記載した事項以外のものが個別化されることになる場合は、その補正は、新たな技術的事項を導入するものでになり、このような補正は許されないことになっています。
<発明特定事項を直列的に付加する補正>
(3)数値限定を追加又は変更する補正の場合
(3)-a 数値限定を追加する補正は、その数値限定が新たな技術的事項を導入するものではない場合には、許容されることになっています。
例えば、発明の詳細な説明中に「望ましくは 24〜25℃」との数値限定が明示的に記載されている場合には、その数値限定「24〜25℃」を請求項に追加する補正は許容されます。
また、24℃と25℃の実施例が記載されている場合は、そのことをもって直ちに「24〜25℃」の数値限定を追加する補正が許されることになりませんが、当初明細書等の記載全体からみて24〜25 ℃の特定の範囲についての言及があったものと認められる場合があります。 例えば、24℃と25℃が、課題、効果等の記載からみて、ある連続的な数値範囲の上限、下限等の境界値として記載されていると認められる場合です。このような場合は、実施例のない場合と異なり、数値限定の記載が当初からなされていたものと評価でき、新たな技術的事項を導入するものではなく、数値限定「24〜25℃」を請求項に追加する補正は許容されます。
(3)-b 請求項に記載された数値範囲の上限、下限等の境界値を変更して新たな数値範囲とする補正は、以下の(i)及び(ii)の両方を満たす場合は、新たな技術的事項を導入するものではないので許容されることになっています。
(i)新たな数値範囲の境界値が当初明細書等に記載されていること 。 (ii)新たな数値範囲が当初明細書等に記載された数値範囲に含まれていること 。
<補正を行う場合の検討>
<次号のご案内>
■ニューストピックス■ ●「J-PlatPat」における特許文献アクセス状況を公表(INPIT)
工業所有権情報・研修館(INPIT)は、令和5年度の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における特許文献へのアクセス状況を取りまとめました。J-PlatPat のアクセス状況の公表は初の取り組みで、注目される特許や技術のトレンドの把握に活用することができるとされています。
J-PlatPatにおける特許文献へのアクセス数は、特許文献に記載されている技術自体やビジネス上の注目度等、社会的な関心を示唆する一つの指標と言えます。今回、INPITでは、特許文献へのアクセス状況について、「登録特許アクセスランキング」「出願年分布」「テーマコード上位10テーマ」「FI(サブクラス)上位10分類」「FI(メイングループ)上位10分類」の観点でまとめました。 令和5年度分のアクセス状況の登録特許ランキングによると、1位となったのは、コナミデジタルエンタテインメントの「ゲーム管理装置及びプログラム」(特許5814300)。2位はコクヨの「消しゴム」(特許4304926)。このほか、デジタルスポーツで使われる「スポーツ交戦装置」(特許6062592)、切り餅の特許権をめぐって裁判で争われた越後製菓の「餅」(特許4111382)などが上位に入っています。 <登録特許アクセスランキング>
●生成AI関連の特許出願、中国が1位(WIPO)
世界知的所有権機関(WIPO)は、「生成AI(人工知能)に関する特許動向報告書」を発表しました。
それによると、2014−23年の10年間の世界の生成AI関連の特許出願件数は5万4000件に達しています。国別の特許出願件数をみると、中国が3万8210件で1位、2位は米国の6276件、3位は韓国の4155件、4位は日本の3409件でした。5位はインドの1350件で、対前年比56%増と高い伸び率を記録しました。中国の出願件数は、米国の約6倍に上り、世界全体の約7割を占めています。
企業別では、IT大手の騰訊控股(テンセント)、保険大手の中国平安保険集団、インターネット検索大手の百度(バイドゥ)と中国系がトップ3を独占しました。米国のIBMが5位、韓国のサムスン電子が7位、日本はNTTが13位、ソニーグループが20位でした。 ●花王、アイマスクの意匠権侵害で申し立て
大手日用品メーカーの「花王」は、自社製品とデザインが類似し、意匠権(登録1330629号)を侵害しているとして、生活用品メーカーの「アイリスオーヤマ」が販売する製品の販売差し止めなどを求める仮処分を東京地方裁判所に申し立てたと発表しました。
発表によりますと、花王は蒸気で目もとを温める「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」を2007年から販売しています。アイリスオーヤマが販売する「モイスクル じんわりホットアイマスク」など4つの製品のデザインが「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」に関わる重要な権利の一つである上記意匠権を侵害しているとして、東京地裁に販売差し止めなどを求める仮処分を申し立てました。
●研究開発費を増額した企業は 49.2%(文部科学省調査)
文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、「民間企業の研究活動に関する調査」の2023年度調査結果を取りまとめました。
2022年度及び 2023年度における研究開発費の増減(いずれも前年度と比較した増減)をみると、社内研究開発費を前年度より増額したと回答した割合が 49.2%と最も多く、減額した割合(33.7%)や前年度と同額とした割合(17.2%)を上回っています。また、2023年度の予定や方針についても、前年度よりも増額すると回答した割合(34.1%)が最も高いことが分かりました。
●「ひこにゃん」の商標使用を10月から無償化(滋賀県彦根市)
滋賀県彦根市は、人気キャラクター「ひこにゃん」の商標使用を本年10月1日から無償化すると発表しました。
(商標登録第5104692号)
彦根市は「ひこにゃん」について、これまでイラストや写真を商品などに使用する場合、販売業者から使用許諾料として売り上げ見込み額の3%を徴収していましたが、さらなる商標使用の拡大と新規商品の発掘を図るため、商標使用料の無償化を図る実証実験を行いました。
●フリマの種苗取引、規制強化へ(農水省)
国内で開発された農産物のブランド品種の種や苗が、個人間で商品を売買するフリーマーケットサイトを通じて不正に取引されるケースを防ぐため、農林水産省は規制を強化する方針です。
近年、インターネット上の取り引きを通じて海外から容易に種や苗を購入できるようになり、ブランド品種が流出するリスクが高まっています。このため、農林水産省では、ネット上の取り引きでは、販売者に関する情報の表示を義務づけることなどを検討しています。
●「令和6年度著作権テキスト」を公開(文化庁)
文化庁は「令和6年度著作権テキスト」を公開しました。
同テキストは、著作権の基本的な情報のほか、著作物を創作した場合の注意点、他人の著作物を利用したい場合、相談窓口一覧など、著作権に関する情報が網羅的に掲載されています。
<令和5年改正>
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