原告は、名称を「車両のドアフレームに細長いストリップを貼付する方法」とする発明について特許出願(特願2013−527137号)を行い、平成28年5月31日付けで拒絶査定を受けた。原告は、拒絶査定不服審判を請求した(不服2016−15088号事件)ところ、特許庁は、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、原告が、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
本件審決の要旨は、本願発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2010−504263号公報(引用文献1)に記載された発明(引用発明)、特表2010−512428号公報(引用文献2)に記載された技術的事項(ないし周知技術)及び技術常識に基づいて、当業者が、容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。
本件審決が認定した本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「細長いストリップを車両のボディのドアフレームに取り付ける方法であって、前記方法は
(i)駆動手段、
(ii)貼付ヘッド、
(iii)前記駆動手段と前記貼付ヘッドとの間に位置付けられ、かつ1つ以上のセンサユニットを備える応力制御ユニット、及び
(iv)前記駆動手段を制御するための制御ユニット、
を備える装置を用いて細長いストリップの貼付を含み、前記細長いストリップの貼付は、前記駆動手段によって前記細長いストリップを前進させる工程と、前記貼付ヘッドを用いて前記ドアフレームに前記細長いストリップを位置決めし、押圧し、及び/又は回転させる工程と、前記応力制御ユニット及び前記駆動手段を制御するための前記制御ユニットを用いて前記細長いストリップの応力を制御する工程と、を含み、それにより、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサユニットは、前記細長いストリップの応力を測定し、前記制御ユニットは、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサによる前記細長いストリップの応力の測定に基づいて、前記細長いストリップの応力を所望の応力範囲内に維持するために、前記駆動手段を制御する、方法。」である点。
(相違点)
「細長いストリップ」に関し、本願発明が、「ゴムガスケットと、第1及び第2の主面を有するフォーム層及び該フォーム層の前記第1の主面に関連付けられた感圧性接着剤層を含む接着テープと、を含み、前記感圧性接着剤が架橋ゴムを含み、前記フォーム層が、アルキル基中に平均で3〜14個の炭素原子を有する1つ以上のアルキルアクリレートのアクリルポリマーを含み、前記フォーム層の密度が少なくとも540kg/m3であり、前記ゴムガスケットが、前記フォーム層の前記第2の主面に関連付けられた追加の接着剤層を介して前記接着テープに取り付けられている」ものであるのに対し、引用発明は、「感圧接着剤層を備えるウェザーストリップ」であって、ウェザーストリップ自体の材質及び感圧接着剤層の詳細な構成の特定がない点。
原告が主張した取消事由は本願発明の進歩性の判断の誤りである。