製品1に開示されていることが認められる発明(製品1発明B)と、本件発明との対比
本件発明1との対比
本件発明1と製品1発明Bとの一致点及び相違点は以下のとおりとなる。
(ア) 一致点
「ベッド等において、床板を支えるフレームを、フレームの一部を異なった長さの交換装着用フレームに置き換え可能に構成したことを特徴とするベッド等におけるフレーム構造」である点。
(イ) 相違点1
本件発明1が、「床板を支えるフレームを、フレームの一部を異なった長さの交換装着用フレームに置き換え可能に構成した」目的が、「使用者の体格に対応させる」ためであるのに対し、製品1発明Bは、その点が明らかではない点。
本件発明2との対比
本件発明2と製品1発明Bとの一致点及び相違点は以下のとおりとなる。
(ア) 一致点
「ベッド等において、床板を支えるフレームのうち、足側床板に対応する足側フレームを、異なった寸法規格のものに、交換装着可能に構成したことを特徴とするベッド等におけるフレーム構造」である点。
(イ) 相違点2
本件発明2が、「足側フレームを、・・・異なった寸法規格のものに、交換装着可能に構成」することの目的が、「使用者の体格に対応」するためであるのに対し、製品1発明Bは、その点が明らかではない点。
相違点1及び相違点2の判断
周知技術について
本件特許の出願時には、手術台のテーブルトップは、患者の身長に応じた長さとすることが望まれており、医療機関において、テーブルトップの長さを調整できる手術台の要望があったこと、その要望に応えるために、各種の大きさのコンポーネントを組み合わせて、適宜の長さのテーブルトップとする手術台が販売されており、また、小児外科においては、長さが可変の手術台が一定程度普及していたことが認められる。
製品1発明Bの実施態様について
製品1発明Bの実施態様として、長身の患者に対応するために、「置き換え」ではないものの、足側の背板の先に頭板を付け加えることは行われていたものと認められる。
容易想到性
製品1発明Bにおいては、患者の頭部側から順に、@背板、座板、足板の組合せ、A背板(短)、座板、背板の組合せ、B背板(短)、座板、足板の組合せを適宜選択し、各組合せによるテーブルトップとし、また、C各種頭板、背板、座板、足板の組合せ、D各種頭板、背板(短)、座板、背板の組合せ、E各種頭板、背板(短)、座板、足板の組合せを適宜選択し、各組合せによるテーブルトップとすることが可能であり、上記@の組合せを上記Aの組合せに変更することや上記Aの組合せを上記Bの組合せに変更すること、上記Cの組合せを上記Dの組合せに変更することや上記Dの組合せを上記Eの組合せに変更することも可能であるところ、甲1、2、4及び5※には、これらの組合せを禁止したり、推奨しない旨の記載もなく、かえって、前記3のとおり、甲2には、「マッケ手術台システム1120は、モジュール方式でデザインされ」(2頁)、「広く世界的に採用されている非常にフレキシブルなモジュール方式の手術台システムです。」との記載がある。
※甲1、2、4、5は製品1について本件特許の出願日より前に発行されていたカタログ、等
そして、前記イのとおり、製品1において、患者の背が高い場合には、足側の背板の先に頭板を付け加える使用方法が行われていたことからすると、前記アのとおり、手術台のテーブルトップを患者の身長に応じた長さとすることが望まれており、その要望に応えるために各種のコンポーネントを組み合わせることなどが行われていることを知る当業者は、製品1発明Bにおいて、患者の身長に対応させるために各種モジュールを取り換えて手術台を患者の身長に対応したものとすることを容易に想到することができたものと認められる。
以上より、取消事由2は理由がある。
そうすると、その余の取消事由について判断するまでもなく、原告の主張した無効理由は認められないとした本件審決の判断は誤りであるから、本件審決は取り消されるべきである。