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 商標「バッチ」は、引用A商標「HATCHI/ハッチ」等とは外観、称呼、観念のいずれよりみても非類似と判断された事例
(平成10年審判第10513号、平成11年7月28日審決、審決公報第4935号)
 
1.本願商標
 本願商標は、「バッチ」の片仮名文字を書してなり、第16類「書籍,…,その他印刷物,…」等を指定商品とし、平成6年11月11日に登録出願されたものである(その後、補正されている。)

2.原査定の理由
 原査定において、本願の拒絶の理由に引用された登録第2104077号商標(以下、引用A商標という。)は、「HATCHI/ハッチ」の構成からなり、第26類「印刷物」等を指定商品とし、昭和60年12月28日に登録出願、同63年12月19日に登録されたものである。同じく登録第2135627号商標(以下、引用B商標という。)は、引用A商標と同じ構成からなり、第25類「紙類、文房具類」を指定商品とし、昭和60年12月28日に登録出願、平成1年4月28日に登録されたものである。

3.当審の判断
 そこで、本願商標と引用A商標及び引用B商標との類否について判断するに、本願商標は「バッチ」の文字を書してなるのに対し、引用A商標及び引用B商標は「HATCHI」の文字と「ハッチ」の文字とを上下二段に書してなるから、外観上、両者は互いに区別し得る差異を有するものである。
 つぎに、称呼及び観念についてみるに、本願商標は「バッチ」の文字を書してなるから、これより「バッチ」の称呼を生ずるものである処、「バッチ」の文字は「徽章、記章」などの意味を有し「バッジ」と読まれる英語「badge」に通ずる語として知られているものであるので、本願商標からは「徽章、記章」の観念を生ずるというのが相当である。
 一方、引用A商標及び引用B商標の構成は、それぞれ前記の通りである処、「HATCHI」の文字及び「ハッチ」の文字は、「船舶の甲板に設けられた昇降口等」の意味を有するものであるから、引用A商標及び引用B商標からは、「ハッチ」の称呼と上記の観念を生ずるものというのが相当である。
 そこで、本願商標より生ずる「バッチ」と引用A商標及び引用B商標から生ずる「ハッチ」の両称呼を比較するに、両者は共に2音構成よりなるが、冒頭において「バ」と「ハ」の差異を有する処、この「バ」と「ハ」の音は、それぞれの音を構成する子音が前者は(b)であるのに対して、後者は(h)であるため、両者は明らかに聴き分けられるばかりでなく、称呼における識別上重要な要素を占める語頭に位置するものであるから、2音という短い音構成の両称呼に及ぼす影響は大きいものとなり、それぞれを一連に称呼してもその語調、語感が相違し充分聴別し得るものである。
 また、観念については、上述の通りであるから、類似するところはない。
 したがって、本願商標と引用A商標及び引用B商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても非類似の商標といわざるを得ないから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当でなく取り消しを免れない。
 その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所