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 商標「GEORGIA/JASS INTERNATIONAL INC.」は、登録異議申立人のコーヒー飲料についての商標「GEORGIA」を想起させ、商品「かばん類等」の出所について混同を生じさせるおそれがあると判断された事例
(平成10年異議第91430号、平成11年5月6日決定、審決公報第4936号)
 
1.本件商標
 本件登録第4126805号商標(以下、「本件商標」という。)は、上に表示した通りの構成のものであり、平成8年7月25日に登録出願、第18類「米国製原革、同かばん類等」を指定商品として、平成10年3月20日に登録されたものである。

2.取消理由の通知
 本件商標は、上に示す通りの構成よりなるものである。

 そして、登録異議申立人 ザ コカ?コーラ カンパニー(以下、「申立人」という。)の提出に係る証拠を検討し、かつ、職権をもって調査すれば、商標「GEORGIA」が本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「コーヒー飲料」の商標として取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
 そうとすれば、「GEORGIA」の文字を含む本件商標は、それをその指定商品に使用した場合、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認める。


3.商標権者の意見
 商標権者は意見書を提出して概要次のように主張し、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

 「GEORGIA」はアメリカ南部の州名であり、国名、都市名、同様の地名として識別性がないものである。
 本件商標は出願人の英文社名「JASS INTERNATIONAL INC.」が主体であり、それにアメリカの地名である「GEORGIA」が組み合わされたものである。
 もともと、申立人は、「GEORGIA」は州名であり、識別性がないことを承知で使用しているものである。
 申立人の「GEORGIA」は独自に自分で考案した名称でもなく、それがたとえコーヒー飲料で有名であったとしても「カバン類」にその名前が影響するとは思われない。この判断はあまりにも外国の主張に迎合したものと思われる。


4.当審の判断
 本件商標は上に示した通り上段に「GEORGIA」の欧文字を大きく横書きし、その下段に「JASS INTERNATIONAL INC.」の欧文字を横書きした構成のものである。
 そして、本件商標中の「GEORGIA」の欧文字は大きい文字で見る者の注意を引き易い態様で表されていること及びその下段に表されている「JASS INTERNATIONAL INC.」の欧文字との配置関係からすると、必ずしも商品の産地・販売地を表示する文字とのみ取引者・需要者に理解認識されるとは断定できないものである。
 また、本件商標中の「GEORGIA」の欧文字は、申立人の業務に係る商品「コーヒー飲料」の商標として広く認識されていた商標「GEORGIA」と同じ欧文字といえるものである。
 そうしてみると、本件商標をその指定商品に使用するときは、取引者・需要者において本件商標中の「GEORGIA」の欧文字より直ちに申立人の前記商標「GEORGIA」を想起し、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
 ところで、商標権者は申立人の前記商標「GEORGIA」はアメリカ南部の州名を表したものであり識別性がない旨主張しているが、申立人の業務に係る商品「コーヒー飲料」の商標として使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識できるものとなっていたものであるから、この点の主張は採用できない。
 したがって、通知した前記取消理由は妥当なものであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、本件商標登録は同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。

 よって、結論のとおり決定する。


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鈴木正次特許事務所