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商標「」は、英国国旗と類似の図形を顕著に有するから、商標法4条1項1号に該当すると判断された事例 (平成5年審判第23746号、平成11年7月13日審決、審決公報第3号)
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1.本件商標 |
本願商標は、上に示した通りの構成よりなり、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品」を指定商品として、平成3年12月4日に登録出願されたものである。
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2.原査定の拒絶の理由 |
現査定においては、「本願商標は、英国国旗の図形を顕著に有してなるので、英国の国旗と類似する。」旨認定、判断し、商標法4条1項1号に該当するとして、本願を拒絶したものである。
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3.当審の判断 |
請求人は、原査定がした、本願商標は英国国旗を顕著に有してなる旨の認定に対して、これを否定している。 しかしながら、本願商標の「英」の文字と「屋」の文字との間に表された図形は、他の二文字と同じ大きさで表されたものであり、そして、国旗の輪郭とほぼ同じ形状の長方形の中央に十字に巾広の直線を黒色で配し、長方形の四隅と十字の中心とを放射状に巾広の黒色の直線で結び、放射状の直線の両側を白抜きにするために黒色の細線を配してなるもので、これらにより構成される図形は、別紙の英国国旗と基本的構成を同じくするものと認められる。 請求人は、本願商標中の図形は、輪郭たる外側の線、輪郭四隅の筆返しの溜等に英国国旗と違いがあり、他方、英国国旗は、紫の地に縦横斜めの白い帯を配し、その上に赤い線が縦横に表されたものであること、及び放射状の線が十字を構成する線と太さが異なること、交差していないこと、また、偏って配されていることにおいて、本願商標中の図形と差異がある旨主張しているが、商標を構成する図形と国旗に配色の違いがあるとしても、構成上の特徴を共通にするなどにより、離隔的に観察した場合において、互いに相紛れる虞があるときは両者は類似するものと解するのが相当である。 これを本願商標中の図形についてみるに、前記認定の通り、本願商標中の図形は英国国旗の基本的特徴を備えてなるものであり、両者を子細に対比するときは請求人主張のような差異があるとしても、いずれも離隔的な観察においては微差と言うべく、両者は相紛れる虞十分とみるべきであって、本願商標中の図形は、英国国旗に類似する図形と判断するのが相当である。 加えて、本願商標の図形は、「英」と「屋」の文字の間に位置し「国」の文字に相当する表示とみられるものであり、取引者・需要者は一層英国国旗を想起、認識すると言うべきであり、また、請求人もその旨及び本願商標中の図形は英国国旗のイメージを表した旨自認するところであるから、請求人の主張は採用できない。 また、請求人は商標法4条1項1号の解釈に関し学説を掲げて、本願商標に関し、国の威信又は尊厳性を害するか否かを検討すべきである旨主張する。 しかしながら、本願商標は前記認定の通り、英国国旗と類似の図形を顕著に有してなるものであり、これを一私人が私権として独占し、自己の取引において商品に使用することは、特段の事情がない限り、当該国家の威信に係わり、また、尊厳性を害する虞があるとみるのが相当と言うべきである。 したがって、本願商標は商標法4条1項1号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は妥当であり、取り消す限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |