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 商標「lotuslove/ロータスラブ」は、その構成中「lotus」のみを抽出して観察すべき特段の事情は存しないため、「Lotus Development Corporation」の著名な略称とは別異のものであり、他人の名称若しくは他人の著名な略称よりなる商標とはいい得ないものであるから、商標法4条1項8号に該当しないと判断された事例
(不服2000-11461、平成12年12月28日審決、審決公報第17号)
 
1.本件商標
 本願商標は、「lotuslove」と「ロータスラブ」の文字を二段に併記してなり、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品とし、平成11年8月12日に登録出願されたものである。

2.原査定の理由
 原査定は、「本願商標は、国際的情報産業の第一線にあり、ソフトウェアで国際的に著名な、55, Cambridge Parkway, Cambridge, Massachusetts, 02142 U.S.A. 所在の”Lotus Development Corporation”の著名な略称である『lotus』の文字を含むものであり、かつ、その者の承諾を得ているものとは認められない。
 したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法4条1項8号に該当する。」と認定し、その登録を拒絶したものである。


3.当審の判断
 そこで判断するに、本願商標は、「lotuslove」の文字を、同書・同大・等間隔に一体不可分に表してなるものであり、また「ロータスラブ」の文字は、その読み音と認められるものである。
 そして、本願商標は、「lotus」の文字が「睡蓮」を意味する英語として一般に知られており、また「love」の文字は「愛」を意味するから、全体が「睡蓮の愛」の如き意味合いを連想し、構成全体を以て一種の造語と認識され、その結び付きは強いといえるものであるから、これを「lotus」と「love」とに分離し、構成中の「lotus」の文字部分のみを抽出して観察すべき特段の事情も存するものということはできない。
 そうとすれば、本願商標は、「lotuslove」の文字に照応して、「ロータスラブ」のみの称呼を生ずるものとみるのが相当である。
 してみれば、本願商標は、「Lotus Development Corporation」の著名な略称とは別異のものであり、他人の名称若しくは他人の著名な略称よりなる商標とはいい得ないものであるから、本願商標を商標法4条1項8号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は妥当でなく取消しを免れない。
 その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所