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 商標「」は、「AgA」の部分が独創的に表示されて、普通に用いられる範囲を脱した特殊な態様よりなるから、商品の生産又は販売の場所及び役務の提供の場所を表示するものではないと判断された事例
(不服2000-20991号、平成14年1月22日審決、審決公報第27号)
 
1.本件商標
 本願商標は、上に示す通りの構成よりなり、国際分類第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,ロケット,遊園地用機械器具,乗物運転技能訓練用シミュレーター,鉄道用信号機,火災報知機,盗難警報器,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,家庭用テレビゲームおもちゃ」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として、平成11年9月16日に登録出願されたものである。
 そして、国際分類第9類の指定商品については、平成12年10月4日付け手続補正書により、「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,乗物運転技能訓練用シミュレーター,鉄道用信号機,火災報知機,盗難警報器,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,硬貨の計数用又は選別用の機械」と補正されたものである。


2.原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は全体として図案化されてなるとはいえ、『NAgANO』の欧文字を書したものと理解されるものと認められるから、これをその指定商品に使用しても、商品の生産又は販売の場所及び役務の提供の場所を表すものと認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。
 したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。


3.当審の判断
 本願商標は、上に示す通りの構成よりなるところ、その全体の構成よりして「NAgANO」の欧文字を図案化したものと理解される場合があるとしても、その構成中「AgA」の欧文字部分は極めて独創的に表示され、欧文字を表示する際に普通に用いられる範囲を脱して特殊な態様よりなるものであるから、自他商品の識別機能を果たし得るものであるとみるのが相当である。
 したがって、本願商標を商標法3条1項3号に該当するとした原査定は、妥当でなく取り消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所