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 商標「SANYO」は、商品「ぱちんこ機器」を取り扱う業界において相当程度知られており、ぱちんこ機器を多数設置することにより提供される「ぱちんこ施設の提供」をはじめとする「娯楽施設の提供」を指定役務とするものであるから、三洋電機株式会社の業務に係るものであるかのような印象を与え、役務の出所について混同を生じさせるおそれあるものとは認めがたい、と判断された事例
(平成10年審判第16479号、平成14年2月26日審決、審決公報第28号)
 
1.本件商標
 本願商標は、「SANYO」の文字を書してなり、国際分類第41類「娯楽施設の提供」を指定役務として平成8年8月1日に登録出願されたものである。

2.原査定の拒絶の理由
 原査定は、「本願商標は、家電製品の製造業者として広く知られている三洋電機株式会社(大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号)の著名な略称と認められる『SANYO』の文字を書してなるから、これを本願の指定役務に使用する場合には、あたかも上記会社と組織的に何らかの関連がある会社の業務に係る役務であるものと、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法4条1項15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3.当審の判断
 本願商標の構成は前記の通り、「SANYO」の文字を書してなるところ、三洋電機株式会社(大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号)が家電製品に使用して著名な商標は、『』のように「SANYO」の文字を基調とし、構成中の「N」の文字に特徴的なデザインが施されているものである。
 そして、三洋電機株式会社の所有する『』は、家電製品について使用した結果、取引者、需要者間に広く知られていることを否定するものではないが、本願商標「SANYO」の文字は、「三洋」、「三陽」、「山陽」、「山洋」等の字音に対応するものであり、「三洋」、「三陽」、「山陽」、「山洋」等の文字は、法人名称の一部として比較的一般に採択使用されやすいものといえる。
 また、同時に、請求人(出願人)の提出に係る甲第2号証及び同6号証によれば、本願商標と同様の「SANYO」の商標が、請求人が長年商品「ぱちんこ機器」に使用しており、「ぱちんこ機器」を取り扱う業界において「SANYO」の商標は、相当程度知られているとみることができる。
 そして、本願商標は、上記ぱちんこ機器を多数設置することにより提供される「ぱちんこ施設の提供」をはじめとする「娯楽施設の提供」を指定役務とするものであるから、請求人が本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該役務は請求人の業務に係るものであると認識する蓋然性が高いものというべきで、請求人が本願商標をその指定役務に使用しても、それが三洋電機株式会社の業務に係るものであるかのような印象を一般に与え、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認めがたいと言わなければならない。
 したがって、本願商標が、商標法4条1項15号に該当するとして拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所