最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 標章「」は、模倣シールを貼ったメロンが販売された事件が報道されたことにより著名となっており、商品「マネキン人形,洋服飾り型類,揺りかご」について他人が使用した場合、出所混同のおそれがあるから、商標法64条の要件を具備すると判断された事例 (不服2000-4294、平成14年6月5日審決、審決公報第31号)
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1.本件商標 |
本願商標は、上に示した通り「夕張メロン」の文字を表してなり、国際分類第32類「メロン、メロンのかんづめ、メロンのびんづめ」を指定商品として平成5年10月29日登録された登録第2591068号の防護標章として、平成11年4月12日登録出願、国際分類第20類「マネキン人形,洋服飾り型類,揺りかご」を指定商品とするものである。
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2.原査定の拒絶の理由の趣旨 |
原査定は、「本願標章は、自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法64条の要件を具備しない。」旨認定し、判断し、本願を拒絶したものである。
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3.当審の判断 |
本願標章は、上に示した通りの構成よりなるところ、近年、「夕張メロン」の模倣シールを貼ったメロンが販売された事件があり、複数新聞紙上で全国的にこの事件が報道され、その記事中において「夕張メロン」が商標登録されている名称である旨報道しているものもある。 そうしてみると、登録第2591068号商標は、請求人が、商品「メロン」について使用している登録商標として著名になっているものといえるから、本願の指定商品「マネキン人形,洋服飾り型類,揺りかご」が「メロン」と関係のない商品であることを考慮しても、本願標章を請求人以外の者が本願の指定商品に使用した場合、需要者が請求人の業務に係る商品であるかのように出所を誤認混同するおそれがあるものとするのが妥当である。 したがって、本願標章を商標法64条の規定する要件を具備しないものとして拒絶した原査定は妥当ではなく、取り消しを免れない。 その他、本願について拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
B. 商標「」は、特異な形状でレタリングされ、普通に用いられる方法で表示するものではないから、商標法3条1項4号に該当しないと判断された事例 (平成11年審判第19569号、平成14年5月31日審決、審決公報第31号)
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1.本件商標 |
本願商標は、上に示した通りの構成よりなり、国際分類第1類「化学品、のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く)」を指定商品として、平成10年9月4日に商標登録出願されたものである。 |
2.原査定の拒絶の理由 |
原査定は、「本願商標は、ありふれた氏と認められる『田岡』の文字を普通に用いられる方法のローマ字で、かつ、普通に用いられる方法の域を脱しない程度の態様で書してなるにすぎない。 したがって、本願商標は、商標法3条1項4号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。 |
3.当審の判断 |
本願商標は、上に示した通りの構成よりなるものであるところ、「田岡」がありふれた氏姓であり、また、これをローマ字「TAOKA」で表す場合があるとしても、本願商標にあっては、請求人説示の通り、「TAOKA」の構成中の両「A」に相当する文字部分がローマ字の「A」であるとは把握できない程度に著しく変容されており、また、全体としても、単に「田岡」のローマ字表記「TAOKA」であるといえない程度に、特異な形状でレタリングしてなるものであるから、これをもって、普通に用いられる方法で表示するものとはいい得ないものである。 そして、本願商標はまとまりよく表された該構成において、自他商品識別標識としての機能を十分に果たし得るものというを相当とする。 したがって、本願商標は商標法3条1項4号に該当するものでないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取り消すべきである。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |