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商標「海のせんい」は、「海でとれる繊維質」の意味合いが看取される場合があるとしても、商品の品質等を具体的、かつ、直接的に表示するものとはいい難く、一種の造語と把握するとみるのが相当であるから、需要者をして何人かの業務に係るものであるかを認識することができない商標ではなく、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないと判断された事例 (不服2001-19911、平成14年7月29日審決、審決公報第33号)
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1.本件商標 |
本願商標は、「海のせんい」の文字を横書きしてなり、国際分類第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,こんにゃく,豆腐,豆乳,カレー・シチュー又はスープの素」及び国際分類第30類「穀物の加工品,みそ,ウスターソース,しょうゆ,香辛料,ピザ,菓子及びパン」を指定商品として、平成11年5月31日に登録出願されたものである。
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2.原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、『海のせんい』の文字を書してなるものであるが、構成中の『せんい』の文字は、食品との関係においては、『繊維質』の意味合いを容易に想起・理解させ得るものである。そして、繊維質には、畑で栽培される野菜など、陸地でとれるものと、海藻など海でとれるものがあることは、一般に知られていることであるから、本願商標は、全体として、『海でとれる繊維質』の意味合いを容易に理解させ得るものといえる。そうとすれば、本願商標を、その指定商品中、繊維質を含む海産物である『寒天,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり』に使用するときは、これに接する需要者は、単に前記意味合いを理解するに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。 したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法4条1項16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3.当審の判断 |
本願商標は、上記のとおり、「海のせんい」の文字よりなるところ、これより、原査定説示のように「海でとれる繊維質」の意味合いを看取する場合があるとしても、その指定商品に関し、商品の品質等を具体的かつ直接的に表示するものとはいい難いものである。 また、当審において職権をもって調査したが、本願の指定商品を取り扱う業界において、該文字が、特定の商品又は商品の品質等を表示するものとして、普通に使用されている事実を発見することができなかった。 そうすると、本願商標を、その指定商品に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、一種の造語よりなる商標として把握するものとみるのが相当であり、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。 してみれば、本願商標は、需要者をして何人かの業務に係るものであるかを認識することができない商標ということはできず、かつ、これをその指定商品中のいかなる商品に使用しても、何等その商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。 したがって、本願商標を商標法3条1項6号及び同法4条1項16号に該当するとした原査定は妥当ではなく、取り消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |