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 商標「EPOP」は、「エポップ」とのみ称呼されるのに対し、引用商標「e−POP」は「イーポップ」の称呼を生ずるとみるのが相当であるから、外観、称呼及び観念のいずれにおいても両者互いに非類似と判断された事例
(不服2000-19172、平成14年8月19日審決、審決公報第34号)
 
1.本件商標
 本願商標は、「EPOP」の欧文字(標準文字)よりなり、国際分類第9類に属する願書に記載の商品を指定商品として、平成11年10月1日に登録出願、その後、指定商品については、同12年8月30日付け手続補正書により、「電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具」と補正されたものである。

2.原査定の引用商標
 原査定において、本願商標の拒絶の理由に引用した商標登録第4425425号商標(以下、「引用商標」という。)は、「e−POP」の欧文字(標準文字)よりなり、国際分類第9類「電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品(電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク及び光ディスクを含む。)」を指定商品として、平成11年7月21日登録出願、同12年10月20日に設定登録されたものである。

3.当審の判断
 (1)本願商標は、構成前記の通り「EPOP」の文字よりなるところ、該文字は特定の称呼、観念をもって知られた語ではなく造語と認められるものであるから、かかる場合、我が国で一般に親しまれている英語風の読み方をもって語頭部分が「epo…」と綴られる語が、例えば、英語の「epox(エポキシ樹脂)」を「エポキシ」、「epoch(時代、時期)」を「エポック」など「エポ…」と読まれているのに倣えば、全体として「エポップ」の称呼のみを生ずるというべきである。

 (2)他方、引用商標は、構成前記の通り、「e−POP」の文字よりなるところ、かかる構成文字全体は特定の意味合いを有しない造語と認められ、「e−commerce」を「イーコマース」、「e−money」を「イーマネー」、「e−mail」を「イーメール」と称呼されていることに倣えば、その構成中の「e−」の文字部分が「イー」と称呼され、全体として「イーポップ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。

 (3)してみれば、本願商標は「エポップ」のみの称呼を生ずるというべきであり、原査定の如く「イーポップ」の称呼を生ずることを前提に本願商標と引用商標とを称呼において類似のものとすることはできない。
 そして、本願商標と引用商標とは、両者より生ずる「エポップ」と「イーポップ」の称呼を比較すれば、語頭音において「エ」と「イー」との明らかな差異を有し、両音は称呼の識別上重要な要素となる語頭に位置するものであるから、両称呼を全体として称呼して、その語感が相異なり称呼上互いに区別し得るものといわなければならない。
 また、外観においては語頭部分に「E」と「e−」の顕著な差異を有するので、視覚上十分識別し得るものであり、さらに、観念においては両商標は特定の意味を有しない造語と認められるものであるから、観念上比較できない。そのほか、本願商標と引用商標とを類似としなければならないとする点を見出だすことができない。

 してみれば、本願商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似の商標と判断するのが相当であるから、本願商標を商標法4条1項11号に該当するものということできない。
 その他、本願について拒絶をすべき理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所