最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 商標「アメリカ永久脱毛協会」は、請求人(出願人)の会社の商号とは異なるものであるとしても、これを商標として採択、使用することが、社会の秩序を混乱させることにつながるとは認められないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということはできない、と判断された事例 (不服2001-4046、平成14年9月20日審決、審決公報第35号)
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1.本件商標 |
本願商標は、「アメリカ永久脱毛協会」の文字を書してなり、国際分類第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」及び国際分類第42類「美容,理容」を指定役務として、平成11年8月12日に登録出願されたものである。
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2.原査定の拒絶の理由 |
原査定は、「本願商標は、出願人の名称とは明らかに相違する団体の名称と認められるものであって、これを、出願人が自己の商標として採択使用することは、社会(経済)の秩序を乱すおそれがあるものと認めます。したがって、本願商標は、商標法4条1項7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3.当審の判断 |
本願商標は、「アメリカ永久脱毛協会」の文字よりなるところ、請求人(出願人)の平成13年6月18日付け提出の手続補足書に添付の参考資料9及び同資料10(アメリカンエレクトロロジー協会(AEA)の最高責任者テレサ E ペトリカ氏から本願請求人(出願人)であるコミー株式会社の取締役に宛てた2001年6月5日付けの書簡(写))等によれば、以下の事実が認められる。 (1)請求人は、アメリカンエレクトロロジー協会(American Electrology Association, AEA 1958年設立)より、日本におけるAEAの唯一の支部としてAEAに代わって「アメリカ永久脱毛協会(アメリカ永久脱毛士協会)」なる名称を美容の分野において商標登録することについて承諾を得ていること。 (2)アメリカ永久脱毛協会(American Permanent Hair Removal Electrologists Association)という名称は、日本においては、AEAの翻訳に相当する名称であること。 (3)米国内には、「アメリカ永久脱毛協会(American Permanent Hair Removal Electrologists Association)なる名称の組織がないことを認めます。」と書簡にあること。 以上の事実によれば、本願商標を構成する「アメリカ永久脱毛協会」の文字が、原審説示のように請求人(出願人)の会社の商号とは異なるものであるとしても、これを出願人が商標として採択、使用することが、社会の秩序を混乱させることにつながるとは認められないから、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということはできない。 したがって、本願商標が商標法4条1項7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取り消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
B. 商標「健康フーズ」は、その構成中「フーズ」の文字が「食品」の意味を有するとしても、かかる構成においては特定の商品又は商品の品質を具体的に表示したものとはいい難く、むしろ、構成全体をもって一種の造語よりなるものとみるのが相当であるから、国際分類第3類の商品に使用しても、商品の品質誤認のおそれはない、と判断された事例 (不服2001-6947、平成14年9月25日審決、審決公報第35号)
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1.本件商標 |
本願商標は、「健康フーズ」の文字を標準文字で書してなり、国際分類第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き,洗濯用漂白剤」を指定商品として、平成12年2月7日に商標登録出願されたものである。 |
2.原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、その構成中に、『フーズ』の文字を有してなるものであるから、これを本願指定商品に使用するときは、恰も、『食品』であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法4条1項16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3.当審の判断 |
本願商標は、「健康フーズ」の文字を横書きしてなるところ、構成中の「フーズ」の文字が「食品」の意味を有する語であるとしても、かかる構成においては、これが特定の商品又は商品の品質を具体的に表示したものとはいい難く、むしろ、構成全体をもって一種の造語よりなる商標とみるのが相当である。 してみれば、本願商標は、特定の意味合いを有しない造語よりなるものというべきであり、これをその指定商品に使用しても、何らその商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。 したがって、本願商標を商標法4条1項16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく、取り消しを免れない。 その他、本願について拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |