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 商標「」は、引用商標「タマヤ」とは、称呼において一致する場合があるとしても、外観及び観念において顕著な差異を有するため、これらを総合的に考察すると、商品の出所について誤認混同を来すおそれのない非類似の商標と判断された事例
(不服2001-16408、平成15年8月15日審決、審洪公報第46号)
 
1.本願商標
 本願商標は、上掲の通りの構成よりなり、第30類に属する願書記載の通りの商品を指定商品として、平成12年6月5日に登録出願され、その後指定商品については、同13年6月25日付け手続補正書により、第30類「いちご入り大福」と補正されたものである。

2.引用商標
 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3314173号商標(以下、「引用商標」という。)は、「タマヤ」の片仮名文字をゴシック体で横書きした構成よりなり、指定商品を第30類「コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食品香料(精油のものを除く。)、うどんのめん、オートフレーク、オートミール、乾燥飯、ぎょうざの皮、コーンフレーク、さらしあん、人造米、スパゲッティのめん、そうめんのめん、即席うどんのめん、即席そばのめん、即席中華そばのめん、そばのめん、中華そばのめん、春雨、パン粉、ビーフン、ふ、米飯の缶詰、マカロニ、もち、菓子及びパン、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、イーストパウダー、こうじ、酵母、べ一キングパウダー、氷、アイスクリーム用凝固剤、家庭用食肉軟化剤、ホイップクリーム用安定剤、酒かす」として、平成6年3月8日に登録出願され、同9年5月30日に商標権の設定登録がなされたものである。

3.当審の判断
 本願商標は、上掲の通り、左に家紋(細輪に平五つ石)図形を表し、右に筆記体風の書体で「元祖」及び「玉屋いちご大福」の文字を二段に表した構成よりなるものであり、図形部分と文字部分とは常に一体のものとして把握しなければならない特段の理由も見出せないものである。そして、本願商標は、その構成文字中「元祖」の文字が「創始者」、「いちご大福」の文字が「指定商品(「いちご入り大福」)」を表すことから、自他商品識別標識としての機能を果たす部分は、本願の文字部分中「玉屋」にあり、全体として称呼される他、これより単に、「タマヤ」の称呼をも生ずるというのが相当である。
 他方、引用商標は、「タマヤ」の文字よりなるものであるから、「タマヤ」の称呼を生ずるものである。
 ところで、一般に商標が類似するかどうかは、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、その類否判断をするに当たっては、両商標の外観、称呼、観念を観察し、それが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないと解されるものである。
 そこで、本願商標と引用商標とを比較すると、両商標の構成は、上記の通りであり、本願商標は図形と筆記体風の漢字及び平仮名文字との組合せよりなるものであるのに対して、引用商標はゴシック体の「タマヤ」の片仮名文字のみで構成されるものであるから、両者は、図形の有無、構成文字数、文字の種類及び書体において明らかに相違し、外観上紛れるおそれはないものである。
 そして、本願商標は、その構成文字部分から「いちご入り大福の創始者『玉屋』」のごとき観念を生ずるのに対して、引用商標は何等の観念を生じない造語よりなるものとするのが相当であるから、観念上においても紛れるおそれはないものである。
 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼の点において一致する場合があるとしても、前記の通り、その外観及び観念において顕著な差異を有するものであって、これらの点を総合的に考察すると、両商標が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想は著しく異なるものであるから、両商標は、商品の出所について誤認混同を来すおそれのない、非類似の商標というべきである。
 したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。  よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '04/09/05