最近の注目審決・判決を紹介します。

A. 商標「」は、独特の構成からなる図形商標と認識され特定の呼称が生じないから、引用商標「」とは互いに非類似と判断された事例
(不服2003-4863、平成17年3月16日審決、審決公報第65号)
 
1.本願商標
 本願商標は、上掲の通りの構成よりなり、第9類に属する願書に記載の通りの商品を指定商品として、平成13年4月5日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同14年5月22日付けの手続補正書により、第9類「眼鏡」と補正されたものである。

2.引用商標
 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3258445号商標(以下、「引用商標」という。)は上掲の通りの構成よりなり、平成6年6月20日(パリ条約による優先権主張1993年12月21日ドイツ連邦共和国)に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の通りの商品を指定商品として、同9年2月24日に設定登録されたものである。

3.当審の判断
 本願商標は、上掲の通りの構成からなるところ、これより直ちに特定の文字を表したものとは言い難く、むしろ、独特の構成からなる図形商標として理解・認識されるものとみるのが自然である。
 そうとすれば、本願商標からは特定の称呼を生ずることはないものといわなければならない。
 したがって、本願商標から「アイキュー」の呼称を生ずるものとし、その上で、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当ではなく取消を免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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B. 商標「ISOTEK」は、外観上一体として把握し得、かつ、淀みなく一連に称呼し得、さらに、一体不可分の造語商標と認識し把握されるものであって、「国際標準化機構」(International Organization for Standardization)」の略称である「ISO」を連想、想起するということはできないから、商標法第4条第1項第6号及び同項第8号に該当しない、と判断された事例
(不服2004-475、平成17年4月6日審決、審決公報第65号)
 
1.本願商標
 本願商標は、「ISOTEK」の文字を標準文字としてなり、第1類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成14年6月11日に登録出願されたものである。

2.原査定の拒絶の理由
 原査定は、以下の理由(1)及び(2)の通り認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 (1) 本願商標は「ISOTEK」の文字からなるものであるが、ジュネーブに本部を置く工業規格に関する国際機関であって、「ISO9000」等の品質規格を制定している「国際標準化機構(International Organization for Standardization 以下同じ。)」の著名な略称「ISO」の文字を含むものであるから、公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と同一又は類似のものと認める。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する。
 (2) 本願商標は、「国際標準化機構」の著名な略称「ISO」の文字を含むものであり、その承諾を得たものと認められない。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。


3.当審の判断
 本願商標は、前記の通り「ISOTEK」の文字を書してなるものであるところ、該文字は同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で纏まりよく一体的に表されていることから、外観上一体として、把握し得るものであり、全体より生ずる「イソテック」若しくは「アイソテック」の称呼も、淀みなく一連に称呼し得るものである。また、本願商標を「ISO」と「TEK」とに分断しなければならない特段の理由は見出すことができない。
 そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者が直ちに「ISO」の文字のみに着目し、これを独立した標識部分として認識するとはいえず、むしろ、全体が何等特定の意味合いを有しない一体不可分の造語商標と認識し、把握されるとみるのが相当である。
 してみれば、本願商標をその指定商品に使用する場合、これに接した取引者、需要者が「国際標準化機構」の略称である「ISO」を連想、想起する、ということはできないから、本願商標は、商標法第4条第1項第6号及び同法第4条第1項第8号に該当しないものである。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '06/2/6