最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 商標「スーパーフレックス」は、指定商品「化学薬品供給用ホース、燃料供給用ホース」について商品の品質等を表示するものではなく、一種の造語として自他商品識別機能を果し得る、と判断された事例
(不服2008-22722、平成21年7月2日審決、審決公報第116号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「スーパーフレックス」の文字を標準文字により表わしてなり、第17類「化学薬品供給用ホース、燃料供給用ホース」を指定商品として、平成19年5月2日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、『超、より優れた、優秀の』の意味を有する語である『スーパー』と『柔軟性』などの意味を有する語である『フレックス』とを横一連に書してなるに過ぎないものであるから、これを本願指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者に、柔軟性に優れた商品であることを認識させるに止まり、単に商品の品質を表示するに過ぎないものである。従って、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、前記の通り「スーパーフレックス」の文字を書してなるところ、たとえ、その構成中の「スーパー」及び「フレックス」の各文字が、原審で説示した意味を有するとしても、これらを組み合わせた本願商標の構成文字全体からは、具体的な商品の品質等を認識させるものとは言い得ないものであり、むしろ、特定の意味合いを看取することができない一種の造語よりなるものというのが租当である。 また、「スーパーフレックス」の文字が、その指定商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されているという事実も見出すこともできない。してみれば、本願商標はその指定商品について商品の品質等を表示するものでなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと言わなければならない。 従って、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
B. 商標「ニツコー/NIKKO」は、引用商標「日航」とは称呼において近似するとしても、外観及び観念において明らかに相違するものであるから、称呼・観念及び外観を総合的に観察すれば、商品の出所について誤認混同の虞のない非類似の商標と判断された事例 (不服2009-8667、平成21年7月21日審決、審決公報第116号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「ニツコー」の片仮名文字と「NIKKO」の欧文字とを2段に横書きしてなり、第5類の商品を指定商品として、平成19年4月17日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、当審における同21年6月17日付の手続補正書により、第5類「薬剤」に補正されたものである。
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2 引用商標 |
原査定において、本願の拒絶理由に引用した登録第4497666号商標(以下、「引用商標」という。)は、「日航」の文字を標準文字で表してなり、平成12年5月19日に登録出願、第1類乃至第34類に属する商標登録原簿に記載の通りの商品を指定商品として、同13年8月10日に設定登録されたものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、前記1の通り、「ニツコー」の片仮名文字と「NIKKO」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ニツコー」の称呼が生じ、特定の意味合いを有しない造語を表示した商標と認められる。 一方、引用商標は、前記2の通り、「日航」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ニツコウ」の称呼を生ずるものであり、また、日本の代表的な航空会社である「日本航空株式会社」の略称(「日本語大辞典」講談社発行)としての観念を生ずるものである。 そこで、本願商標から生ずる「ニツコー」の称呼と引用商標から生ずる「ニツコウ」の称呼を比較すると、両者は、語尾において長音「ー」と「ウ」の音の差異を有するに過ぎず、しかも、該「ウ」の音はその前に位置する「コ」の音の母音「o」(オ)の音との二重母音となり、聴感上、長音のように聴取されることから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聴き誤る虞があるほどに近似するものである。 しかしながら、本願商標と引用商標とは、前記の構成よりみて、外観上、区別し得る差異を有するものであり、さらに引用商標は、株式会社日本航空インターナショナルが、航空機による輸送等に使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識された著名な商標と認められるものである。 してみれば、本願商標と引用商標とは、称呼において近似する場合があるとしても、外観及び観念において明らかに相違するものであるから、称呼、観念及び外観を総合的に考察すれば、取引者、需要者に与える印象が異なり、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合においても、商品の出所について誤認混同を生ずる虞のない非類似の商標とみるのが相当である。 したがって、本顔商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |