最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 商標「駅弁屋きわみ」は、「駅弁屋」の文字が役務「飲食物の提供」の質、提供場所等を表示するものではなく、「エキベンヤキワミ」の一連一体の称呼のみを生ずるから、「キワミ」の称呼を生ずる引用商標「喜輪味」とは、互いに非類似と判断された事例
(不服2008-28265、平成21年9月25日審決、審決公報第119号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「駅弁屋きわみ」の文字を標準文字で大してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成19年4月17日に登録出願されたものである。。
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2 引用商標 |
原査定は、「本願商標は、『喜輪味』の文字を書してなる登録第4385545号(以下、『引用商標』という。)と『キワミ』の称呼を共通にする類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、前記1の通り、「駅弁屋きわみ」の文字からなるところ、該文字は、同書、同大、等間隔で、纏り良く一体的に書されており、これより生ずると認められる「エキベンヤキワミ」の称呼も、格段冗長というべきものではなく、淀みなく一連に称呼し得るものである。 そして、本願商標の構成中「駅弁屋」の文字が、「駅売り弁当を取り扱う家(場所)」程の意味合いを認識させるものであるとしても、当審において職権をもって調査するも、本願の指定役務「飲食物の堤供」を取り扱う業界において、「駅弁屋」の文字が役務の質、役務の提供場所等を表示するものとして、取引上、普通に使用されている事実を見出すことはできなかった。 そうとすれば、かかる構成においては、「駅弁屋」の文字部分を省略し、構成中の「きわみ」の文字部分のみをもって取引に当たるとは言い難く、むしろ、構成全体をもって、一体不可分のものとして把握され、認識されるというのが相当である。 してみれば、本願商標は構成文字全体に相応した「エキベンヤキワミ」の称呼のみを生ずるものである。 したがって、本願商標より「キワミ」の称呼をも生ずるとし、その上で、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
B. 商標「もえちやん」は、人気ファッションモデル「押切もえ」の略称を指し示すものとして、一般に広く知られていると認めることはできず、他人の著名な略称に当たらないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない、と判断された事例 (不服2009-18169、平成21年11月25日審決、審決公報第121号)
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1 本願商標 |
本願商標は「もえちやん」の文字を標準文字で表してなり、第28類「おもちや、人形、囲碁用具、歌がるた、将棋用具、さいころ、すごろく、ダイスカップ、ダイヤモンドゲーム、チェス用具、チェッカー用具、手品用具、ドミノ用具、トランプ、花札、マージャン用具、遊戯用器具、ビリヤード用具、運動用具」を指定商品として、平成19年7月25日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、現代を代表する人気モデルとして注目されている押切もえの著名な略称である『もえちやん』の文字を普通に書してなるものであって、かつ、その者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第8号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、前記1の通り、「もえちやん」の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、当審において職権をもって調査するも、人気ファッションモデル「押切もえ」について、その名称と併用して、「もえちやん」の文字が一部において、使用されている場合があることは認め得るものとしても、「もえちやん」の文字が、我が国において、上記モデル名の略称を指し示すものとして、本願の指定商品の需要者を含め、一般に広く知られていると認めるに足りる事実を見出すことはできない。 してみれば、本願商標は他人の著名な略称に当たるということはできないから、これを理由に本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |