最近の注目審決・判決を紹介します。
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1 本願商標 |
本願商標は別掲1の通りの構成よりなり、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年5月17日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由 |
原査定は、「本願商標はありふれた円輪郭内に、仮名文字1字の『さ』を普通に用いられる方法で表してなる極めて簡単で、かつ、ありふれた標章と、ありふ
れた氏と認められる『佐藤』に通ずる「さとう」の文字よりなるものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと
認める。従って、本願商標は商標法3条1項6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は別掲1の通り、のれんに記す商家の屋号に使用される記号(以下、「のれん記号」という。)の一類型と解される、円輪郭内に「さ」の平仮名文字
を書してなる図形部分(以下、「マルサ標章」という。)と、その右側にやや小さめの平仮名文字で「さとう」と書してなる文字部分との組み合わせからなる。 ところで、のれん記号とは、一般に文字と図形(記号)が一体的に把握され、これをもって取引に資されるというのが通例であるから、その外観的形状は商標 の特つ伝達力、即ち、印象、記憶、連想等において、より一層重要な役割を果たすものというのが相当であり、のれん記号と認められる本願商標中のマルサ標章 についても、同じことが言える。 そうすると、その構成中「さとう」の文字部分が、ありふれた氏である「佐藤」を平仮名文字で「さとう」と表したものと容易に理解し得るものであって、自 他役務の識別標識としての機能を果たし得ない部分であるとしても、左側にやや大きく表されたマルサ標章は、自他役務の識別力を有する一種ののれん記号を表 したものと認識されるとみるのが相当であるから、本願商標をその指定役務に使用しても、十分に自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであって、 需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえない。 したがって、本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
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1 本願商標 |
本願商標は別掲2の通りの構成よりなり、第14類「時計」及び第18類「かばん類、袋物」を指定商品として、平成20年5月1日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由 |
原査定は、「本願商標はその構成中にモデル・タレントとして著名な『小島由梨』を欧文字表記したものと認められる『Yuri
KoJima』の文字を有してなるものであり、かつ、その者の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は商標法4条1項8号に該当する。」
旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は別掲2の通り、図案化された「K」の文字を大きく表示し、その下に「Yuri
Kojima」の欧文字を書してなる処、原審説示のモデル・タレント名「小島由梨」は、当審において職権をして調査するも、インターネッ卜情報において、
そのモデル・タレント名を確認できるものの、その芸能活動は2003年、2004年頃であってその期間は短く、その間に特筆すべきものもないものであるか
ら、我国において同人の芸名が著名であるということはできない。さらに、同芸名が本人の氏名であるとの確認はできなかった。 また、請求人は「Yuri Kojima」について、当審の審尋に対し、請求人会社の取引上の顧客であり、その氏名は「小島有理」である旨述べ、その者の承諾書を提出している。 してみると、本願商標は他人の氏名若しくは著名な芸名若しくはこれらの著名な略称を含むものとは認めることができないものである。 したがって、本願商標が商標法4条1項8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。 よって、結論の通り審決する。 |