最近の注目審決・判決を紹介します。
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1 本願商標 |
本願商標は別掲1の構成からなり、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料、金属製建具、金属製建造物組立セット」、第19類「セメント及びその製品、木材、石材、建築用ガラス」及び第21類「清掃用具及び洗濯用具」を指定商品として、平成21年7月16日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は宮崎県日南市の市章として広く知られている標章と類似するものである。従って、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
(1) 日南市章の著名性について
日南市章は別掲2の構成からなる処、日南市章は昭和25年12月20日に旧日南市の市章として制定され、日南市もこれを継承しているものである。 そして、日南市章は日南市を表示するものとして同市の公共施設、ホームページ、広報用パネル、マンホールの蓋などに使用され、大きなイベントの際にはメインとなる舞台や調印式等の背景に日南市章が赤色で表示された日南市旗が掲げられていること、これらのイベント等を報じる新聞記事やテレビ放送には、背景等に日南市章が写ることも多く、また、日南市の観光や物産を紹介する書籍、ホームページにも、日南市の名称と共に日南市章が掲載されることがあること、が認められる。 しかしながら、日南市章が日南市の公共施設やホームページ等に表示されたからといって、本願商標の指定商品の取引者、需要者が一般に目にするとは認められない。また、イベント等を報じる新聞記事の写真、テレビ放送等に写る日南市章は背景として小さく写り込んでいるに過ぎず、目立つものとは認められない。そして、日南市の観光や物産を紹介する書籍、ホームページも、本願商標の指定商品の取引者、需要者が一般に目にするとは認められない。 従って、日南市章が本願商標の指定商品に係る一商圏以上の範囲の取引者、需要者に広く認識されていたということはできない。 |
(2) 本願商標と日南市章との類否について
日南市章は別掲2の通りの構成からなる処、上下左右に三角形の突起を有する黒塗りの肉大円輪郭とその輪郭内部の中心に内包される黒塗りの正円からなる図形からなるものである。 他方、本願商標は別掲1の通りの構成からなる処、上下左右に三角形の突起を有する黒塗りの肉大円輪郭とその輪郭内部の中心に内包される黒塗りの正円からなる図形部分と、その下方に上記図形と比して1/5程の大きさで「DAIWA」の文字を配した構成を組み合わせた結合商標である。 そして、本願商標の図形部分は本願商標の大きな部分を占めるものではあるものの、「日」という漢字の古代書体に由来するありふれた図形であって、その部分が取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとまでは認められない。 他方、本願商標の「DAIWA」の文字部分は図形部分と比して1/5程の大きさに過ぎないものの、同部分から「ダイワ」の呼称が生じることは否定できない。 また、我国には、「ダイワ」「大和」を冠した企業名が多数存在するから、取引者、需要者は「DAIWA」の文字部分を企業名に関する表示として認識し、同部分からそのような企業名としての観念を生じるものと認められる。 従って、本願商標の「DAIWA」の文字部分から出所識別標識としての呼称、観念が生じないと認めることはできない。 以上によれば、本願商標の構成から図形部分を抽出し、この部分だけを日南市章と比較して商標そのものの類似を判断することは、許されないというべきである。 そして、本願商標と日南市章を全体として対比すると、外観において本願商標の図形部分と日南市章は類似するものの、本願商標が「ダイワ」の呼称を生じ、「ダイワ」ないし「大和」の企業名としての観念を生じるのに対し、日南市章は特定の呼称、観念を生じるものとは認められないから、全体として類似するとは言えない。 |
(3) まとめ
以上の通り、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとした原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |