最近の注目審決・判決を紹介します。

A. 商標「ナチュラルワイドストロング」は、指定商品「床板」について全体で一種の造語を表したものであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できないものとは言えない、と判断された事例
(不服2013-11232、平成25年12月26日審決、審決公報第170号)
 
1 本願商標
 本願商標は「ナチュラルワイドストロング」の文字を標準文字で表してなり、第19類「木材」を指定商品として、平成24年7月25日に登録出願されたものである(その後、「床板」に補正)。

2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『天然・幅広・丈夫』程の意味合いを容易に認識させるに止まる『ナチュラルワイドストロング』の文字を標準文字により表してなるから、これを本願指定商品に使用しても、これに接する需要者は上記意味合いの商品と認識するに止まり、需要者が何人かの業務に係る商品かを認識することができない。従って、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
 本願商標は、「ナチュラルワイドストロング」の文字を標準文字で表してなる処、構成中「ナチュラル」の文字が「自然・天然のままであるさま」の意味を、「ワイド」の文字が「幅の広いさま」の意味を、「ストロング」の文字が「強いこと、丈夫なこと」の意味を有するとしても、全ての文字が同書同大で一体的に表された本願商標の構成、態様からすると、これに接する需要者、取引者が原審説示のように、殊更に3つの語に分断してそれぞれの個別の意味を理解するとはいい難い。
 また、当審において職権をもって調査するも、「ナチュラルワイドストロング」一体の語が、本願商標の指定商品の分野において、原審説示のような商品であることを理解させるものとして、一般に使用、認識されているというに足る事実も見出せない。
 してみれば、本願商標はその構成文字全体をもって特定の意味を有しない一種の造語を表したものであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとは言えない。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


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B. 商標「Ragazza」は、「少女、若い女性」を意味するイタリア語であるとしても、指定商品「被服、履物」について商品の品質を表示するものではないから、自他商品の識別機能を有し、かつ、商品の品質の誤認を生じさせる虞もない、と判断された事例
(不服2013-11254、平成25年12月16日審決、審決公報第170号)
 
1 本願商標
 本願商標は、「Ragazza」の欧文字を標準文字で表してなり、第25類「被服、履物」を指定商品として、平成24年5月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
 原査定は、「本願商標は、『Ragazza』の文字を標準文字で表してなり、該文字は『少女、若い女性』の意味を有するイタリア語であり、本願の指定商品を取扱う業界では、イタリアはファッション流行の発信地として親しまれ、イタリア語のブランド名も多数存在し、また、イタリア語は本願の指定商品を取扱う業界において、商品の特性や属性を表示するものとしても普通に使用されていることからすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は『女性用の商品』程の意味合いを認識・理解するに止まり、単に商品の品質を表示するに過ぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせる虞があるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
 本願商標は、「Ragazza」の欧文字を標準文字で表してなる。
 そして、たとえ「Ragazza」の文字が「少女、若い女性」を意味するイタリア語であるとしても、当審における調査によっては、本願の指定商品を取扱う業界において、該文字が商品の品質を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、また、本願の指定商品の取引者、需要者が該文字を商品の品質を表したものと認識すべき事情も発見できない。
 してみれば、本願商標はこれをその指定商品に使用するときは、商品の品質を表示したものと認識されるものではなく、自他商品の識別機能を果たし、かつ、商品の品質の誤認を生じさせる虞はないものというべきである。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '14/11/10