最近の注目審決・判決を紹介します。
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1 本願商標 |
本願商標は別掲1の通りの構成からなり、第9類、第16類、第28類及び第41類に属する願書記載の通りの商品及び役務を、指定商品及び指定役務として、平成24年6月11日に登録出願された。指定商品については、その後補正されている。
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2 原査定の拒絶の理由(要点) |
原査定は、「本願商標は登録第5354335号商標(以下、「引用商標」という。)と類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、別掲1の通り、擬人化したキヤラクター図形を表し、その下に「ゆぴと」の文字を表示してなる処、その構成文字に相応して「ユピト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
一方、引用商標は「ゆぴっと」の標準文字からなる処、これからは「ユピット」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 そこで、本願商標と引用商標の外観を比較すると、その構成態様が相違し、相紛れる虞はない。 次に、本願商標から生じる「ユピト」の称呼と、引用商標から生じる「ユピット」の称呼とを比較すると、第2音の「ピ」の音が促音を伴うか否かに差異を有する処、本願商標は「ユピト」と平坦に称呼されるのに対し、引用商標は「ピ」の音が促音を伴うことにより、中間の「ピッ」の音にアクセントが置かれ、抑揚をつけて発音されるものであり、更に両称呼は共に短い3音と4音の音構成であるから、促音の有無の差異が称呼全体に及ぼす影響は決して小さなものとは言えず、それぞれを一連に称呼した場合には、語調、語感が異なることから、称呼において相紛れる虞はない。 そして、本願商標と引用商標は、共に特定の観念が生じないものであるから、観念においても相紛れる虞はない。 そうとすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れる虞のない非類似の商標というべきである。 従って、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
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1 本願商標 |
本願商標は別掲2の通りの構成からなり、第11類「電球類及び照明用器具」を指定商品として、平成24年10月17日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由(要点) |
原査定は、「本願商標はオレンジ色と青色とに塗り分けた図形よりなるに過ぎず、全体として特色のある構成態様であるとは認めがたいものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、自他商品の識別標識とは理解しえず、何人の業務に係る商品であるかを認識することができないものである。従って、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は別掲2の通り、青色の正方形と、これと縦の長さを同じくする縦横比が3対4の赤色の長方形とを左右結合した構成からなる処、その構成態様から、看者をして、青色の正方形と赤色の長方形に色分けされた縦横比が3対7の横長の長方形の図形と認識、把握されるとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は上記の特徴を有する2色の矩形からなる横長の長方形のいわゆる図形商標であるといえる。 してみれば、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を有さないものとは言い得ないから、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標とは言えない。 従って、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |