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 商標「博多織巻」(商品:菓子)は、引用地域団体商標「博多織」(商品:絹織物、絹織物製の和服)の文字を含むものではあるが、両商品はその業界が明確に異なり、かつ、販売場所等も相違する等、互いの商品の関連性が乏しく、取引者・需用者の共通性も低いから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需用者が引用地域団体商標を連想又は想起するとは言えず、その権利者(博多織工業組合)又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると、その商品の出所について混同を生ずる虞はない、と判断された事例
(不服2014-12553、平成26年12月5日審決、審決公報第181号)
 
1 本願商標
 本願商標は「博多織巻」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子」を指定商品として、平成24年12月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願・商標は、その構成中に博多織工業組合が「福岡県博多地域に由来する製法により福岡県福岡市・久留米市・甘木市・小郡市・筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・前原市・筑紫郡那珂用町・糟屋郡宇美町・糟屋郡志免町・糟屋郡須恵町・槽屋郡粕屋町・福津市・朝倉郡筑前町・糸島郡二丈町・佐賀県唐津市・佐賀郡川副町・佐賀郡久保田町・大分県豊後高田市・杵築市で生産された絹織物」について使用した結果、本願商標出願前から日本国内において著名な『博多織』(地域団体商標/登録第5031531号)(以下、「引用商標」という。)の文字を有してなるから、これを出願人がその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が博多織工業組合又は同人と組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について誤認を生ずる虞があるものと認める。従って、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
 本願商標は「博多織巻」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子」を指定商品とするものである。
 他方、引用商標は「博多織」の文字を標準文字で表してなり、第24類「福岡県博多地域に由来する製法により福岡県福岡市・久留米市・甘木市・小郡市・筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・前原市・筑紫郡那珂川町・糟屋郡宇美町・糟屋郡志免町・糟屋郡須恵町・糟屋郡粕屋町・福津市・朝倉郡筑前町・糸島郡二丈町・佐賀県唐津市・佐貧郡川副町・佐賀郡久保田町・大分県豊後高田市・杵築市で生産された絹織物」及び第25類「同絹織物製の和服」について、地域団体商標として、平成19年3月9日に設定登録されたものである。
 そして、引用商標は現在においても、当該指定商品について引用商標の権利者(博多織工業組合)又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
 しかして、本願商標の指定商品「菓子」と引用商標の指定商品「絹織物、絹織物製の和服」とは、それぞれの商品を取り扱う業界が明確に異なり、取引の対象、流通経路等においても明らかに相違するものである。
 また、本願商標の指定商品は、主に食品スーパー、菓子店等で販売されるものであるのに対し、引用商標の指定商品は主に和装専門店、呉服店等で販売されるものである。
 さらに、同一の事業者が両商品を製造、販売等を行う蓋然性は極めて低いものといえる。
 これらのことから、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、その業界が明確に異なり、かつ、販売場所等も相違する等、互いの商品の関連性が乏しく、取引者、需要者の共通性も低いものと判断し得るものである。
 そうとすれば、本願商標はその構成中に「博多織」の文字を含むものではあるものの、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するとは言えず、引用商標の権利者(博多織工業組合)又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると、その商品の出所について混同を生ずる虞はないものと判断するのが相当である。
 したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものとは言えないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '15/10/13