最近の注目審決・判決を紹介します。

A. 別掲A商標は、構成中「コンサル大学」の文字が特定の意味合いを想起させる場合があるものの、学校教育法に基づいて設置された大学において、学問分野の一などとして、上記特定の意味合いに照応する教育内容を教授しているものは見出せなかったため、「大学」の文字を有するとしても、取引者・需要者をして、直ちに学校教育法に基づいて設置された大学であるかのように認識することはないから、世人を欺瞞する、或いは、社会公共の利益に反する等とはいえない、と判断された事例
(不服2014-17846、平成26年12月4日審決、審決公報第181号)
別掲A
(本願商標)

 
1 本願商標
 本願商標は別掲Aの通りの構成からなり、第9類、第35類、第41類及び第42類の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年4月3日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標はその構成中に『コンサル大学』の文字を有してなる処、該文字中には学校教育法第1条及び第135条により使用を禁止されている名称である『大学』の文字が含まれているため、これを学校教育法に基づく正規の手続により大学の設置についての認可を受けているとは認められない出願人が採択、使用することは、それが恰も学校教育法により設置の認可を受けている大学の取扱いに係る商品又は役務であるかの如く誤認させる虞があり、学校教育制度に対する社会的信頼を害し、ひいては公の秩序を害する虞があるから、穏当ではない。従って、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
 本願商標は別掲Aの通りの構成からなるものである処、構成中「コンサル」の文字は「執政官、領事」の意味を有し、近時においては「コンサルタント」又は「コンサルティング」の略称としても用いられ得るものである。
 そうすると、本願商標の構成中「コンサル大学」の文字部分は、その構成全体から「執政官又は領事に関する大学」又は「コンサルタント又はコンサルティングに関する大学」程の意味合いを想起させる場合があるものと言い得る処、当審において職権をもって調査するも、学校教育法に基づいて設置された大学において、学問分野の一などとして、上記意味合いに照応する教育内容を教授しているものは見出せなかった。
 してみれば、本願商標はたとえ、その構成中に「大学」の文字を有してなるとしても、取引者・需要者をして、直ちに学校教育法に基づいて設置された大学であるかの如く認識することはないとみるのが相当であり、よって、本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、他人を欺瞞する、或いは、社会公共の利益に反するということはできない。
 そして、本願商標は別掲Aの通りの構成からなるものである処、これがきょう激、卑猥、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものというべき事由も見当たらない。
 したがって、本願商標は公の秩序又は善良の風俗を害する虞があるものとはいえないから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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B. 別掲B商標は、構成中から「特許」の文字を削除する補正等をした結果、商品の品質の誤認を生ずる虞はなくなった、と判断された事例
(不服2014-1268、平成26年12月4日審決、審決公報第181号)
別掲B
(本願商標)
 
1 本願商標
 本願商標は願書記載の通りの構成よりなり、第5類、第29類、第30類及び第31類に属する願書記載の通りの商品を指定商品として、平成25年4月3日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における手続補正書により、第5類「乳酸菌を含有するサプリメント」、第29類「乳酸菌飲料他」、第30類「乳酸菌を使用した菓子」及び第31類「乳酸菌を使用したペットフード」に補正されたものである。また、本願商標については、当審における手続補正書により、別掲Bの通りに補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は構成中に『特許』の文字を有してなるから、これをその指定商品に使用するときは、恰もその商品が特許を取得している商品であるかのように商品の品質について誤認を生じさせる虞があると認める。従って、本願商標は商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
 本願商標は前記1の通り補正された結果、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずる虞はなくなった。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '15/10/13