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A. 「電動二輪車・電動自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動三輪車並びにその部品及び附属品」は、出願当初の指定商品の範ちゅうに属する商品であり、これを追加する補正は、出願当初の指定商品の要旨を変更するものではない、と判断された事例
(補正2015-500004号、平成27年9月16日審決、審決公報第193号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「GREEN CORE」の欧文字をゴシック体で表してなり、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動アシスト自転車並びにその部品及び附属品、三輪自動車並びにその部品及び附属品、三輪車並びにその部品及び附属品」他を指定商品として、平成26年10月28日に登録出願され、その後、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動アシスト自転車並びにその部品及び附属品、電動二輪車・電動自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動三輪車並びにその部品及び附属品、三輪自動車並びにその部品及び附属品、三輪車並びにその部品及び附属品」等に補正されたものである。
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2 補正却下決定の理由 |
原審において、「平成26年11月21日付けで提出された手続補正書により補正された、第12類『電動二輪車・電動自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動三輪車並びにその部品及び附属品』の指定商品は、願書に記載された指定商品には含まれていないものである。したがって、この補正は、本願について、その要旨を変更するものである。」旨認定し、商標法第16条の2第1項の規定に基づき、本件補正を、平成27年2月12日付けの決定をもって却下したものである。
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3 当審の判断 |
請求人(出願人)は、手続補正書において、その指定商品について「電動二輪車・電動自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動三輪車並びにその部品及び附属品」を追加する補正を行ったものである。
そこで検討するに、本件出願当初の指定商品中の「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動アシスト自転車並びにその部品及び附属品」及び「三輪車並びにその部品及び附属品」は、人や物資の移動を主な目的とする機械器具(道具)とその部品及び附属品である。 そして、本件補正書により追加された「電動二輪車・電動自転車並びにそれらの部品及び附属品」及び「電動三輪車並びにその部品及び附属品」は、いずれも、人や物資の移動を主な目的とする機械器具(道具)のうち電動機を動力としたものとその部品及び附属品といえる。 そうすると、本件補正書により追加された指定商品の「電動二輪車・電動自転車並びにそれらの部品及び附属品」は、本件出願当初の指定商品中の「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、電動アシスト自転車並びにその部品及び附属品」と、また、同じく「電動三輪車並びにその部品及び附属品」は、本件出願当初の指定商品中の「三輪車並びにその部品及び附属品」と異なる商品ということはできないものであり、本件出願当初の指定商品の範ちゅうに属する商品とみるのが相当である。 してみれば、本件補正書による補正は、本件出願当初の指定商品の要旨を変更するものではない。 したがって、本願について、平成26年11月21日付け手続補正書による補正が商標法第16条の2第1項の規定に該当するものとして、その補正を却下した原決定は、取消しを免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
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1 本願商標 |
本願商標は、別掲1の構成からなり、第30類「菓子、バン、穀物の加工品」を指定商品として、平成26年1月10日に登録出願されたものである。
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2 当審において通知した拒絶の理由 |
当審において、請求人に対し、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとして平成27年6月30日付けで通知した拒絶の理由は、「家紋は、食品に関わる業者によって、商品の包装、店舗の看板や暖簾、商品に関する広告等に一般に使用され、複数の者が同じ家紋を用いている事実が認められる。」、「菓子について、多様な家紋が菓子自体に表示されるほか、包装に表示されている事実が認められ、さらに、『丸に隅立て四つ目』の家紋が菓子及び餅自体に表示されている事実が認められる。」等を内容とするものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、家紋の一つである「丸に隅立て四つ目」の家紋を表してなるものであるところ、拒絶の理由で述べたとおり、家紋は、食品に関わる業者によって、商品の包装、店舗の看板や暖簾、商品に関する広告等に一般に使用され、複数の者が同じ家紋を用いている事実が認められ、また、菓子について、多様な家紋が菓子自体やその包装に表示されるほか、「丸に隅立て四つ目」の家紋についても菓子及び餅自体並びにその包装に表示されている事実が認められる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、家紋の一種を表示したものと認識し、理解させるにすぎないから、これに接する取引者、需要者は、これをもって商品の出所識別標識とは認識し得ず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |