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A. 本願商標「オーガニック」は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない、と判断された事例
(不服2016-13911号、平成29年2月14日審決、審決公報第207号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「オーガニック」の文字を標準文字で表してなり、第5類「紙製幼児用おしめ,使い捨て(紙製)乳幼児用おしめ(パンツ式のものを含む)」を指定商品として、平成28年2月25日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、『オーガニック』の文字を標準文字で表してなるが、当該文字は、『(『有機の』の意)有機農業による生産物であること。』の意味を有する外来語として知られている語であるところ、本願指定商品を取り扱う業界においては、例えば、有機農法により栽培された綿(オーガニックコットン)などのように、主に赤ちゃんの肌を考慮して、有機栽培による素材を用いた商品が多数取り扱われている実情がある。そうすると、本願商標は、これをその指定商品中『有機栽培による素材を用いた商品』に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、「オーガニック」の文字を標準文字で表してなり、該文字は、「(『有機の』の意)有機農業による生産物であること。」(「広辞苑」(第六版)株式会社岩波書店発行)の意味を有するものとして一般に知られているものである。
そして、当審において職権により調査したところ、本願商標の指定商品である「紙製幼児用おしめ,使い捨て(紙製)乳幼児用おしめ(パンツ式のものを含む)」については、有機農法により栽培された綿(オーガニックコットン)など、有機栽培による素材を使用した商品が一般的に製造販売されていると認めるに足る事実は発見できなかった。 また、「オーガニック」の文字が、本願商標の指定商品の品質等を表示するものとして取引上普通に使用されている事実も発見することができず、他に本願商標の指定商品の取引者、需要者が該文字を商品の品質等を表示するものと認識するというべき事情も見いだせなかった。 以上のことから、本願商標は、原審説示のような意味合いを暗示させる場合があるとしても、これが直ちにその指定商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものとして、取引者、需要者に理解されるものとはいい難いものである。 そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないというべきである。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
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1 本願商標 |
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第33類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年11月12日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同28年4月20日付け手続補正書により、第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」に補正されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由(要旨) |
原査定は、「本願商標は、『C6H12O6→2C2H5OH+2CO2』の文字を書してなるところ、その構成中の『C6H12O6』は、『グルコース(ぶどう糖)』の化学式を表し、『2C2H5OH』は、『エチルアルコール』の化学式を表し、『2CO2』は、『二酸化炭素』の化学式を表すから、全体として、『ブドウ糖からエタノール(エチルアルコール)と二酸化炭素(炭酸ガス)を生成する反応(アルコール発酵)』を表したものといえる。そして、本願の指定商品は、いずれもアルコール飲料(酒)であり、その醸造には、一般にアルコール発酵が応用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標から『アルコール発酵の応用されたもの』ほどの意味合いを認識、理解するにとどまり、また、本願商標には格別自他商品の識別標識として把握し得る部分があるとも認め難いから、これをもって自他商品の識別標識とは認識し得ない。したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、別掲のとおり「C6H12O6→2C2H5OH+2CO2」の文字を書してなるところ、該文字が特定の化学反応式を表すものであるとしても、これに接する需要者が直ちに原審が説示する意味合いを認識、理解するとまではいい難い。
また、当審において職権で調査したが、化学反応式がその指定商品について自他商品の識別標識として機能しないといえるほど、一般に使用されている事実は発見できなかった。 以上からすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |