最近の注目審決・判決を紹介します。
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1 本願商標 |
本願商標は、別掲のとおりであり、第44類「整骨,鍼灸,柔道整復,整体,エステティック美容」を指定役務として、平成27年10月5日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由の要点 |
本願商標は、上段に「Speed」の文字、中段に「小顔」の文字及び下段にそれら文字よりもやや小さく「スピードコガオ」の文字を、普通に用いられる方法で三段に書してなるところ、「Speed」及び「スピード」の文字は、「はやさ。はやいこと。」を意味し、「小顔」及び「コガオ」の文字は、「顔が小さいこと。」を意味すること等からすると、本願商標全体からは、「はやく小顔にする」程の意味合いが容易に認識されるというのが相当であり、本願商標をその指定役務中、はやく小顔にするための「整骨,鍼灸,柔道整復,整体,エステティック美容」に使用しても、本願商標は、単に役務の質、効能を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
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3 当審の判断 |
本願商標は、別掲のとおり、「Speed」、「小顔」及び「スピードコガオ」の各文字を三段に併記してなるところ、上段と中段に「Speed」及び「小顔」の文字を太字で大きく表し、下段に「スピードコガオ」の文字を中段の「小顔」の文字とほぼ同じ幅に収まるように小さく表した構成からなり、全体としてまとまりよく一体的に表されているものである。
そして、本願商標の構成中の各語の意味合いから、本願商標全体として「はやく小顔にする」程の意味合いを想起する場合もあるとしても、これが、本願商標の指定役務との関係において、特定の役務の質、効能を、直接的かつ具体的に表したものとはいい難いというのが相当である。 また、職権により調査するも、本願商標の指定役務を扱う分野において、「Speed(スピード)」及び「小顔(コガオ)」の組み合わせからなる文字が、役務の質等を表すものとして、取引上、一般に使用されている事実は見当たらない。 してみれば、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、役務の質等を普通に用いられる方法で表示するものとはいえず、また、役務の質について誤認を生じさせるおそれもないといわざるを得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
B. 本願商標「からだの中からキレイ習慣」は、商標法第3条第1項第6号には該当しない、と判断された事例
(不服2016-16661号、平成29年3月9日審決、審決公報第207号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「からだの中からキレイ習慣」の文字を標準文字で表してなり、第5類「サプリメント」等を指定商品として、平成27年8月11日に登録出願されたものである。
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2 原査定における拒絶の理由(要点) |
原査定において、「本願商標は、『からだの中からキレイ習慣』の文字を標準文字で表してなるところ、『体の中から』の文字は『体の内側から』程の意味合いを理解させ、『キレイ習慣』の文字は、『きれいに関する習慣』程の意味合いを理解させるものである。そうすると、『からだの中からキレイ習慣』の文字からは、『体の内側からのきれいに関する習慣』程の意味合いを理解させるから、需要者、取引者をして、販売促進のための宣伝語句(キャッチフレーズ)を表示したものと理解されるものである。また、『体の中から』『キレイ』『習慣』の文字は、本願指定商品との関係において使用例があり、その使用例からすると、販売促進の宣伝文句・キャッチフレーズとして理解されるものである。これらのことから、本願商標は、それを本願指定商品に使用しても、上記意味合いを認識させ、商品の販売促進の宣伝文句・キャッチフレーズと認められ、需要者、取引者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
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3 当審の判断 |
本願商標は、「頭から足までをまとめていう語。身体。」の意味合いを有する「体」の読みを平仮名で表した「からだ」の文字と、「内部」の意味を有する「中」の文字と、「美しいこと。清潔。」の意味を有する「綺麗」の読みを片仮名で表した「キレイ」の文字と、「日常の決まりきった行い」の意味を有する「習慣」の文字(いずれも株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)を、助詞の「の」と「から」で接続したものであり、いずれの語も一般に知られているものであるから、全体として、「体の内部から美しくなる習慣」程の意味合いを理解させるものである。
そして、当審において職権をもって調査したところ、本願の指定商品中の「サプリメント」の分野においては、美容やデトックスを目的とする商品が製造販売され、その広告の商品説明に、「からだの中からキレイ」の文字やこれに類する文字が使用されている事実は認められたものの、「サプリメント」を含む本願の指定商品の分野において、「からだの中からキレイ習慣」の文字やこれに類する「カラダの中からキレイ習慣、体の中からキレイ習慣」等の文字が、商品の説明や、原審説示のように商品の宣伝文句、キャッチフレーズとして一般的に使用されている事実は発見できなかった。 以上のことから、本願商標は、その構成全体から、上記の意味合いを理解させるとしても、どのような商品であるかなど具体的に表すものではなく、本願の指定商品の説明や、宣伝文句、キャッチフレーズとして、取引者、需要者に理解させるとまではいえないものである。 そうすると、本願商標は、その指定商品に使用しても、商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものであって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ということはできない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査 定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |