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A. 本願商標「贅沢野菜」は、商標法第3条第1項第6号に該当しない、と判断された事例
(不服2018-11691、令和1年6月18日審決、審決公報第236号)
 
1 本願商標
 本願商標は、「贅沢野菜」の文字を標準文字で表してなり、第29類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年4月20日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同30年2月16日付けの手続補正書により、第29類「加工野菜」及び第32類「野菜・果汁入り清涼飲料,野菜入り清涼飲料,野菜入り果実飲料,飲料用野菜ジュース」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

 原査定は、「本願商標は、『贅沢野菜』の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標全体として、本願の指定商品との関係において、『贅沢に野菜を(原材料として)使用する』といった意味合いが容易に理解される。そして、このような意味合いと本願の指定商品とは、原材料として野菜が使用されることを踏まえれば、密接な関連性があるというべきである。また、本願の指定商品に関連する分野において、商品の特性や優位性、品質や特徴を表すために、『贅沢に野菜・・を使用』といった表現が使用されている実情がある。加えて、本願商標は、単に標準文字で表されているにすぎない。以上を総合勘案すると、本願商標は、その指定商品の特性や優位性、品質や特徴を簡潔に表したといえるものであるから、需要者は、商品の宣伝広告を表示したものの一類型として認識し、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。


3 当審の判断

 本願商標は、「贅沢野菜」の文字からなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさをもって、等間隔に表されており、全体として、まとまりのよい一体のものとして把握し得るものである。
 そして、本願商標の構成中の「贅沢」の文字は、「必要以上に金をかけること。ものごとが必要な限度を越えていること。」などの意味を、「野菜」の文字は、「生食または調理して、主に副食用とする草本作物の総称。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)として知られているとしても、これらの語を組み合わせた「贅沢野菜」の文字は、本願の指定商品との関係において、直接的かつ具体的な意味合いを理解させるものとはいい難く、一種の造語として理解されるというのが相当である。
 そして、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「贅沢野菜」の文字が、商品の宣伝広告等として、取引上普通に使用されている事実を発見できず、さらに、本願の指定商品の取引者、需要者が、当該文字を自他商品の識別標識とは認識しないというべき事情も発見できなかった。
 そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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A. 本願商標(別掲)は、商標法第3条第1項第5号に該当しない、と判断された事例
(不服2019-1785、令和1年6月25日審決、審決公報第236号)
本願商標


 
1 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第36類「生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理」、第41類「パーティの企画・運営又は開催」、第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催,宴会用施設の提供」を指定役務として、平成29年9月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
 本願商標は、「BP」の文字を横書きしてなるところ、欧文字2字からなるもので、未だ特殊な態様とまではいえないことから、これのみでは自他役務の識別標識としての機能を果たさない文字であり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章に該当する。
 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。


3 当審の判断
 本願商標は、別掲のとおり、「B」及び「P」の欧文字を並列して表し、その構成中の各欧文字の左側縦線部は、上下の先端には左右に小さく突起部分を有し、その右側部分とはわずかに間隔を空けて配置されているところ、その構成から「BP」の欧文字を横並びに表してなると認識されるとともに、当該欧文字の左側縦線部は、セリフ体の欧文字「I」を表したことを連想、想起させるような構成上の特徴を備えることから、構成全体としては欧文字2字を一種の図案化した書体で表してなる商標と認識、理解させるものである。
 そうすると、本願商標は、役務の記号、符号を取引上普通に使用されているような書体又は態様で表したものでもなく、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標ということはできない。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、取消を免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '20/05/14