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A. 本願商標(別掲)は、商標法第3条第1項第5号に該当しない、と判断された事例
(不服2017-6365、令和1年7月22日審決、審決公報第237号)
本願商標


 
1 本願商標

 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第37類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年10月21日に登録出願され、その後、本願の指定役務については、原審における同28年4月6日付け及び当審における同29年5月1日付け手続補正書により、第37類「造園工事,造園工事に関する助言,外構工事,建物の外構工事に関する情報の提供」に補正されたものである。


2 原査定の拒絶の理由の要点

 原査定は、「本願商標は、ローマ字の2字からなる「en」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるといえ、欧文字「e」の中央部横線が右上に傾斜した文字と欧文字「n」の右側の縦線が下方に向って右側に傾斜した文字とがロゴタイプ文字として広く用いられている実情をうかがい知ることができることからすれば、本願商標は、「en」の文字を未だ普通に用いられる域を脱しない程度に表示してなるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、提出された証拠によっては、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至ったとは認めることができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。


3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
 本願商標は、別掲のとおり、横線がやや細く、上部の丸みのある部分に向かって右上がりに傾斜した「e」の文字と、左側の縦線の上部、 同線の下部及び右側の縦線の下部にセリフ体を有し(左側の縦線の上部のセリフ体は角の丸い三角形である。)、右側の縦線は、上部から下部に向けてやや広がって表されている「n」の文字とを左右に並べて、その高さ及び幅もほぼ同じくし、まとまりよく一体的に表されているものであり、本願商標の構成態様は、ありふれているとまではいい難いものであって、本願商標をその指定役務に使用した場合、上記態様からなる「e」と「n」の2文字を組み合わせた、その全体が外観上の特徴を有するものとして捉えられるものであり、役務の種別、規格等に普通に使用されているアルファベットの2文字からなるものと理解されるとはいえないものである。
 さらに、当審において職権をもって調査するも、本願の指定役務を取り扱う分野において、上記と同様の構成態様の2文字が、取引上、役務の種別、規格、質等を表示するための記号、符号として、普通に使用されているという事実を、発見することもできなかった。 してみれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものとはいえないものであり、自他役務の識別機能を果たし得るものといわざるを得ない。

(2)まとめ
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当でなく、その理由をもって拒絶することはできない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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B. 本願商標「Bijou Bouquet\ビジュ ブーケ」は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当しない、と判断された事例
(不服2018-16821、令和1年7月22日審決、審決公報第237号)
 
1 本願商標

 本願商標は、「Bijou Bouquet」の欧文字と「ビジュ ブーケ」の片仮名を2段に横書きしてなり、第14類「身飾品,貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,貴金属製靴飾り,時計」を指定商品として、平成30年2月13日に登録出願されたものである。


2 原査定の拒絶の理由

 本願商標は、その構成中の「Bijou」は、「宝石,装身具」等を意味するフランス語で、「ビジュ」は、「Bijou」の表音と認められ、また、「Bouquet」は、「花束」等を意味するフランス語で、「ブーケ」は、「Bouquet」の表音と認められるから、これらの文字を結合してなる本願商標は、構成全体として、「宝石の花束」のような意味合いを理解させる。
 そして、「身飾品」等を取り扱う業界においては、英語のみならず、フランス語も一般的に使用される言語であることがうかがえる中、「宝石の花束のような装飾を施したブローチやチャーム」等が実際に取引されており、そのような商品を「ビジューブーケ」や「bijou bouquet」と称している事実が確認することができる。
 そうすると、本願商標をその指定商品中の「身飾品」に使用した場合、これに接する需要者・取引者は、「宝石の花束のような装飾を施した身飾品」であることを認識するにとどまり、単に商品の品質を表示するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないと判断するのが相当である。
 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「宝石の花束のような装飾を施した身飾品」以外の本願の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。


3 当審の判断

(1)商標の類否について
 本願商標は、「Bijou Bouquet」の欧文字と「ビジュ ブーケ」の片仮名を2段に横書きしてなるところ、その構成中の「Bijou」の文字が「宝石、装身具、アクセサリー」の意味を、「Bouquet」の文字が「花束、束、房」の意味をそれぞれ有するフランス語(いずれも「クラウン仏和辞典第7版」)であって、「ビジュ ブーケ」の片仮名が「Bijou Bouquet」の表音であると容易に理解できるとしても、2つの語を組み合わせた「Bijou Bouquet」及びその表音の「ビジュ ブーケ」の文字からは、直ちに特定の意味合いを認識、看取させるものとはいえない。
 また、当審において職権をもって調査したが、本願の指定商品を取り扱う業界において、「Bijou Bouquet」及び「ビジュ ブーケ」の文字が、商品の具体的な品質等を表示するものとして、取引上一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本願の指定商品の取引者、需要者が該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
 そうすると、「Bijou Bouquet」及び「ビジュ ブーケ」の文字は、いずれも特定の意味合いを有さない一連の造語よりなるというのが相当であって、両文字を2段に書してなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがないものというべきである。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '20/05/14