最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 本願商標「ひやシート」は、商標法第3条第1項第6号に該当しない、と判断された事例
(不服2019-7152、令和2年2月13日審決、審決公報第243号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「ひやシート」の文字を標準文字で表してなり、第3類「せっけん類,香料,薫料,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛,口臭用消臭剤,動物用防臭剤」を指定商品として,平成29年11月13日に登録出願されたものである。 |
2 原査定の拒絶の理由の要旨 |
原査定は、本願商標は「ひやシート」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ひや」の文字は「冷やす」の文字を平仮名にて表記した「ひやす」の文字の一部として容易に認識され,本願の指定商品を取り扱う業界においては「ひやす」や「ひやし」等の文字を用いて「肌の温度を下げる」や「冷感を与える」等の商品の品質・効能を表示し取引が行われている実情が認められることから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は「肌の温度を下げるシート状の商品」や「冷感を与えるシート状の商品」程度の意味合いを認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当であって商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3 当審の判断 |
本願商標は、上記1のとおり、「ひやシート」の文字を標準文字で表してなるところ、これより原審において説示したような意味合いを想起させる場合があるとしても、当審における職権による調査によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「ひやシート」の文字が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないといえるほどに取引上一般に使用されている事実を発見することができず、さらに、本願の指定商品の取引者、需要者が当該文字を自他商品の識別標識と認識しないというべき事情も発見できなかった。
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B. 本願商標「ベンガル」は、商標法第3条第1項第3号に該当しない、と判断された事例
(不服2019-8721、令和2年1月31日審決、審決公報第243号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「ベンガル」の文字を標準文字で表してなり、第31類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年3月5日に登録出願されたものである。 その後、本願の指定商品については、原審における同31年2月7日付けの手続補正書により、第3類「ガーベラの苗」と補正された(※第31「ガーベラの苗」の誤記と考えられる。)。 |
2 原査定における拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、『ベンガル』の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、インド大半島北東部の地域名を表すものであって、我が国において一般的に知られた地名である。そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用したときは、その商品がベンガルで生産された商品であることを認識させるにとどまるものであるから、単に商品の品質、産地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3 当審の判断 |
本願商標は、前記1のとおり、「ベンガル」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字が、インド大半島北東部の地域名を表したものであるとしても、当該文字から、本願の指定商品が生産又は販売されているであろうと一般に認識するとまではいい難い。
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