最近の注目審決・判決を紹介します。

A. 本願商標(別掲)は、商標法第4条第1項第11号に該当しない、と判断された事例
(不服2019-16123、令和2年5月25日審決、審決公報第247号)
本願商標

(色彩は原本参照)
 
1 本願商標

 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類「マヌカはちみつ」を指定商品として、平成30年7月26日に登録出願されたものである。


2 引用商標

 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5380195号商標(以下「引用商標」という。)は、「MGO」の文字を標準文字で表してなり、平成22年2月16日に登録出願、第30類「はちみつ」を指定商品として、同23年1月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。


3 原査定の拒絶の理由の要旨

 原査定は、本願商標の構成中「MGO」の文字部分を分離抽出し、これと引用商標とが類似する商標であるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。


3 当審の判断

 本願商標は、別掲のとおり、全体として青緑色の四角形を背景(以下「背景図形」という。)に、該図形の上部3分の1に黒の長方形を配し、その内部に白抜きで上段に「CERTFIED」の欧文字を、下段に小さく「METHYLGLYOXAL」の欧文字を二段に配し、さらに背景図形の下部3分の2に、白抜きでやや大きく「MGO」及び「100+」の文字を上下2段に配した構成よりなるものである。
 そして、上部3分の1に表されている「CERTFIED」及び「METHYLGLYOXAL」の文字部分と、下部3分の2に表されている「MGO」及び「100+」の文字部分は、各々の背景となっている色彩が明らかに異なることに加え、下部3分の2に表されている「MGO」及び「100+」の文字部分が上部の文字部分に比較して大きく表示されていることから、両者は視覚上分離して看取されるものである。
 ところで、本願商標の指定商品「マヌカはちみつ」を取り扱う業界においては、「MGO○○+」又は「○○+MGO」(いずれも○○は数字)のように、「MGO」の文字と数字等を組合せた表示が、マヌカはちみつに含まれる成分量を示すものとして、すなわち、「マヌカはちみつ」の品質を表示するものとして、広く一般において取引に使用されている実情がある。
 そうすると、本願商標を構成する「MGO」及び「100+」の部分は、「MGO100+」の表示全体でもって、指定商品の品質を表示する部分であるといえるから、本願商標に接する取引者、需要者は、「MGO100+」の部分を一体不可分のものとして看取、把握するというべきであり、これより、殊更「MGO」の文字部分を分離、抽出し、取引に資することはないと判断するのが相当である。
 したがって、本願商標から「MGO」の文字部分を分離、抽出し、これを前提に本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消を免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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B. 本願商標「PPC」は、商標法第4条第1項第6号に該当しない、と判断された事例
(不服2020-2213、令和2年6月8日審決、審決公報第247号)
 
1 本願商標

 本願商標は、「PPC」の文字を標準文字で表してなり、第7類「荷役機械器具及びその部品・附属品,粉粒体の空気式搬送装置並びにその部品及び附属品,空気コンベヤー,化学機械器具並びにその部品及び附属品,収じん機(化学機械器具),ろ過機(化学機械器具),分離機(化学機械器具),ろ過機用カートリッジ,掃除機,電気掃除機用の防塵フィルター及びバッグ,カーペット洗浄機,電気式床洗浄機,電気式床磨き機,電気式ワックス磨き機,電気式床面洗浄機用ブラシ,電気式床磨き機用フロアーパッド,電気式床磨き機用研磨パッド,電気式床洗浄機の部品及び附属品,電気式床磨き機の部品及び附属品,再充電可能な電気式床洗浄機,再充電可能な電気式床磨き機,電気式コードレス掃除機,清掃用ロボット,建造物の壁面用洗浄機,建造物の階段用洗浄機,電気ポリッシャー,電気式サンダー,機械式駐車装置並びにその部品及び附属品,機械式自転車駐車装置,機械式自動二輪車駐車装置,車輪止め式駐車装置,自動販売機並びにその部品及び付属品,電気式門扉開閉装置」を指定商品として、平成30年8月9日に登録出願されたものである。


2 原査定の拒絶の理由(要点)

 原査定は、「本願商標は、内閣府の外局としておかれ、個人情報の保護に関する法律に規定する事務を所掌する機関『個人情報保護委員会』の略称として著名な標章『PPC』と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第6号に該当するものである。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。


3 当審の判断

 本願商標は、上記1のとおり、「PPC」の文字を標準文字で表してなるところ、たとえ、当該文字が、原審説示のとおり、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき設置された合議制の機関「個人情報保護委員会」の英語表記「Personal Information Protection Commission」の略称である「PPC」とそのつづり字を同一にするものであるとしても、当該文字が、上記委員会を表示するもの、あるいは同委員会の略称として、本願商標の出願時及び査定時において、我が国において著名なものとなっているものと認められる事実を見いだすことはできなかった。
 そうすると、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、直ちに、「個人情報保護委員会」の著名な略称を表示したものとは認識し得ないとみるのが相当であり、加えて、本願を出願人が使用採択することが、上記委員会の権威を損なうことになるともいい難いというべきである。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '21/07/15