最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 本願商標「デジタル人材」は、商標法第3条第1項第6号に該当しない、と判断された事例
(不服2020-14066、令和3年7月20日審決、審決公報第261号)
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1 本願商標 |
本願商標は、「デジタル人材」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する別掲(※記載省略、第9類「コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」等、第42類「電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング」他)のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年5月8日に登録出願されたものである。 |
2 原査定の拒絶の理由の要旨 |
原査定は、「本願商標は、『デジタル人材』の文字を標準文字により表してなるところ、当該文字は、『IT(情報技術)・IoT(モノのインターネット)・AI(人工知能)等に精通する人材』程の意味を有する語として、一般に使用されている。そして、本願の指定商品及び指定役務が、いずれもIT(情報技術)・IoT(モノのインターネット)・AI(人工知能)と密接に関連するものであることを考慮すると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者は、自他商品及び自他役務の識別標識としてではなく、『IT(情報技術)・IoT(モノのインターネット)・AI(人工知能)等に精通する人材』と認識するにとどまる。そうすると、本願商標は、これが直ちに商標であるとは理解され得ず、結局、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3 当審の判断 |
本願商標は、上記1のとおり、「デジタル人材」の文字を標準文字で表してなるところ、これよりは原審説示の意味合いを認識させることがあるとしても、このことのみをもって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものとはいい難い。
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B. 本願商標「いなくてもできる!引越」は、商標法第3条第1項第3号に該当しない、と判断された事例
(不服2021-2720、令和3年8月12日審決、審決公報第261号)
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1 手続の経緯 |
本願は、令和2年8月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
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2 本願商標 |
本願商標は、「いなくてもできる!引越」の文字を標準文字で表してなり、第39類「引越の代行,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,荷物の一時預かり,倉庫における保管」を指定役務として、登録出願されたものである。 |
3 原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、『いなくてもできる!引越』の文字を標準文字で表してなる。そして、引越に関する役務の提供において、一般に立会いが必要であるところ、立ち会わないで済まないかの問い合わせが多いことが確認できるから、立会いなしで済む引越に関する役務への一定の需要があることがうかがえる。また、立会不要の引越に関する役務が提供されている実情も確認できる。そうすると、本願商標に触れた需要者は、『いなくても』の主語が『引越をする人』であると認識するのが自然であり、本願商標から『立会いなしの引越』ほどの意味を直接的に理解するというのが相当であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は『立会いなしの引越』であることを認識するにとどまり、本願商標は、役務の内容、質を普通に用いられる方法で表示したものというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
4 当審の判断 |
本願商標は、上記2のとおり、「いなくてもできる!引越」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字からは、原審において説示した「立会いなしの引越」といった意味合いを想起させるものといえる。
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