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A. 本願商標「大人のプロテイン」は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条1項第16号に該当しない、と判断された事例
(不服2021-6765、令和4年3月8日審決)
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1 手続の経緯 |
本願は、令和元年6月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
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2 本願商標 |
本願商標は、「大人のプロテイン」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願され、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、第5類「プロテインを含むサプリメント,プロテインを含む粒状・錠剤状・カプセル状・顆粒状・ペースト状・液体状のサプリメント」他に補正されたものである(※指定商品の詳細については記載省略)。 |
3 原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、『大人のプロテイン』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『大人』の文字は『十分に成長した人』等の意味を、また、『プロテイン』の文字は「蛋白質」の意味を有する語として、それぞれ一般に使用されているものであるから、本願商標は構成全体から、『十分に成長した人用の蛋白質』程の意味合いを想起させるものである。そして、本願の指定商品を取り扱う分野において、蛋白質を含有する大人用の商品が取引されている実情が認められ、さらに、そのような商品を『大人のプロテイン』と称して製造・販売している実情も認められる。そうすると、本願商標をその指定商品のうち、例えば、『プロテインを含む大人用のサプリメント』に使用しても、これに接する取引者、需要者に、単に商品の品質、原材料及び用途を認識させるにすぎないから、本願商標は商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
4 当審の判断 |
本願商標は、「大人のプロテイン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「大人」の文字は「十分に成長した人。一人前になった人。成人。」、「考え方・態度が老成しているさま。分別のあるさま。」等の意味を、「プロテイン」の文字は「蛋白質」の意味を有する語(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)である。
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1 手続の経緯 |
本願は、平成31年4月16日の出願であって、令和2年3月26日付けの拒絶理由の通知に対し、同年6月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同3年3月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 |
2 本願商標 |
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、上記1の手続の補正により、最終的に、第30類「パン」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」と補正されたものである。 |
3 原査定の拒絶の理由の要旨 |
本願商標は、「たち川」の文字を、毛筆体で横書きにしてなるところ、その構成態様は特殊な態様で表されたものということはできず、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表されたものと判断される。
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4 当審の判断 |
本願商標は、別掲のとおり、「たち川」の文字を毛筆体で表してなるものであるから、普通に用いられる方法で表された標章といえるものである。
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