最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 本願商標「ゾンビハムスターねずこ」は、商標法第4条第1項第11号に該当しない、と判断された事例
(不服2022-5384、令和5年1月12日審決)
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1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、「ゾンビハムスターねずこ」の文字を標準文字で表してなり、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、令和3年4月13日に登録出願されたものである。
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2 引用商標 |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6397481号商標(以下「引用商標」という。)は、「禰豆子」の文字を標準文字で表してなり、令和2年6月22日に登録出願、別掲のとおりの第9類、第14類、第16類、第18類、第25類及び第28類に属する商品を指定商品として、同3年6月3日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 |
3 原査定の拒絶の理由の要旨 |
原査定は、「本願商標と引用商標とは、いずれも、「ネズコ」の称呼及び「鬼滅の刃のキャラクターである禰豆子(ねずこ)」の観念を生じるものであり、称呼及び観念を共通にするから、外観上の差異を考慮しても、互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
4 当審の判断 |
本願商標は、上記1のとおり、「ゾンビハムスターねずこ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成各文字は、「ゾンビハムスター」が片仮名、「ねずこ」が平仮名で表されているとしても、同書、同大で間隔を空けずに、外観上、まとまりよく一体的に表されているものであり、いずれかの文字部分が強い印象を与えるものではない。
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B. 本願商標「LE MONT CARMEL」は、商標法第4条第1項第7号に該当しない、と判断された事例
(不服2022-8340、令和5年1月10日審決)
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1 本願商標 |
本願商標は、「LE MONT CARMEL」の文字を標準文字で表してなり、第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、令和3年3月3日に登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由(要旨) |
原査定は、「本願商標は、「LE MONT CARMEL」の欧文字を普通に用いられる方法(標準文字)で表してなるところ、当該文字は、イスラエル国にある山「カルメル山」のフランス語表記であり、カルメル山は、2012年に登録された世界遺産である「人類の進化を示すカルメル山の遺跡群:ナハル・メアロット(ワディ・エル=ムガーラ)の洞窟群」がある場所であるから、世界遺産として登録された遺跡を認識させる本願商標について、一私人である出願人に登録を認め、その指定商品について使用をする権利を専有させることは、これを人類全体のための世界の遺産として保護・保存する活動を行ってきたユネスコやイスラエル国の権威・尊厳を害し、かつ、イスラエル国を含む世界遺産条約の締約国の国民の感情を害するおそれがあり、我が国とイスラエル国及び世界遺産条約の締約国の友好関係にも影響を及ぼしかねず、国際信義にもとるおそれもあるから、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3 当審の判断 |
本願商標は、「LE MONT CARMEL」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「LE」の欧文字は、固有名詞の前につけるフランス語の定冠詞であって、「MONT」の欧文字は、「(固有名詞を伴って)・・・山」の意味を、「CARMEL」の欧文字は、「パレスチナの山Carmel。カルメル会修道院。」などの意味を有するフランス語(「ロワイヤル仏和中辞典 第2版」 旺文社発行)であるが、各文字を結合して、我が国で親しまれた成語や外来語になるものではない。
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