最近の注目審決・判決を紹介します。
A. 本願商標「天ぷらとワイン小島」は、商標法第3条第1項第6号に該当しない、と判断された事例
(不服2022-7912、令和5年2月27日審決)
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1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、「天ぷらとワイン小島」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、令和3年5月20日に登録出願されたものである。
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2 原査定における拒絶の理由(要点) |
原査定は、「本願商標は、「天ぷらとワイン小島」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「天ぷら」の文字は「魚介類や野菜などに小麦粉を水でといたころもを着けて油で揚げた料理。」の意味を、「ワイン」の文字は「葡萄ぶどうの果汁を発酵させて作った酒。」の意味を、「小島」の文字は「姓氏の一つ。」の意味を有する語であるから、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、当該役務が「小島という姓氏の者による天ぷら及びワインの提供」であることを想起し、出願人の業務に係る役務であることを理解するというよりも、単に役務の質を簡潔に表した語句として認識するにとどまる。したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3 当審の判断 |
本願商標は、上記1のとおり「天ぷらとワイン小島」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ、同じ書体、間隔なく横一列にまとまりよく一体的に表されており、これより生じる称呼「テンプラトワインコジマ」も格段冗長ではなく、無理なく一連に称呼し得るものであるから、構成文字全体として一連一体の語を表してなると認識、看取されるものである。
そして、本願商標の構成中の「天ぷら」の文字が「魚介類や野菜などに小麦粉を水でといたころもを着けて油で揚げた料理。」の意味を表すものであり、また、「ワイン」の文字が「葡萄の果汁を発酵させて作った酒。」の意味を、「小島」の文字が「姓氏の一つ。」又は「小さい島」の意味を有する語(いずれも「広辞苑 第7版」岩波書店)であるとしても、これらを結合した構成文字全体として特定の意味を有する慣用句となるものではなく、各文字の語義を結合して連想、想起される意味合いも漠然とした抽象的なものであるから、本願商標は、構成文字全体として特定の店舗名を表したものと認識されるとみるのが自然である。
また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定役務を取り扱う業界において、「天ぷらとワイン小島」の文字またそれに類する文字が、取引上一般に採択、使用されている事実を発見できず、さらに、本願の指定役務の取引者、需要者が当該文字を自他役務の識別標識とは認識しないというべき事情も発見できなかった。 そうすると、本願商標は、これをその指定役務について使用した場合、その構成文字全体に相当する店舗名として自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
B. 本願商標「グラッセ」は、商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号に該当しない、と判断された事例
(不服2022-10020、令和5年2月28日審決)
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1 手続の経緯 |
本願は、令和3年8月4日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年1月24日付け:拒絶理由通知書
令和4年3月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年3月25日付け:拒絶査定 令和4年6月29日 :審判請求書、手続補正書の提出 |
2 本願商標 |
本願商標は、「グラッセ」の文字を標準文字で表してなり、第31類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
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3 原査定の拒絶の理由(要旨) |
本願商標は、「グラッセ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、これは過去に「ヒロデンドロン」について種苗法(平成10年法律第83号)の規定による品種登録を受けていた品種(登録番号:第3479号)の名称と同一である。
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4 当審の判断 |
本願商標は、「グラッセ」の文字を標準文字で表してなるものであり、これは「野菜をバターや砂糖を加えた水で煮たり、菓子の表面に糖衣をかけたりして、つやのある仕上がりにしたもの。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語として、我が国においても知られているものである。
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