改正特許法等の解説・2011

〜特許制度をめぐる審議状況、「新規事項追加」の
    補正に関する改訂審査基準、商標保護の動向〜

  はじめに
 我が国の産業財産権制度は特許法の前身である「専売特許条例」が公布された明治18年から昨年で125年を数えた。これを記念し、昨年10月18日には産業財産権制度の更なる普及・啓発を目的として天皇皇后両陛下ご臨席の下、「産業財産権制度125周年記念式典」が経済産業省特許庁の主催で盛大に開催された。
 経済のグローバル化が進展し、物も情報も瞬く間に世界中に広がる今日の社会において、人的資源を競争力の大きな源としている我が国が、人間の知的な創作活動によって生み出される、財産的価値を有する知的な情報たる発明などの知的財産をどのように保護し、活用していくかは、これまでの125年間にも増して重要なものになっている。
 このように重要な知的財産政策について、特許庁は、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会や商標制度小委員会などにおいて検討すると共に、検討内容を逐次公表し、21世紀における知的財産政策を取りまとめようとしている。
 特許制度小委員会では、イノベーションを通じた我が国の成長・競争力強化に資することを目的にして、適切な活用・保護を通じた特許の円滑な利用促進、中小企業・大学等の幅広いユーザーの利便性向上によるイノベーション創出の裾野拡大、国際的な制度調和による経済活動に対する世界各国間での障壁の除去などの視点で検討が進められている。
 そこで、特許制度小委員会の審議状況を特許庁から公表されている資料に基づいて紹介することとした。
 なお、昨年、特許出願の明細書等の補正(新規事項追加)に開する審査基準が改訂された。この改訂は従来の審査基準や審査実務に変更をもたらすものではないが、特許出願後に行う明細書等の補正が新規事項に該当するか否かは拒絶理由、無効理由に関係するものであるので、改訂審査基準の概要をあわせて紹介することとした。
 また、特許制度小委員会と並行して審議が進められている商標制度小委員会の審議状況などを最近の商標を巡る動向として簡単に紹介し、更に、近年の特許電子図書館の充実に伴い、従来より容易に調査を行なえるようになっていることから商標調査のポイントを簡潔に紹介することとした。

以上

平成23年1月1日

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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '11/05/18