改正特許法等の解説・2006〜知的財産高等裁判所の創設と知的財産訴訟、
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はじめに | |
近来世界各国において「知的財産の戦略的な保護活用」が国家目標としてかかげられ、関連法の改正が急速に進んでいる。我が国においても、特許法・実用新案法・意匠法・商標法・著作権法及び不正競争防止法が相次いで改正された。然し乍ら取引の実体が常に先行し、ややもすると法整備との乖離を生じるおそれがあるので、その手当てをすると共に、更なる新分野への拡張もある。 そこで本年度は不正競争防止法を改正施行し、来年度は商標法を改正施行するので、その概要を説明すると共に、実際の特許無効審判の審決取消事件等を題材にして、知的財産高等裁判所の手続を概説し、実務上の一助に資することを希うものである。 平成17年4月にスタートした知的財産高等裁判所は、知的関連訴訟の合理化と、特許庁審判との連繋を密にして、処理の迅速化と、適正化を図り、着々と成果を揚げているので、その実体を概説し、取扱いの一助に資することを希求せんとするものである。 また、来年度の改正商標法の施行は、従来登録できなかった地域の名称及び商品又は役務の名称等からなる商標が、事業協同組合や農業協同組合等によって、地域との密接な関連性を有する商品に使用されたことにより、一定程度の周知性を獲得した場合には、地域団体商標として登録を認めること、既使用者の保護及び地域団体商標が登録された後に、周知性や地域との関連性が失われた場合に無効審判の対象とすると共に、商品の品質の誤認を生じさせるような不適切な方法で登録商標を使用した場合に取消審判の対象とするなどの措置が含まれている。 また、不正競争防止法の改正においては、営業秘密の国外使用・開示処罰の導入、法人処罰の導入及び罰則の見直しなどの営業秘密の保護強化を図っている。また著名表示の冒用行為への刑事罰、商品形態の模倣行為への刑事罰及び水際措置の導入などによる模倣品・海賊版対策が強化された。 知財立国という国家戦略を完うする為には、取引の実体と、法整備とが緊密に一致し、関係法が適切に活用されることが肝要であるから、改正法について簡単な解説を試みたものである。 以上
平成18年1月1日 |
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