改正特許法等の解説・2010

〜特許制度をめぐる検討状況、                 
東京地裁知的財産専門部・知財高裁の動向、
                 新しいタイプの商標保護〜

  はじめに
 我が国の特許制度は明治18年に公布された「専売特許条例」から既に125年に及ぶものであり、現行特許法が制定された昭和34年からでも半世紀が経過している。
 この間、我が国は産業の発達を目指しこれを達成すべく幾多の法改正を積み重ねてきたのであるが、現行特許法の制定・公布50年の節目である昨年、「今後の特許制度の在り方について、原点に立ち返って包括的な検討を行なう」ことを目的として、特許制度研究会が特許庁長官の私的研究会として設置された。特許制度研究会は、(1) イノベーションを加速するわかりやすい特許制度、(2) 裁判でもしっかり守られる強い特許権、(3) 国際協調により世界で早期に特許が成立する仕組み、を検討の方向性の柱として掲げ、特許制度の在るべき理想像について多角的・包括的に検討を行なうこととしている。
 特許制度研究会での検討結果は、今後の特許制度の在り方に大きな影響を与えるものと思われる。そこで、特許庁から公表されている検討結果の概要を紹介する。
 公表されている検討結果に「迅速・効率的な紛争解決について」が含まれており、この中で、特許法第104条の3の規定(特許権者等の権利行使の制限)により、紛争処理における特許の有効性判断が、特許庁における特許無効審判ルートと、侵害訴訟の場で特許法第104条の3の規定を用いる侵害訴訟ルートという二つの場で行なわれ得るという、いわゆる「ダブルトラック」についての検討が行なわれている。
 この「ダブルトラック」の状況に関連して、東京地裁知財部4か部における新受事件数、審理期間、判決・和解の傾向等の統計資料を紹介すると共に、判事側からの分析を紹介することにした。併せて、設置後4年目の知財高裁の審理状況についても触れている。
 また「産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会」でのここ数年の審議に基づき、新しいタイプの商標の保護に関して方向性が示されてきたので、これについても簡単に紹介を行うこととした。
以上

平成22年1月1日

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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '10/6/10